室内で植物を育てていると、土で部屋が汚れるのが気になる人も少なくないはず。でも、そんな心配いらずの、土を使わずにグリーンを楽しむ方法があります。今回は、東京・兜町で行われた、土を使わないインドアグリーンの作り方のワークショップの様子をご紹介します。

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部屋の中で、もっとグリーンを楽しもう!

植物の中には、少ない光でも育てられるものが少なくありません。また、最近は室内栽培のための資材類も増え、部屋の中でも植物を育てやすくなっています。

ここ数年流行している苔テラリウムも、少ない光で楽しめるインドアグリーンの一つといえます。しかし、苔よりもっとボリュームがある植物の中にも、室内のコンパクトなスペースで楽しめるものがたくさんあります。

そのためには、適切な植物選びや、資材の使いこなしが必要になります。

使うのは暗い環境に強いシダなど

室内で育つ植物

室内の限られた光で栽培できるのは、薄暗い場所でも育つシダや苔です。

上の写真のトレー右側に置いてあるのが、今回使ったイノモトソウ、コシケシダ、ホウライシダです。シダにも葉の形にバリエーションがあるので、異なる種類を混ぜて使うと変化が生まれます。

左下はセキショウです。水辺の植物で湿り気を好むので、シダと一緒に植えるのに向きます。

左上はハチオラという植物です。あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、じつはこう見えてサボテンの仲間。サボテンというと、明るくて乾燥した場所で育つものというイメージがあるかもしれませんが、一部の森林性のサボテンは強い光がなくても育ち、比較的湿潤な環境を好みます。観葉植物として吊り鉢にして楽しむことがあるリプサリスなども近い仲間ですが、あちらが下垂して育つのに対し、ハチオラは株が直立するのが特徴です。

筒状の土台に植え込む

インドアグリーン

あらかじめ作っておいた筒状の土台に輪ゴムをかけ、そこに植物の根を挟むようにして植え込んでいきます。筒の表面には保水性のある布素材「活着君」が巻き付けてあるので、輪ゴムで根を圧着させておくと、植物の根が自然に張っていって活着します。

輪ゴムは目立たないように黒いものを。素材は天然ゴムがおすすめです。天然ゴムはもともと樹液が固まった自然素材。植物もゴムが好きなのか、積極的に根を伸ばしてくれます。植物を留める輪ゴムは、ずり落ちない程度に緩めにするのが適しています。

植え込み作業の際にはピンセットを2本用意し、1本で輪ゴムを引っ張って隙間を空け、もう1本でその隙間に植物を入れて植え込んでいくとうまくできます。ピンセットは先端が細く、曲がっているものが向いています。

土台の作り方

インドアグリーン土台

土台は筒状になった本体と、台座部分でできています。

筒状の部分は、上の写真では暗渠用の排水パイプとして販売されている網状の管を使っています。暗渠用パイプは10m単位など、長いサイズで販売されているので、少しだけ使うのに購入するのは難しいかもしれません。その場合は、A4サイズくらいの鉢底網を切って円錐状に丸めて使うとよいでしょう。台座部分も丸い鉢底網を使っています。

筒部分と台座は結束バンドでつなぐ

インドアグリーンの土台

筒状の部分と台座は結束バンドでつなぎます。

よく売られているものは太くて網目を通らないことがあるので、極細のタイプを使いましょう。極細の結束バンドはホームセンターなどで購入することができます。

鉢底網を使って筒部分を作るときも、結束バンドで留めるとよいでしょう。

筒には吸水フォームを入れる

吸水フォーム

植え込み部分には保水性のよい布素材を巻き付けますが、それだけでは筒の上のほうに植え込んだ植物に必要な水が十分に供給されません。

上まで水を供給するために、中心に吸水フォームを入れておきます。

今回使った吸水フォーム「植えれる君」は、植物や動物に害がない素材で、植物の栽培や動物の飼育に向きます。発泡スチロールやスタイロフォームのような発泡素材なので、カッターナイフなどで簡単に加工ができるのも便利です。

