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ガーベラを増やしたい! 最適な時期と方法、注意点を知っておきましょう

ガーベラを増やしたい! 最適な時期と方法、注意点を知っておきましょう

贈ると喜ばれ、もらうと幸せな気持ちになる、ガーベラ。色彩豊かで、はっきりした花色と丸く愛らしい花顔が特徴で、明るく健康的な印象から、多くの人々に親しまれています。切り花を飾って楽しむのも素敵ですが、自分で育てればより魅力を堪能できます。しかも、上手に栽培すれば、増やせることも! 今回は、ガーベラを増やすための方法や時期、タイミング、注意点をわかりやすく紹介します。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ガーベラを育てる前に知っておきたいこと

ガーベラは多年草で、きちんと管理して育てれば、数年にわたり花を咲かせてくれます。まずは、ガーベラと仲よくなるための基本情報を知っておきましょう。

ガーベラの基本データ
学名:Gerbera jamesonii Hybrid
科名:キク科
属名:ガーベラ属
原産地:南アフリカ
和名:花車(ハナグルマ)、大千本槍(オオセンボンヤリ)
英名:Gerbera
開花期:3~5月、9~11月
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、緑、茶、複色
発芽適温:20~25℃
生育適温:10~20℃
切り花の出回り時期:オールシーズン
花もち:5~10日

ガーベラを種から育てるなら、植えつけは4~5月がベストです。また、暑さが落ち着く9月下旬~10月中旬も種まきに適しています。苗は、3月中旬~5月、または9月中旬~10月に出回ります。ガーベラを育てるには、気づかうべき点がいくつかあります。ここでは、ガーベラの増やし方をテーマに、詳しく説明します。

植物を増やすには、いくつかの方法があります

ガーベラの増やし方を説明する前に、まずは植物全体に共通する”増やす方法”について知っておきましょう。

一般的な植物の増やし方は、「種子繁殖」と「栄養繁殖」の2種類に大きく分けられます。「種子繁殖」とは、その名のとおり種による繁殖方法です。一方の「栄養繁殖」には、以下のような方法があります。

挿し木
葉、茎、根など植物体の一部を切り取って、用土や水に挿して発根させ、新たな個体を得る手法。

株分け
親となる植物を根とともに分けて、複数の株を得ること。一度に得られる株数は少ないですが、大株になったものや老化した株の更新にも用いられる手法です。

接ぎ木
植物体の一部を、台木となる別の植物に接合して生育させる方法。病害に強い丈夫な個体を得るために、バラのほか、トマト、キュウリ、ナスなどの果菜類にもよく用いられます。

取り木
親となる植物の一部に傷をつけて、茎などの途中から発根させたあと、親株から切り離して新たな個体を得る方法。挿し木でうまくいかない植物でも増やすことができます。観葉植物や樹木などで多く用いられます。

分球
スイセンやチューリップなどの球根植物に用いられ、球根を分けて個体を増やす方法。球根類は成長すると、親球から小さな子球(しきゅう)ができます。その子球を切り離して、数を増やしていきます。子球が増えすぎると、親球が痩せたり、花が咲きにくくなったりするので、何年かにいちどの割合で、この作業が必要な植物もあります。

このほかに、ムカゴや木子(きご)といった形で増える植物も存在します。また、家庭栽培ではほとんど行いませんが、「組織培養」と呼ばれる人為的な増やし方もあります。

ガーベラを増やす、最適な方法と時期

ガーベラは、「株分け」または「種子繁殖=種まき」の方法で増やします。ただし、ガーベラの種子繁殖は、親のガーベラと同じような花が咲くとは限らないため、株分けが一般的。増やし方の最適な時期は方法ごとに異なります。

株分けの適期

株分けに適しているのは、3月中旬~4月、または9月中旬~10月中旬で、花が咲いていないときです。また、根詰まりなどを防ぐ「植え替え」をする予定があれば、株分けも同時に行うのがおすすめ。なぜなら、掘り起こして根を傷つける可能性を減らせるからです。

種まきの適期

ガーベラは4~6月と10~11月の年2回、花を咲かせます。種は花が枯れてから採取するため、上手に育てれば2回入手できます。

ガーベラの発芽適温は20~25℃。地域によって異なりますが、八重桜が開花する頃(おおむね4月中下旬~5月中旬)が種まきに適しています。秋にもまくことはできますが、寒さに弱い品種だとうまく育たない可能性があります。

