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イチゴのふやし方。最適な時期と方法、注意点を紹介します。

イチゴのふやし方。最適な時期と方法、注意点を紹介します。

イチゴを栽培するには、園芸店などで苗を買って植え付けるのが一般的ですが、じつは自分で株をふやすこともできます。「ランナー」と呼ばれる茎につく新芽を根付かせ、苗を育てる方法です。丈夫でよい果実をつける株から苗を作ると、その性質は次世代にも受け継がれます。イチゴは一度植えると数年間栽培できますが、年数が経つにつれて株が老化したり、病気にかかったりして、収穫量や品質が落ちてしまいます。いま育てているイチゴを引き続き栽培したい場合は、ぜひ苗作りに挑戦してみましょう。苗作りのポイントは、よい株を選び、ランナーをうまく根付かせることと、元気に夏越しさせること。そのための方法をご紹介します。監修・深町貴子(園芸家)

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イチゴのランナーとは?

イチゴを育てていると、初夏ごろから、細いひものような茎がたくさん伸びてきます。この茎が「ランナー」で、地面を這うように伸びることから、「ほふく茎」「ほふく枝」とも呼ばれます。ランナーの先には新芽が育ち、それが土に根付くと、新しい株になります。畑で育てている場合は、周りの地面に勝手に根付いて成長することもあります。

イチゴの苗作りを始める時期

イチゴのランナーは6月ごろから盛んに伸び始めますが、このころはまだ収穫が続いています。実がついている間にランナーを伸ばしておくと、そちらに栄養分が奪われて収穫量が減ってしまうので、株元の近くで、ハサミで切り取るようにします。株が元気な状態なら、ランナーは次々に伸びてくるので、苗作りをするなら、収穫が終了してから始めるとよいでしょう。

親株の選び方

もともと植えられているイチゴを「親株」、新しく育てる次世代の株を「子株」または「子苗」と呼びます。子株は親株の性質を受け継ぐので、苗作りをするなら、よい実をたくさんつけた親株を選びます。小さく弱々しい株や、葉が変色したり縮れていたりする株は、病気にかかっている可能性があるので避けるようにしてください。

子株の選び方

苗の作り方はとても簡単ですが、一つ注意点があります。ランナーには間隔をあけていくつかの子株がつきます。この中で、親株に最も近い子株は、その後の成長が不安定になりやすいので苗作りには向きません。親株から数えて2番目、3番目の子株を選んで、苗作りを始めましょう。

イチゴの苗作りの方法

苗作りのために用意するものは、3号(直径9cm)のポリポットと培養土、子株を固定するためのUピンです。培養土は野菜用のものを準備しましょう。Uピンは針金などを曲げて自作することもできます。

苗作りは、次の方法で行います。必要な株数より、少し多めに育てておくのがおすすめです。

①培養土をポリポットの縁から2cmほど下まで入れます。

②親株から数えて2番目、3番目の子株を選び、ポリポットの土の上に置きます。

③株元をUピンで押さえて、土に固定します。このとき、新芽の中心を挟まないようにしましょう。

④たっぷりと水やりします。その後も、土の状態を確認して、乾いていたら水やりをしましょう。

⑤1週間ほど経つと、子株から根が伸びて土に根付きます。軽く動かしてみて、ぐらぐらしなければ根付いている証拠なので、ランナーを切り離します。親株とつながっている側のランナーと反対側に花や実がつくので、そちら側を数cm残しておくと、植え付けのときに向きを決める目印になります。

⑥切り離した子株は日当たりと風通しの良い場所に置き、水やりを続けながら、秋の植え付けまで育てます。

イチゴの苗を夏越しさせる方法

苗を育てている間に、夏がやって来ます。秋まで元気に育てるには、夏越しのための環境作りも大切なポイント。イチゴの生育に適した温度は18〜25℃で、暑さにはあまり強くないため、真夏は直射日光を避け、半日陰に移動させるなどの対策が必要です。

特にマンションなどのベランダで育てている場合、日差しの照り返しで床のコンクリートがかなりの高温になります。半日陰になる場所があればそちらに移動させるか、ない場合はすだれやシェードを設置して日差しをやわらげるようにしましょう。

また、床のコンクリートの熱はポットの土にも伝わるので、イチゴの根を傷めてしまう原因になります。床に直接置くことは避けて、すのこを敷いたり、ガーデンラックに載せたりして、下からの熱を遮るようにしましょう。

夏の間はポットの土も乾きやすくなります。できるだけ毎日土の状態を確認して、乾いていたらたっぷりと水やりをします。

イチゴの苗を植え付ける時期

イチゴの植え付け時期は10月から11月にかけてです。植え付けが遅れると、その後の生育にも影響するので、タイミングを逃さないようにしましょう。プランターや培養土など、必要なものを事前に準備しておくと、スムーズに植え付けができます。

育てた苗の中から、葉の色が濃く、元気なものを選んで植え付けます。葉が黄色く変色していたり、チリチリしていたり、白や茶色の斑点があったりするものは、病気や害虫の可能性があり、植えてもうまく育たない場合があります。おいしいイチゴを収穫するには、元気な苗を植えることが欠かせない条件ですから、できるだけ状態の良いものを選ぶようにしてください。

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Credit

記事協力

監修/深町貴子(ふかまち・たかこ)
園芸家。有限会社タカ・グリーン・フィールズ専務取締役。病弱だった幼少期に植物から「生きる」意味を学び、「園芸で人を幸せにすること」を人生目標とする。近年では「園芸は育て方より育ち方」をテーマに、集合住宅のコミュニティガーデンとしての菜園指導や、生活を楽しむための園芸講座を行っている。『趣味の園芸 やさいの時間』(NHK Eテレ)ほか、幅広いメディアへの出演や講演等を行い、園芸の楽しさを多くの人に伝えている。『プランターひとつで1年中おいしい!季節の野菜づくり』(PHP研究所)、『コンテナで育てるハーブと野菜』(西東社)、『はじめてでもできる!ベランダですずなり野菜』(カンゼン)、『おいしく育つしくみがひと目でわかる ベランダで楽しむ野菜づくり』(家の光協会)など、著書多数。

構成と文・磯野亜希子

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