多肉植物の寄せ植えを作ってみませんか? 多肉植物は暑くて寒い過酷環境にも耐えられるし、多少取り扱いが雑になってもへっちゃら! という丈夫さも持ち合わせています。今回は、ハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんに、センスよくおしゃれに多肉植物を寄せ植えするコツと、寄せ植えの作り方をご紹介いただきました。
目次
多肉植物ってどんなもの?
多肉植物とは、葉や茎に水分をため込んでおける仕組みを持った植物たちを指します。ぷくぷくした姿形の可愛さに虜になる人も多く、価値のある品種は非常に高値で取り引きされるなど、根強い人気がありますね。多肉植物の原産地は、乾燥したアフリカや北アメリカなど、雨季と乾季がある地域です。めったに降らない雨を体に蓄えておくことができるように、このような形になったといわれていて、石ころのように平べったくなってみたり、強い日差しから身を守るために毛むくじゃらになってみたりと、過酷な環境に合わせて、自分の姿を変えて進化を遂げてきた植物なんですよ。
「多肉植物ってサボテンのこと?」と思われる方も多いかもしれません。非常に多くの種類があり、サボテンも、多肉植物の中の一つに分類されます。
多肉植物の寄せ植えバリエーション
多肉植物には、非常にたくさんの種類があります。いくつかの植物を一つの鉢に植えることを「寄せ植え」といいます。多肉植物は寄せ植えをすることで、可愛らしさが倍増するので、おすすめです!

また、多肉植物は、水を蓄えておける機能があるため、他の植物より水は控えめでOK。そのため、土の配合と水やりの頻度に配慮すれば、器の自由度が高いのも嬉しいところ。

こんな、穴のあいていない器でも大丈夫。

こちらも穴があいていない容器です。小さなお人形を置いてもまた可愛い。

こんなガラスの中にも植え込み可能。
穴のあいていない器に植える際には、私は、底にゼオライトを使用しています。ゼオライトとは、天然の鉱物で沸石(ふっせき)と呼ばれるもの。火山活動によって約700万年もの年月をかけて作られた多孔質の天然鉱物です。これが余分な湿気や水分を吸ってくれますので、水は控えめに管理をすれば、鉢底に穴のない器でも、多肉植物を育てることができますよ。また、苗の大きさも大小さまざまなものが入手できるのも、多肉植物ならでは。このように、多肉植物はいわゆる一年草などの園芸植物には真似できない、バリエーションを楽しむことができます。
お店で多肉植物を選ぶときに気を付けることは?

園芸店やホームセンターなどで、たくさんの苗が売られていますね。その中から、いい状態を見極める3つのポイントをご紹介します。
間延びをしていないこと
葉と葉の間の茎が伸びていないものを選びましょう。葉と葉の間が間延びしている状態は、日光不足で徒長しているサイン。一見すると、身長が伸びているので「大きい=成長」と思うかもしれませんが、多肉植物は葉と葉が詰まった、コンパクトな姿がベストです。
茎がしっかり太く、短いこと
葉っぱを見るのと同時に、茎の太さもチェックしましょう。ヒョロヒョロと細いものは間延びのサインなので、より太くて短いものがおすすめです。
葉が密なこと・下葉が枯れていないこと
苗を手に持って、目線の高さまで持ち上げ、下の葉もチェックしてみてください。葉がぽろぽろと抜け落ちているものや、下のほうに葉がすでにないものは、やめましょう。
多肉植物を組み合わせるコツは?
寄せ植えを作る時には、いくつかの苗を選んで、一緒に植えつけるワケですが…その際、素敵に仕上がる組み合わせのコツをお伝えしましょう。
まずは「成育期」を合わせることが大事です。多肉植物は、成育旺盛になる期間別に「春秋型」「夏型」「冬型」というように分類されています。それぞれの生育期には水やりの頻度が上がり、逆に休眠期は根から水分を吸い上げることができないので、水やりはほとんど必要ないか、頻度を控えます。休眠期に水をやりすぎると、根腐れの原因になってしまいます。ですから、生育期がバラバラのものを一緒に寄せ植えると、水やりの管理がとても難しくなってしまうので、まずは生育期の同じものを選ぶことが大切。
次に大事なのは見た目。

例えば、こちらの「エケベリア」という属の多肉植物は、バラの花のような美しいロゼット状の葉が特徴。紅葉したり、濃い緑だったり、ブルーグリーンだったりと、色は違いますが、見た目の姿が似ているのです。たくさんある種類の中から、いくつかの苗を購入するとなると、自分の好みのものを選びがち…。気が付いたら似たものばかりだった、ということも少なくありません。寄せ植えを作るなら『主役は1つ』を意識して、苗を選びましょう。まずは主役を決めて、次に主役に添った脇役を合わせていくのです。この際の脇役は、同じ姿のものではなく、違うものを組み合わせられるとベスト! そうすることで、お互いを引き立てるバランスのよい寄せ植えに仕上がりますよ。
実践!作ってみよう
【用意するもの】

◯お好きな鉢と多肉植物
◯培養土
◯川砂
過湿対策として、川砂を使用します。培養土に対して2割ほど混ぜると、水はけのよい土になります。
◯ゼオライト(または鉢底石)
【作り方】
1. 主役・脇役を意識して、苗を用意したら、まずは机の上でシミュレーションをしてみましょう

大きいものは後ろ・小さいものは手前と分けがちですが、そこをぐっと我慢して、思い切って大きなものを前に持ってきたりと、あれこれ配置を組み合わせてみましょう。というのも、素敵に見せるには均等に置かないことがポイント! そして、苗と苗の間をわざと広くしたり、狭くしたりすることで、寄せ植えに表情が出てきます。
2. 底にゼオライトをひと並べし、その上に培養土に川砂を混ぜたものを入れます

3. 植物をポットからそっと出し、余分な土は丁寧に取り除き、植え込みましょう

この際、力加減に注意してください。多肉は強く触ると、葉がぽろぽろと落ちてしまうことも。できるだけ優しく触ってくださいね。
4. 置きたいところに多肉を配置して、間に土をしっかり入れて仕上げます

仕上げに、空いたところには色のついた石や、バークチップなどを配置すると、小さな寄せ植え空間に、ストーリーが見えてきますよ。
ぜひ、オリジナルの多肉植物の寄せ植えを作ってみてください。
作った後の育て方はこちら「多肉植物の管理をマスターしよう! 育て方と増やし方」の記事で詳しく説明しています! 併せてご覧ください。
Credit

写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)
花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/
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