今人気のつる性植物。壁面やフェンスに這わせてダイナミックに仕立てたり、トレリスやアーチにからめたり、狭い場所にも花が咲くなど、さまざまな形で庭を美しく彩ってくれます。ガーデニングの本場イギリスでも活用されているつる性植物。そんなつる性植物はどのように選べばよいのでしょうか。選び方のポイントと人気の品種を紹介します。上手に取り入れて、お庭を彩りましょう!
目次
お庭の立体的な空間演出に! つる性植物をじっくり育てる!
将来どのような庭にしたいのか? 目的にあった品種を選ぶ
つる性植物の人気が年々上がっています。西洋ではクライミングプランツまたはクラインバーという総称で呼ばれています。特に人気の高いのは、つるバラ(クライミングローズ)、クレマチス(テッセン)、ニンドウ(ロニセラ)などです。
最近では、一般園芸誌や植物図鑑、イベント展示、インターネット検索などで直接ユーザーが有効な情報を入手できるようになってきており、バラやクレマチスは、コレクションするマニアの方も年々増えています。気になる品種や、その特性などは、生産メーカー(ナーセリー)のホームページなどをチェックしたり、直接問い合わせてみたりするのもよいでしょう。
目的に合わせた「つる性植物」の品種選択
切り花をフラワーアレンジメント(室内装飾)に活用できるつる性植物
つる性植物の切り花を使用し、フラワーアレンジメント等に取り入れる効果として、メインの花を引き立てる役割や、雰囲気をまとめてくれる役割があります。また、それ自体で花も楽しめるものもあれば、葉の形や色味を楽しめるものもあります。それぞれ個性を持ったつる性植物はたくさんありますが、ここではその一部をご紹介します。
※以下、名称/原産地/性質/解説/用途
●クレマチス/北半球の温帯に自生/落葉多年草/一重咲き、八重咲き、ベル型タイプがある/フラワーアレンジメント、花束、ブーケ、生け込み、フラワーリース
●リキュウソウ/中国原産/常緑多年草/柔らかい小さな葉と鮮やかなグリーンが魅力/フラワーアレンジメント、ブーケ、生け込み
●ハートカズラ/南アフリカ原産/常緑多年草/ハート型の葉、シックな色味の葉が魅力/フラワーアレンジメント、ブーケ、フラワーリース
●グリーンネックレス/アフリカ原産/つる性多肉植物/玉状の葉が連なる姿が可愛らしい/フラワーアレンジメント、ブーケ、寄せ植え、テラリウム
つる性植物の特性を生かした植栽方法
つる性植物には地面を這うもの、壁を這い上がるもの、巻きつくものなど多様な種類があります。それぞれの特性を生かした、植栽方法をご紹介します。
■壁面に這わせる
小さな根の吸盤(気根)によって自力で這い上がる植物が適しています。ただし外壁に根が直接付着し、外壁や外構を傷めてしまうことや根の跡が残り汚れてしまうことがあるので注意が必要。
適した植物/テイカカズラ(常緑)、ヘデラ・ヘリックス(常緑)、ナツヅタ(落葉)、ツルアジサイ(落葉)、
■オベリスク、トレリス、アーチに絡ませ立体的に見せる
支柱等に巻き付いて伸びていく植物が適しています。巻きつくタイプのものは巻き戻しができるので、好みの形に仕立てることができます。仕立てる時や巻きつきがあまい枝は、枝を傷めないよう麻紐等柔らかい紐で誘引しましょう。
適した植物/モッコウバラ(常緑)、ハゴロモジャスミン(常緑)、つるバラ(落葉)、クレマチス(落葉)、トケイソウ(落葉)
■紐やネットに絡ませグリーンカーテンを作る
オベリスクやアーチと同様に巻きつくタイプが適しています。つる性植物を使って自然のカーテンを作ることができ、窓辺の日差しなどを遮ることができます。編み目の細かいネット等を選び、より密にさせると効果的。また冬場、陽を取り入れたい場合は落葉がオススメです。
適した植物/テイカカズラ(常緑)、トケイソウ(落葉)、クレマチス(落葉)、セイヨウアサガオ(落葉)
ご自身の庭に合ったつる性植物の選び方
イギリスのトレンドを知る
今までは、西洋でのブームが数年遅れて日本にくる傾向にありました。最近は、イギリスでの人気や流行が、ほぼ同時に日本に伝わってきます。イギリスのチェルシーフラワーショーやBBCガーデンショーなどを見ていると、イギリスでのトレンドがいち早く分かります。
ただ、最新の流行を追いかけるだけでなく、日本の環境での適応性などをふまえて、つる性植物を選ぶことが大切です。当たり前のことですが、開花時期や成長スピードなど、かなり英国とは差があります。新品種の場合、少なくとも2~3年は様子をみたいものです。
つる性植物を選ぶ際のヒント3つ
ガーデンや都市空間で、つる性植物を生かすためには、その特性をよく理解しておく必要があります。以下のポイントを、つる性植物を選ぶヒントにしましょう。
■日本にもともと自生している植物をあらかじめ把握する
■学名を調べる
■将来どのような庭にしていきたいのか?
大きく成長していく過程で、剪定など管理の手を入れる必要が生じます。目的にあった品種を選択することが大切です。
コレがオススメ! 大人気のつるバラ
●つるバラ(クライミングローズ)
品種が多く、芳香性がよいものもある。壁面、コンテナ、アーチ、敷地の境界やフェンスに向く。
●キモッコウバラ
生育旺盛で、育てやすい。アーチ、フェンス仕立てがよい。
日本原産のつる性植物
●アケビ
つるを籠などにしたりできる。アーチ、パーゴラに向く。
●ムベ
育てやすい。アーチ、パーゴラ、フェンスなどにからませるとよい。隣家との境界に設けたフェンスに絡めると目隠し効果もある。
●ミヤママタタビ
欧米では、壁面緑化に使われる。フェンスにもよい。寒冷地向き。
●ツルアジサイ
壁面緑化に向く。耐寒性も強いので、寒冷地でも育てられる。
コレがオススメ! かわいい実や花をつけるつる性植
●キングサリ
イングリッシュガーデンでよく使われる。アーチ、パーゴラ向き。
●グレープ ネオマスカット
糖度が高く香りがよい。強健で比較的作りやすい品種。
●プルンバゴ
水色の花を次々と咲かせる。フェンス、ポール、オベリスクに。
●クレマチス モンタナ
花は小輪多花性で芳香がある。パーゴラ、アーチ、壁面緑化に。
葉色が美しいカラーリーフのつる性植物
●ゴールデンハニーサックル
黄色から白い花のグラデーションが明るく、黄色系の葉脈が濃い黄色になる。フェンス、オベリスク、トレリスに。テラスなどのパーゴラの頭上に絡めると、日陰をつくってくれる。
●ツルマサキ‘エメラルドゴールド’
紅葉すると見事な紅色になる。壁面緑化、グランドカバーに向く。
最後に…
きれいにつるが伸びると、一気にイングリッシュガーデン風の庭にしてくれるつる性植物。フラワーアレンジメントや家庭菜園などにも使用される幅広い魅力をお伝えしました。是非つる性植物の世界をお楽しみくださいね。
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Credit
監修/藤岡成介
1963年兵庫県生 兵庫県立淡路景観園芸学校 講師、E&Gアカデミー大阪校 講師などを務める。
花と緑のまちづくりを提唱し、園芸、造園植物の生産および流通にかかわる業務を行いながら、現在「きびの森植物園」マネージャーを務める。
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