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ハボタンの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

ハボタンの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

キャベツのような形で、寒くなると株の中心が白やピンク、赤、紫などに発色するハボタン。冬から春にかけて色彩に乏しい庭を彩ってくれる貴重な存在として、古くから愛されてきました。種類が多く、育て方は難しくないため、ガーデニング初心者にはおすすめです。ハボタンの育て方のコツ、日々のお手入れから寄せ植えに相性のよい植物までを、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ハボタンを育てる前に知っておきたいこと

ハボタンは、ヨーロッパで野菜として食べられていた、キャベツの仲間(非結球性ケール)がルーツとされています。葉の形がボタンの花に似ていることから「ハボタン」と名づけられました。別名「ハナキャベツ」とも呼ばれ、カリフラワーやブロッコリーの仲間でもあります。

日本には江戸時代に食用として渡来しましたが、食べても苦くておいしくなく、観賞用として改良されてきました。

ハボタンの基本データ
学名:Brassica oleracea var. acephala
科名:アブラナ科
属名:アブラナ属
原産地:ヨーロッパ
和名: 葉牡丹(ハボタン)
英名:Flowering cabbage、Decorative kale
開花期:4~5月
葉の観賞期:11~3月
葉色:赤、ピンク、黄、白、紫、緑、複色
発芽適温:20℃前後
生育適温:5~20℃
切り葉の出回り時期:12~1月
葉もち:2週間以上

ハボタンは、日当たりと風通しのよい場所を選べば、初心者にも育てやすい植物です。種からでも苗からでも育てることができ、鉢植え、地植えともに適しています。種まきの適期は7月中旬~8月中旬、苗植えの適期は10~11月です。

寒さに強いのが特長で、秋の低温で発色し始め、冬の寒さに当たることで鮮やかさを増していくため、室内や温室では葉がきれいに色づかないことがあります。ただし、北風や強い霜にあたると株が弱ってしまい、葉が枯れてしまうので注意してください。特に、白緑葉系統は、赤葉系統に比べると霜害などに弱く、枯死することがあります。

品種改良が進んで種類が豊富なハボタンは、直径40~50㎝になるキャベツサイズのものから、15㎝程度のミニ系まで、大きさもさまざま。草丈の低いものは、寄せ植えの差し色やアクセントカラーになる“カラーリーフ”として人気があります。

ハボタンの観賞のメインは色づいた葉ですが、春になるとナノハナに似た黄色い花を咲かせます。その頃には草姿が大きく乱れるため、多くは1年草として花が咲く前に処分されます。多年草として育てて、分枝した様子が、人が踊っているように見える「踊りハボタン」として楽しむこともできます。

種類を知ると、選び方がわかります

ハボタンは品種改良によって、じつに多くの種類があります。結球の違いや葉の縮れ方によって大きく3つに分けられ、それぞれに寄せ植え向きのものや切り花向きのものなど、大きさも色も豊富に展開しています。

丸葉系

江戸時代から東京で改良されてきた「東京丸葉系」と、戦後に大阪地方で作り出された「大阪丸葉系」があります。東京丸葉系は、最も古い歴史のあるハボタンの系統で、やや草丈が高く、キャベツのように葉が丸いのが特徴。江戸ハボタンとも呼ばれます。大阪丸葉系は、葉の縁が緩やかに波打ち、色彩が鮮やかです。

ちりめん(縮れ葉)系

縮葉ケールとの交配によって、明治時代に名古屋で誕生しました。葉の縁が縮れてちりめん状に細かく波打ち、華やかな印象。全体がこんもりまとまります。名古屋系、フリル系と呼ばれることもあります。

切れ葉系

葉が長く、切れ込み方によって「さんご系」「くじゃく系」などがあります。

このほかにも、光沢とメタリックな質感が特徴の「プラチナケール」という新タイプや、外葉を外すとバラのように見える「フレアホワイト」といった、新感覚のハボタンが登場しています。

ハボタンを育てるときに必要な準備は?