筒のメッシュがピッタリと触れるように入れると、筒の上方まで水切れしにくくなります。

そのまま使うにはpHが低い酸性の状態なので、しばらく水に晒すなどしてから使うとよいでしょう。

筒の表面には保水性のある布素材を

保水性のある布

筒の表面には、上の写真のような毛足の長い化繊の布素材「活着君」を巻き付けます。

極細の繊維の隙間に毛細管現象で水が吸い上げられ、高い位置まで水を供給することができます。また、高い保水力も特徴です。毛足が長くて細い根が絡みやすいので、根を洗った植物を圧着するだけで根が張っていきます。

ワイヤーに巻き付ければ自由な形に

活着君

「活着君」は布素材なので、さまざまな形を作ることができます。上の画像のように曲げたワイヤーに巻き付け、そこに植物を植え込むこともできますし、発泡素材の板にピンなどで留めれば、植物が繁茂する風景を作ることもできます。そのまま立てれば、植物を植え込んだ壁面を作ることもできるので、アイデア次第でさまざまな使い方が楽しめます。

ジグがあれば作業も楽ちん

ジグ

今回のワークショップではジグが用意されていたので、筒を横倒しにして作業をすることができました。

ジグとは治具とも書き、さまざまな作業を楽にするために簡易的に作る器具のことです。

今回用意されていたものは、1×4の木材をコの字形に組み合わせ、樹脂製の雨樋を取り付けて作られていました。

ジグ
筒に巻き付けた輪ゴムをピンセットで引っ張って隙間を空け、そこに植物を挟み込んでいくには両手を使う。置いた時に、側面に植え込んだ植物を傷めずに作業できる台があると、とてもラク。

完成したら水を入れた水盤に立てて管理

植え込みが終わったら、水をためた水盤などに立てて管理します。吸水フォームと植え込み材が水を吸い上げ、高い位置に植え込んだ植物にも水を供給してくれます。水盤には常に水を深さ2cmほど入れておきましょう。

このように管理していると、下のほうから吸い上げられた水が、筒の表面から蒸発していきます。そうすると、水に含まれるカルシウムやミネラル分、植物の根から出る老廃物などが植え込み材に蓄積され、生育を妨げることがあります。

月に1回はお風呂場などで上からたっぷりの水をかけ、生育を妨げる成分を洗い流すようにしましょう。

上のほうに小さめの植物を植えるのがポイント

インドアグリーン

室内では上から照明が当たるので、高い位置に大きな植物、大きく葉を広げる植物を植えてしまうと、下の植物に光が当たらなくなってしまいます。

上のほうにはあまりボリュームが出ない植物を植えると、下のほうの植物もしっかり育つようになります。

ワークショップ講師の陶武利さん

陶武利さん

今回は、東京・兜町で開かれた体験型植物イベント「KABOLO」で、インドア園芸のワークショップの講師をしてくださったのは、インドア園芸向きの植物や資材などを企画・製造するピクタ代表取締役を務める陶武利さん。長年に渡って室内環境や人工の光による植物栽培の研究を続け、インドア園芸の豊富なノウハウを持つ陶さんは、室内の少ない光でも育てやすい植物に詳しいだけでなく、室内で植物を育てるための資材の開発なども行っています。

ピクタオフィシャルHP/https://www.picuta.com/webshop/
ピクタTwitter/https://twitter.com/picuta1
ピクタInstagram/https://www.instagram.com/picuta_official/?hl=ja

KABOLOとは

KABOLOはKabutocho Botanical Loungeの略で、東京・兜町で定期的に行われる体験型植物イベントのこと。

苔テラリウムやミニ盆栽、パルダリウムなど、コンパクトスペースで植物を楽しむ提案を行うイベントで、各種ワークショップ、セミナーなども充実しており、見て、買うだけではなく、さまざまな体験や学びの場も提供しています。

2020年4月にも同会場でイベントを開催予定(開催概要は下記HPにて確認を)。

名古屋でもNABOLOとして定期的に開催されています。

KABOLOオフィシャルHP/https://www.kabolo.site/

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Credit

写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
フリーライター。
インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。
https://twitter.com/tutti0514
https://www.instagram.com/satorutsuchiya_/

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