※市販の種で袋に「交配種」「○○交配」「F1」と記載されているものは、育てたものから種を採ってまいても、親のガーベラと同じような花を咲かせないことがあります。しかし、考えようによっては、今までにない花を育てられるおもしろさも。もし、同じ花を求めているなら、株分けの方がよいでしょう。

知りたい! ガーベラの増やし方「株分け」

準備するもの

鉢植え、地植え共通
・株分けするガーベラ
・肥料(肥料が含まれていない土を使う場合に必要)
・ハサミまたはナイフ(なくても大丈夫ですが、あると便利)
・土入れ、またはスコップ
・ラベル
・ジョウロ

*鉢植えで増やす場合は、下記のものも用意
・5号以上の鉢または横長プランター(鉢植えで育てる場合)
・土
・鉢底ネット
・鉢底石

土は、苦土石灰を混ぜた培養土、または赤玉土(小)・腐葉土・パーライトを5:3:2の割合で混ぜたものを使います。
※詳しくは、「ガーベラを元気に育てるには、適した土作りと植え替えが必要です」を参照。

株分けの手順

①鉢植えで増やす場合は、新たに植える鉢(またはプランター)に鉢底ネットを入れ、鉢底石を敷き、培養土を鉢の高さ1/3ほどまで入れます。
地植えで増やす場合は、花壇に元肥を施し、ガーベラを植える場所をやや高めに土を盛ってから穴を掘ります。
②茎が2~3本あるガーベラを選んでください。根を傷つけないようにしながら、鉢から株を抜きます。
③根の周りに付いている土を丁寧に落とし、手で株と株を切り分けます。分けにくい場合は、清潔なハサミやナイフを使いましょう。
④傷んでいる根や葉、下の方の大きな葉を取り除いてください。
⑤鉢植えの場合は、植え替え先の鉢(またはプランター)の中心に苗を置き、その周りを埋めるように土を隙間なく入れます。地植えの場合は、掘った穴にガーベラをひと株ずつ植えます。いずれも、芽が地上に出るような位置で浅めに、かつ、土が少し盛り上がっている状態で植えると、水はけがよくなります。プランターや花壇などに複数植えるときは、株同士の間を30㎝ほどあけて植えてください。
⑥株分けを終えたら、水をたっぷり与えます。
⑦鉢植えの場合は、直射日光が当たらない明るい日陰に置きます。新芽が出たら、日が当たる場所に移動しましょう。

コツと注意点

株分け直後の植物は、とても弱っている状態です。直射日光は刺激が強いため、すぐに日なたへ置くのは避けましょう。

知りたい! ガーベラの増やし方「種まき」

準備するもの

鉢植え、地植え共通
・ピンセット(なくても大丈夫ですが、あると種を採取しやすいので便利)
・保存用紙袋(封筒など)
・密閉保存容器
・乾燥剤(あるとベスト)

種を採る手順

ガーベラが開花し始めたら、咲き終わってしおれた花(花がら)を積極的に摘み取りましょう。なぜなら、花がつくとそちらに養分がいくため、ガーベラ全体の花つきが悪くなってしまうからです。その後、花数が減って開花シーズンが終わりに近づいたら、次は種の採取に取り掛かります。花がらを摘まず、そのままにして種を育てるのです。ガーベラの種は、花の中心部分から採れます。

花が枯れ、その中心部分が綿毛になったら、その綿毛を抜いてみてください。綿毛の先に、ガーベラの種がついています。綿毛は取らなくても種まきに影響はありません。採取した種は封筒などに入れ(ビニール袋は避けてください)、乾燥させてから冷蔵庫などの冷暗所で、植えつけまで保管します。

コツと注意点

種の採取は晴れた日に行いましょう。雨降りの日や雨上がりなどで湿気を含んでいるときに採取すると、種が腐ってしまう可能性があります。

きれいなガーベラを増やすことができれば、育てる喜びも倍に! ぜひ、株分けや種まきにチャレンジして増やし、美しいガーベラを切り花で室内に飾ったり、ギフトにしたり、ドライフラワーにしたりと、楽しみの幅を広げてみてください。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・白神雅子

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