ハボタンは種からも苗からも始められ、鉢でも地植えでも育てることができます。栽培を始めるときは、以下のものを用意しましょう。

準備するもの(鉢植え、地植え共通)
・ハボタンの種または苗
・土
・肥料
・土入れ、またはスコップ
・ジョウロ
・ラベル

*種から育てる場合は、下記のものも用意
・育苗箱またはピートバン
・育苗ポットまたは3号(直径9cm)のポリポット

*鉢植えの場合は、下記のものも用意
・鉢、またはプランター
・鉢底ネット
・鉢底石

種類によっては100㎝近く伸びるものがあるので、その場合は支柱とビニールタイ、紐などを用意しましょう。

ハボタンは日なたを好みます。鉢の置き場所や植え場所は、日当たりのよいところで育てましょう。関東から西の暖かい地方では戸外で管理できますが、きれいな状態で長く楽しむには北風や強い霜を避けましょう。

また、寒冷地や寒地では、0℃以下になると凍害を受けるので、鉢植えは根まで凍らないように、寒冷紗(白色)などの防寒、霜よけが必要です。

適した土作りが、育てるコツの第一歩

ハボタンは、水はけと水もちのバランスがよい土を好み、その土が有機質に富んでいると発色がより美しくなります。ただし、園芸品種のなかでも丈夫で育てやすい植物なので、それほど神経質になる必要はありません。

鉢で育てる場合は、市販の草花用培養土を選べば大丈夫です。自分で土をブレンドして作る場合は、ほとんどの植物向きとされる基本配合である、赤玉土(小)、腐葉土、ピートモスを6:3:1の割合で混ぜるか、赤玉土(小)、腐葉土、酸度を調整してあるピートモスを6:3:1の割合で混ぜるとよいでしょう。

地植えの場合は、川砂、パーライトなどを混ぜるなどして、水はけをよくして植えてください。

ハボタンは、ほかの多くの草花と同じく弱酸性の土を好むので、中和のために苦土石灰か消石灰を土に混ぜることも有効です。市販の草花用培養土を使う場合は、あらかじめ酸性度の調整がされているので不要です。

また、草花用培養土には、あらかじめ元肥が入っているものがあります。よく確認して、入っていない場合だけ、元肥として緩効性肥料(N-P-K=10-10-10)を施しておきましょう。赤玉土を使用した配合土を用いる場合は、リン酸が不足しがちなので、元肥にはリン酸分の多い緩効性肥料(N-P-K=6-40-15など)がおすすめです。

ハボタンの育て方にはポイントがあります

ハボタンを初めて育てる場合は、種まきから始めるか、苗を購入して始めます。種まきの適期は7月中旬~8月中旬、苗植えの適期は10~11月です。

栽培には、日当たりと風通しのよい場所が適しています。鉢植えの場合は、生育期間を通して風通しのよい日なたに置きましょう。地植えの場合は、風通しと水はけのよい日なたを選びます。

ハボタンの育て方~苗から始める~

苗の選び方

ハボタンの苗は10~11月頃に園芸店やホームセンター、通販などで出回ります。葉を色づかせるだけではなく、茎を伸ばして観賞用に育てるには、苗の吟味が大切です。ハボタンは基本的にまっすぐ太く育つために、苗の段階から茎が細いものは除外します。また、品種にもよりますが、葉数が多いものほどしっかりした健康なハボタンの証拠。下の葉が垂れているものは、弱っている証拠なので避けてください。

植えつけ時期と方法

ハボタンの苗は、10~11月頃に鉢や庭に植えつけます。寒地では気温が5℃以下になると根張りが悪くなるので、それ以降の植えつけは避けましょう。植えつけ方法は、以下のとおりです。

鉢植えの場合の手順
①鉢に鉢底ネットを入れ、鉢底石を敷き、培養土を鉢の高さ1/3ほどまで入れます。
②根を傷めないようにハボタンをポットから引き抜き、植えつける鉢に苗を置きます。
③苗の周りに土を足して、株を安定させます。
④鉢底から水が出るまで、たっぷりと水やりします。

種類にもよりますが、ミニ作りにする場合は3~4号(直径9~12㎝)、大作りにする場合は5~6号(直径15~18㎝)の鉢に1株が目安です。大きな鉢や横長プランターにいくつか植えつける場合は、株同士の間隔を大型は30~40㎝、小型ならば20㎝ほどあけて植えてください。株同士の葉が触れない程度に、間をあけるのがポイントです。

地植えの場合の手順
①花壇の土に元肥を施しておいた場所に、苗よりもひと回り大きな穴を掘ります。いくつか植える場合は、株間を20~40㎝ほどあけましょう。
②根を傷めないように、ハボタンをポットから引き抜き、穴に苗を置きます。
③苗の周りに土を足して、株を安定させます。
④たっぷりと水やりをします。

