寂しかった庭も、春を察知して芽吹きがどんどん始まる季節。ガーデニングシーズンを前に、暖かな日を選んで庭のドレスアップをしてみませんか? 神奈川の自宅の庭で25年以上ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さんが実践した、ガーデンのプチリニューアルについて教えていただきます。
目次
ガーデニングは体力づくりにも役立つ

桜の開花宣言が聞かれる季節になりました。今年はご存じのように、新型コロナウイルス騒ぎでテレワークになったり、さまざまなイベントがキャンセルになったりして、在宅の時間が増えている人も多いようですね。そんな時でも晴れた日には外に出て、太陽をいっぱいに浴び、そして、ガーデニングに没頭して体を動かすと、血行もよくなって食欲も増進。免疫力を高めるのに効果的なのではないかと思うのです。
冬から春へ庭も衣替えを

ということで、冬の間、寒さを避けるために屋内や軒下に避難させていた、寒さに弱い植物たちを庭に出すことにしました。せっかく出すなら、庭の一角をドレスアップしようじゃないか! と。
完成イメージとしては、オージープランツと剣葉系、そして多肉植物などを使って、モダンでスタイリッシュな庭を思い浮かべていました。自宅の庭ですから、特に図面は描かず、後は現場合わせ。何よりも、楽しみながらつくっていく手法です。
ドレスアップ前の庭をチェック

作業開始前の庭の様子です。冬の間は日当たり優先で、バラをはじめ、いろいろな鉢植えを置いていました。よって、鉢が散乱してまとまりがない印象です。

まずは、並んだ鉢を移動させて広いスペースを確保し、落ち葉などを除去する大掃除。すっかり紺屋の白袴状態の庭でした。

玄関ポーチに避難させていたストレリチアの鉢植えも、霜の心配がなくなったので、これを機に移動させます。
掃除して鉢をレイアウトしたものの……

庭の一番奥に視線が集まるように、フォーカルポイントにベンチを置いて赤いラグを敷き、アクセントにアンモナイトの鉢に植えたリュウゼツランを置き、周囲に大小いろいろな鉢を配置してみました。しかし、なにか薄汚くて、これでは納得がいきません。その原因は何か? まさか砂利が汚いのが原因なのか? やはり変だと思ったら、原因は究明しないとイケマセン。

そこで思いついたのが、砂利を敷くこと。以前もやったことがある手法ですが、ドライリバー風に白い砂利を使って、ベンチに向けて流れを作ることにしました。善は急げ! ホームセンターに走り、砂利を購入。こういう瞬間はワクワクして、力が出るものです。
ドレスアップした庭をご案内

早速砂利を敷いてみると、だいぶ雰囲気が明るくなったではないですか。本当は、溝を本格的に掘って、ドライリバー風に伊勢ゴロタ石で自然風に作るとカッコいいんだろうが、まあ今回は、これでよしとしましょう。

ベンチを正面に見て、左側にはアガベやニューサイランなどの剣葉系をリズミカルに並べ、奥にはグレビレア‘ロビンゴードン’の赤い花が咲いた鉢を。葉の形や色の変化が楽しめるコーナーです。

ひと鉢に、銅葉のニューサイラン、シルバーのグレビレア‘ムーンライト’、黒いコプロスマ‘イブニンググロー’、オレンジのヒペリカム‘ゴールドフォーム’、黄緑色のカルーナ・ブルガリス、黄色のヘリクリサム‘ライムミニ’、ブロンズ色のヒューケラなどを合わせた、カラーリーフの寄せ植えも配置。花が少ないこんな時期には、カラーリーフが庭を明るくしてくれます。

右サイドには、ストレリチア(極楽鳥花)のオレンジ花やカンガルーポーの赤が彩りに。一番背が高く細かな葉を茂らせているのは、ジャガランダ。今年は暖冬で葉が落ちませんでした。

着手1日で生き生きした庭に変化

右に、黒法師とストレリチア、左に、ニューサイランとアガベ。ベンチの背景には、胞子から育てて20年越えの木生羊歯のディクソニア・アンタルティカが景色にいい味を与えてくれている。我が家らしいガーデンシーンが完成した。
じつは、この庭で雑誌の取材を受けた。NHKテキスト『趣味の園芸』2020年4月号に、僕のガーデニングの楽しみについてインタビュー記事が掲載されているので、そちらもよかったらご覧ください。

今回は庭の一角に鉢を並べて、模様替えのドレスアップをしてみましたが、季節ごとに見頃となる鉢を移動させることで、さまざまな庭の表現を楽しむのも気分が変わり、リフレッシュされます。季節が変わるたびに植え替え作業をしなくても済む、僕が得意とする寄せ鉢ガーデニングで、暖かい春の一日、鉢の移動に汗を流してみませんか?

Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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