複数の種類があり、いずれもユニークな花形や繊細な色みをもつことから、多くのガーデニング愛好家から愛されているクレマチス。イギリスでは「蔓性植物の女王」と呼ばれ、人気があります。近年では、切り花の種類も増え、ブーケやアレンジの花材としても注目を集めています。ここでは、クレマチスの種類や育て方のポイント、お手入れの方法などを紹介。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。クレマチスの魅力を120パーセント楽しみましょう。

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クレマチスを育てる前に知っておきたいこと

クレマチスは、キンポウゲ科クレマチス属に分類される蔓性の植物で、クリスマスローズやアネモネなどと同じ仲間に分類されます。原種は300種類ほどあるといわれ、北半球の各国を中心に、世界中に分布しています。日本では、カザグルマやハンショウヅル、仙人草などがクレマチスの原種にあたります。

クレマチスの基本データ
学名:Clematis
科名:キンポウゲ科
属名:クレマチス属
原産地:ヨーロッパ、日本、中国、北アメリカ
和名:風車(カザグルマ)、鉄線(テッセン)
英名:Clematis
開花期:3月下旬~10月 ※春咲き、夏~秋咲き、冬咲きなどがあります)。
花色:赤、ピンク、黄、白、紫、青、複色
発芽適温:15℃前後
生育適温:20℃前後
切り花の出回り時期:2~12月
花もち:7~10日

長年にわたり、日本のカザグルマ、中国のテッセン、欧米のインテグリフォリアといった原種を掛け合わせながら、品種改良が進められてきました。現在は、数え切れないほどの園芸品種が存在します。

種類を知ると、選び方がわかります

クレマチスには多くの種類があり、「新枝咲き」「旧枝咲き」「新旧両枝咲き」の3つに分けることができます。これらは、すべて花の咲き方を表します。実際にクレマチスを選ぶ際に役立つ、それぞれの特徴を紹介しましょう。

新枝咲き

新しく伸びた枝(新枝)に花芽がつく咲き方です。代表的な系統として、ビチセラ系、ヴィオルナ系、インテグリフォリア系などが挙げられます。剪定をすることで、新しく伸びた枝に再び花芽がつくため、年3回ほど花を咲かせます。

旧枝咲き

前年に伸びた枝が休眠した後、春に枝を伸ばして花を咲かせることをいいます。旧枝咲きの代表的な系統は、アーマンディ系やモンタナ系、シルホサ系など。基本的に年に1回、開花します。

新旧両枝咲き

前年に枯れた枝から新しく数節が伸びて花を咲かせるだけでなく、剪定後新たに伸びた枝にも花を咲かせます。遅咲き大輪系、フロリダ系、アトラゲネ系などが代表的な系統です。新旧両枝咲きをする品種のなかには、年に何度か花を咲かせたり、長期間にわたって花を咲かせたりする「四季咲き」のものが多くあります。

クレマチスを育てるときに必要な準備は?

クレマチスを育てるなら、種をまくよりは、苗または鉢植えの株を購入して育てるほうがよいでしょう。ホームセンター、園芸店、街のフラワーショップなどで購入できます。

準備するもの(鉢植え、地植え共通)
・クレマチスの苗
・土
・肥料
・支柱
・ラベル
・ジョウロ

*鉢植えの場合は、下記のものも用意
・鉢、またはプランター
・鉢底ネット
・鉢底石

前述したとおり、クレマチスは旧枝咲き、新枝咲き、新旧枝咲きの3つに分けることができます。それぞれ、花を咲かせる時期が少しずつ異なるため、苗を購入する際にどの咲き方をする品種なのか、確認しましょう。

適した土作りが、育てるコツの第一歩

鉢に植える場合は、水はけがよく、水もちと肥料もちのいい土を選びます。硬質赤玉土、硬質鹿沼土、完熟腐葉土を4:3:3で配合した土がおすすめです。もしくは、市販のクレマチス専用培養土や、市販の培養土に少量の赤玉土や完熟腐葉土を混ぜたものを使用してもよいでしょう。

クレマチスの育て方にはポイントがあります

クレマチスの育て方〜苗から始める〜

苗の選び方

クレマチスには、12月をいちど越えた1年苗と、2回越えた2年苗があります。葉が青々としており、茎が太い2年苗を選ぶようにしましょう。

植えつけ時期と方法

基本的に1年中、植えつけができますが、休眠中の12月~2月中旬頃がもっとも適した時期とされています。寒冷地では、厳冬期は避けましょう。

クレマチスは日当たりのよい場所を好むため、地植えで育てる場合は日当たりがよく、風通しのよい場所を選びます。また、アーチやフェンスなど、蔓が絡みやすい場所に植えることもポイントです。

鉢植えの場合の手順
①緩効性化成肥料を混ぜた土に入れ支柱を刺します。市販の培養土で、肥料が入っているものを使う場合は、肥料を混ぜずに、鉢に入れてください。
②苗をポットから抜き、植えつけ、残りの土を苗の周囲にかぶせます。このときのポイントは、根元から2番目の葉が出ているところまでが隠れるよう、深植えすること。こうすることで、根元からたくさんの枝が出て、多くの花が咲きます。
③鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと水やりをします。

地植えの場合の手順
①直径、深さともに40㎝以上になるよう、穴を掘ります。穴の底に、硬質赤玉土(小)、硬質鹿沼土、完熟腐葉土を4:3:3で配合した土、もしくはクレマチス専用培養土を半分ほど入れます。
②苗を根鉢からそっとはずして穴に入れ、根元から2番目の葉が出ているところまでが隠れるように土をかけます。
③植えつけ後はたっぷりと水やりをします。