ハボタンの育て方~種から始める~

種まき時期

種まきの適期は7月中旬~8月中旬、発芽適温は20℃前後です。秋の低温で発色するので、寒さが早い寒地では早く、暖地では遅くまくようにします。

発芽のコツ

高温では発芽不良を起こすので、日陰で発芽させるのがポイントです。時期的に乾きやすいため、発芽するまでは水をたっぷりと与え、乾燥しないように注意します。

種まきの手順

①土を入れた育苗箱に8分目ほど土を入れ、表面を平らにならします。
②土の表面に5㎝間隔で、指や割り箸などで浅く筋(溝)をつけ、筋の中に重ならないように種をまきます。
③種の上に3㎜ほど土を被せ、水をたっぷり与えます。
④発芽するまでは風通しのよい、日陰で管理し、水切れしないように注意します。また、小苗はナメクジの被害に遭いやすいので、地面から離れた場所に置きましょう。

ピートバンを使う場合は、しっかり水を含ませてから、重ならないように種をばらまきます。基本的に覆土はしなくて構いませんが、風などが気になる場合は薄くかける程度にしましょう。

2~3日で発芽するので、発芽後は徐々に日当たりのよい場所に移します。以降は、本葉が3枚ほどになったら、3号(直径9㎝)ポリポットに植え替えます(鉢上げ)。その後、ポリポットの上から見て、表土が見えないほどに育ったら、最終的に、育てる鉢や花壇などに植えつけます(定植)。

ハボタンと仲よくなる日々のお手入れ

水やりのタイミング

ハボタンは生長過程によって、乾かさないよう水をたっぷり与えたい時期と、やや乾燥ぎみに育てたい時期があります。その境目は、定植後の根張りです。

種まき時や鉢上げ直後の育苗期、そして苗を鉢や庭に植えつけたときは、“土が乾かないように”水をたっぷりあげて生長を促します。育苗期の水のやりすぎは、徒長(草丈がムダにひょろひょろと伸びること)の原因になりますが、乾かしすぎると葉の枚数が少なくなるからです。苗の様子を見て少し元気がないようなら、たっぷり水を与えるのが徒長を防ぐコツです。

一方、植え替え(定植)後に新しい根が伸び始めたら、過度な水やりは禁物。やや乾燥ぎみに育てるのがポイントです。

鉢植えの場合は“土の表面が乾いたら”水やりのタイミング。日が高くならない午前中、できれば朝にたっぷりと水を与えましょう。土が湿っているうちは水やりの必要はありません。地植えの場合は基本的に、自然の雨水だけで大丈夫です。乾燥が続いて雨が降らないときにだけ、週に1回を目安に朝か午前中に水を与えましょう。

肥料の施し方

ハボタンは基本的に葉の鮮やかな発色を楽しむ植物なので、開花に向けてせっせと肥料を与える必要はありません。むしろ肥料をやり過ぎると、葉がきれいに色づかなくなります。

覚えておきたいのは、土中のチッ素分が多過ぎると葉色の緑が強くなり、白やピンクの発色が悪くなるということ。そのため、植えつけ(定植)時に元肥として緩効性肥料を施したあとは、追肥は基本的に必要ありません。特に葉が色づき始める10月以降に肥料を与えてしまうと、葉色がきれいに出ないので禁物です。

ただし、ミニサイズのハボタンなどで生長具合が思わしくない場合は、本格的に生長する前の5~9月に液体肥料を追肥してもよいでしょう。

花が咲いたら…

ハボタンの色鮮やかな葉色が楽しめるのは冬から春まで。その後は株の中央部から花茎がぐんぐん伸びて、ナノハナに似た淡い黄色の花を咲かせます。そうなると草姿が大きく乱れ、“葉を愛でる”ハボタン本来の形ではなくなるため、1年草としての役目は終了となります。花も楽しみたい場合は、そのまま育て続けましょう。花の盛りが過ぎたら、花茎を切り取って「踊りハボタン」として楽しみます。切り取った花茎の下部から新芽が発生し、晩秋に再び色づいて、分枝した様子が人が踊っているようにも見えるハボタンになります。

立派に育てるための、植え替え時期と方法

ハボタンを、葉を観賞する1年草として楽しむのであれば、苗から育てた場合は植えつけ後の植え替えは必要ありません。ただし、種から育てた場合は発芽後にポリポットに移植して育苗したあと、鉢や庭に植え替えをして大きく育てる必要があります。

夏に種まきを行ったハボタンは、2~3日で発芽します。本葉が3枚ほどになったら、植えつけまでしっかり育てるためにいったん3号(直径9㎝)のポリポットに移植します(鉢上げ)。1か月ほどして、ポリポットの上から見て、表土が見えないほどに育ったら、最終的に育てる鉢や庭などに植えつけます(定植)。

植え替えの手順
①3号(直径9cm)ポリポットに鉢底ネットを敷き、培養土を6分目ほど入れておきます。
②本葉が3枚ほどになった幼苗をピンセットやスプーンなどを使って、根を傷つけないよう周りの土ごと掘り上げます。
③掘り上げた幼苗を土ごとポリポットに入れ、片手で株を支えながら培養土を入れます。
④新しい培養土を双葉の下に入れてから全体をならします。ポリポットの底を地面などに当てるように、軽くとんとんと落とすと土がなじみます。
⑤たっぷり水をあげれば、移植完了です。
⑥④の状態で幼苗を1か月ほど育て、ポリポットの上から見て、表土が見えないほどに育ったら、植えつけ(定植)のタイミング。根を傷めないように、ポリポットから根鉢(根と土がひとかたまりになったもの)ごと苗を抜き出します。
⑦最終的に育てる鉢や庭などに苗を置きます。鉢で育てる場合は、あらかじめ新しい鉢に鉢底ネットを入れ、鉢底石を敷き、培養土を入れておきましょう。
⑧苗の周りに土を足して、株を安定させます。
⑨たっぷりと水やりをします。

開花後の株を「踊りハボタン」に仕立てるなら、鉢植えの場合は春から初夏に根鉢(根と土がひとかたまりになったもの)を少し崩して、ひと回り大きな鉢に植え替えるといいでしょう。地植えの場合は、植え替えなくても構いません。

ハボタンに剪定は必要ありません

限られたスペース内で植物の日当たりや風通しをよくし、新しい芽を出させてより多くの花を楽しむために行う作業が剪定です。花ではなく葉を楽しむハボタンには、基本的に剪定は必要ありません。下葉が黄色く枯れてきたら、取り除くだけで大丈夫です。

「踊りハボタン」に仕立てる場合は、新芽が伸びて分枝したあとに、全体のバランスを見ながら枝を整える程度でOKです。

知りたい! ハボタンの増やし方

ハボタンは「種まき」や「挿し芽(木)」で増やすことができます。

種の採取の時期と方法

種を採取するには、葉の観賞期が終わった春以降も育てて花を咲かせましょう。花後にさやができ、種が熟すとさやの色が黄色くなってきます。そのままにしておくと、さやが弾けて種が落ちてしまうので、花茎ごと採取し、紙袋などに入れて乾燥させてから種を取り出します。

※「交配種」「○○交配」「F1」と種の袋に記載されているものは、育てたものと同じような特徴が出にくいです。ただし、今までにない花が出ることもありますので、種まきにチャレンジするのもおもしろいです。

挿し芽(木)の時期と方法

ハボタンは、挿し芽(木)という手法でも数を増やすことができます。挿し芽の適期は5月中下旬~6月中下旬頃、方法は以下のとおりです。

①開花後に出てきた、新芽のついている茎を切り取ります。この切り取った茎を“挿し穂”といいます。
②挿し穂の切り口を、よく切れる剪定バサミで斜めにもう一いちど切ります。切り口は1時間ほど、水につけておきます。
③茎についた葉や脇芽のうち、挿し芽をした際に土に埋まってしまう部分を切り口が斜めになるように切り取ります。また、上のほうの葉も、枚数が多い場合は、切り取って半分くらいに減らしておきましょう。脇芽も忘れずにかき取っておきます。
④挿し芽の用土は、あらかじめ十分湿らせておきます。挿し穂を挿し込みやすくするために、細い棒で穴を開けます。
⑤挿し穂を傷めないよう、用土に切り口を2~3㎝挿し込みます。隙間が生じないように、そっと土を寄せます。
⑥日陰で2週間ほど土を乾燥させないように水やりを続け、徐々に半日陰から日なたに移して管理します。

毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです

育てるときに注意したい病気

黒腐病(くろぐされびょう)
ハボタンが属するアブラナ科のキャベツやブロッコリー、カリフラワーなどの野菜に発生する病気です。葉の縁に灰白色から黄白色がかった斑点ができ始め、次第にVの字または不整形を描くように葉全体に広がっていきます。特に7~10月、高温多湿で肥料過多の場合に多発します。風や雨によって運ばれた細菌が引き起こす病気なので、風通しのよさを心がけ、肥料を施しすぎないことが発病させないコツです。