小苗(3~4号鉢)の場合は、すぐに地植えは行わずに、ひと回り大きな鉢(5号~6号鉢)に植え替えて、1年間養生することをおすすめします。

クレマチスの根は旺盛なため、他の植物(バラなど)を傷めることがあります。混植する場合は、仕切り板内や塩ビ管(直径30㎝程)にクレマチスを植えます。

クレマチスと仲よくなる日々のお手入れ

ここでは、クレマチスを育てるうえで、行いたいことをまとめます。

水やりのタイミング

つぼみをつける頃から開花する時期にかけては、多くの水を必要とします。水切れを起こさないよう、こまめに、そしてたっぷりと水を与えるようにしましょう。そして、鉢受け皿に溜まった水は必ず捨てること。水が溜まった状態が続くと、根腐れを起こす場合があります。

肥料の施し方

緩効性肥料を2か月に1回、液体肥料を月2回与えます。ただし、真夏は肥料を施す必要がありません。なお、植えつけ時には、元肥を施しておきましょう。

花が咲いたら…

花の色がくすみはじめたり、雄しべに元気がなくなってきたりしたら、花首から花をカットします。こうすることで、種子ができて株が弱ってしまうのを防ぐことができます。

立派に育てるための、植え替え時期と方法

クレマチスは基本的に、1年中植え替えをすることができます。なかでも、休眠中の12月〜2月中旬頃が、もっとも植え替えに適した時期とされています。寒冷地では、厳冬期の植え替えは避けます。

植え替えの手順
①鉢の底から根が出ているのを確認したら、植え替えの必要があります。現在のものよりひと回りほど大きな鉢を用意します。水はけをよくするため、鉢の底に大粒の軽石を敷きます。
②鉢の半分ほど土を入れたら、クレマチスを元の鉢からやさしく抜き出し、植えつけます。根を切られることを嫌うため、根鉢は丁寧に扱いましょう。また、根元から2番目の葉が出ているところまで隠れるよう深植えすると、たくさんの枝が育ちます。
③現在の株の大きさや蔓の長さに適した、支柱を取りつけます。
④水をたっぷりと与えたあと、緩効性化成肥料を施します。

クレマチスは、根を切られることに加え、移植も嫌います。地植えの場合は、しっかりと植え場所を吟味ましょう。少なくとも、1日に4時間以上日が当たる場所を選びます。

剪定を行う時は、時期に注意しましょう

花にだんだんと元気がなくなってきたら、剪定を行います。ポイントは、花が散る前に剪定を行うこと。品種によって、剪定を行う時期や場所が異なるため、注意が必要です。

アーマンディ系、シルホサ系、フォステリ系、モンタナ系 花首を切るか、もしくは花首より1節下を切るようにします。

ビチセラ系、タングチカ系、ヴィタルパ系、フラミュラ系 今年伸びた蔓を、1〜2節残した状態で切ります。

テクセンシス系、ヴィオルナ系、インテグリフォリア系 地面と接しているところから1~3節残した状態で切ります。

大輪咲きの中生種、フロリダ系、ラヌギノーサ系 今年伸びた蔓の半分ほどを切ります。

知りたい! クレマチスの増やし方

クレマチスは、4月下旬~7月下旬頃まで「挿し木」で増やすことができます。今年伸びた蔓の少し硬くなった部分を2節ずつ切り、挿し穂にします。挿し穂の下部の葉を除去したうえで、清潔な土に挿します。挿し木用土は、パーライトをベースにした培養土がクレマチスの挿し木に適しています。ポイントは、下の節が土に埋まるようにすること。種類や品種によって発根時期が異なりますが、ほとんどの場合、およそ2か月で発根します。発根したら、口径9㎝程度の鉢に植え替えましょう。

毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです

育てるときに注意したい病気

立枯病
土に未熟な腐葉土が混入している場合、地際部の茎が褐色や真っ黒に変色してしまう立枯病にかかりやすくなります。ただし、これは地上部だけに発生する病気。地上部が枯れてしまっても、地中に節があればそこから新芽が出ます。

白絹病
立枯病と同じく、土に未熟な腐葉土が混入している場合、地際部や周辺の地面が白っぽくなってしまう白絹病が発生しやすくなります。

うどんこ病
植物と植物の間が詰まっており、風通しが悪い状態になると、葉の表面が白くなるうどんこ病にかかりやすくなります。市販の治療効果のある薬剤を使いましょう。

葉枯病
うどんこ病と同様、風通しが悪い状態では、葉の先端が褐色に枯れる葉枯病にかかりやすくなります。こちらも、市販の治療効果のある薬剤を使います。

育てるときに注意したい害虫

柔らかい新芽にはアブラムシが集まるため、株元に粒状の殺虫剤などを置き、予防しましょう。また、シャクトリムシなども新芽を食害するため、葉についているのを見つけたら、早めに捕殺します。

そのほか、クレマチスの害虫には、アオムシ、ナメクジ、アブラムシ、コガネムシ、ヨトウムシ、ハダニなどがあります。葉が食害されたり、葉がすすけたりしていたら、害虫の仕業である可能性大。定期的に葉裏などを調べるとともに、種まきや植えつけの際に粒剤を土壌に混ぜ込むなどの工夫が必要です。

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記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。クレマチスと相性のよい寄せ植えの植物

クレマチスと相性がいいのは、なんといってもバラです。支柱を共有できるうえ、両方とも多肥を好みます。基本的には、バラが主役になるよう寄せ植えをしますが、長い蔓をもつことが特徴のクライミングローズと組み合わせる場合、クレマチスを主役にするのもおすすめです。

そのほか、クレマチスと相性のいい植物として、シクラメンやヘデラ、バコパ、ツルニチニチソウがあります。背丈の高いクレマチスの足元をカバーしてくれるため、美しいバランスが完成します。

構成と文・アマナ/ネイチャー&サイエンス

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