うどんこ病
春~秋にかけて発生しやすい、カビが原因の病気です。全体がうどん粉をまぶしたように白い粉状の菌糸で覆われます。なんとなくうっすら白い程度の発生初期であれば、殺菌剤を使って繁殖を防ぐことができます。症状が進んでしまっている場合は、葉っぱを切り取る必要があり、その部分はもう回復させることができないので、早めに対応しましょう。

立枯病
土の中で菌が繁殖して、根や地際の茎から感染する病気。春から初秋の高温多湿な時期に発生しやすくなります。はじめに根が被害を受けるため、生育不良となり、最後は枯れてしまいます。できる範囲で病変部位は切り捨て、立枯病に効く殺菌剤を散布しましょう。病原菌は土壌で繁殖するので、地植えの場合は基本的には連作を避けることで、ある程度は発生を防げます。

育てるときに注意したい害虫

アオムシ
3~11月に発生。モンシロチョウなどの幼虫で、主にアブラナ科の野菜や植物を食害します。早期発見、早期防除が基本です。葉の裏表をよく観察して、幼虫を見つけたら箸で取り除きます。食害が進んで幼虫が大きく育つと薬剤が効きにくくなるので、薬剤の早期散布が基本です。4~5月と10月のまだ幼虫が小さい時期であれば、被害は少なく簡単に退治できます。

アブラムシ
春から秋の高温乾燥時期に発生しやすいので要注意です。新芽や葉裏などに寄生して栄養を吸い取り、生長を妨げます。「ウイルス病」を媒介したり、排泄物の上に「すす病」が繁殖して黒くなったりすることがあります。寄生しているアブラムシを見つけたら、手袋をつけた手でつぶすか、ガムテープなどで貼りつけて取り除きます。大量の場合は薬剤を散布して駆除しましょう。

コナガ
4~11月に、アブラナ科の野菜類に発生する蛾の幼虫。葉裏について、葉脈だけ残して葉肉を食いつくすので、表皮がすけたようになります。多発すると、葉全体が白っぽくなり、株の生育が衰えます。早期発見、早期防除が基本。葉の裏表をよく観察して、幼虫を見つけたら箸で取り除きます。

ヨトウムシ
昼間は株元に潜み、夜間に食害する夜行性のヨトウガなどの幼虫です。4~6月と9~11月頃に出やすく、ふ化直後は群生して葉を食害し、大きくなると夜に活動して葉はもちろん株全体を食べつくしてしまいます。なるべく、ふ化直後の葉裏に群生しているときに、薬剤を使って退治するのがポイントです。また、葉裏に卵が生みつけられていないか時々チェックして、見つけたら葉ごと処分しましょう。

ハボタンと相性のよい寄せ植えの植物

ハボタンほど、寄せ植えに活躍してくれる植物はありません。バラのような株姿を生かして主役に置くことも、カラーリーフ(差し色やアクセントカラーになって引き締めてくれる役割の植物)として脇役に使うこともでき、どんな植物とも合わせやすいのがハボタンの魅力! さらに、和風にも洋風にも仕上げられるのが強みです。

ハボタンの寄せ植えを作る際、ポイントにしたいのは「色」「高低差」「動き」です。たとえば、ハボタンの葉色がピンクなら、合わせる花も薄いピンクから濃いピンク、赤と同系色でまとめれば、華やかなグラデーションが楽しめます。また、ハボタンを中心にして背の高い植物や低い植物を前後に配して高低差をつけたり、垂れ下がる花やツタ性の植物で動きを出したりすると、おしゃれで飽きのこない寄せ植えになります。

ハボタンの鑑賞時期と同じ時期に花が咲く、または葉が美しく色づくものを合わせると楽しみが深まるため、それらの植物を高さ別に紹介します。

背丈の低い植物
パンジー、ビオラ、アリッサム、オキザリス、チェッカーベリー、プリムラ・ポリアンサ(プリムラ・ジュリアン)、スイートバイオレット、アイビーなど

背丈が中くらいの植物
キンギョソウ、カロケファルス(プラチーナ)、ガーデンシクラメン、フクジュソウ、シロタエギク、スノードロップ、スイセン、スノーフレーク、ノースポールなど

背丈が高い植物
コニファー、エレモフィラ、ナンテン、ストック、エリカなど

もちろん、ミニハボタン、ちりめん系、高性種など、ハボタンだけで数種類の品種を集めても、見ごたえのある寄せ植えに仕上がります。鉢や庭での寄せ植えだけでなく、ミニサイズのハボタンを中心にリースやハンギングにしてエントランスに飾れば、クリスマスから早春まで華やかに目を楽しませてくれますよ。

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Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・岸田直子

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