光沢のある小さめの葉が美しいベンジャミンは、丈夫で育てやすいゴムノキの仲間です。初心者にもおすすめの観葉植物。葉の形や色のバリエーションが豊富で、おしゃれなインテリアグリーンとして人気があります。
目次
ベンジャミンを育てる前に知っておきたいこと
グリーンショップやホームセンターなどで、よく販売されている定番の観葉植物です。艶のある濃い緑色の葉に白っぽい幹が映え、枝は柔軟でさまざまな形に仕立てやすく、強い刈り込みに耐えます。日当たりのよい場所が適しますが、耐陰性があるので、室内の明るい場所で楽しむこともできます。枝先を丸く刈り込んだスタンダード仕立てのものが特徴的ですが、自然風に仕立てたものも流通しています。
ベンジャミンの基本データ
学名:Ficus benjamina
科名:クワ科
属名:フィカス(イチジク)属
原産地: インド、東南アジア、オーストラリア
和名: シダレガジュマル、ベンジャミンゴムノキ
英名:Weeping Fig
生育適温:最低温度5℃
ベンジャミンはゴムノキの仲間としても知られ、ガジュマルやゴムノキ、プミラなど多くの近縁の種類が観葉植物として人気があります。高さ20mまでに達する高木で、気根を出しながら横に枝を伸ばします。また、ガジュマルなどと同様に「絞め殺しの木」としても知られ、他の木に巻きつき、最後は全体を覆って枯らしてしまいます。
ベンジャミンのなかで、人気の種類は?
ベンジャミンにはいくつかの品種があります。ここでは、入手しやすく人気の品種を紹介します。
‘スター ライト’ Ficus benjamina ‘Star Light’
葉に白斑が入った美しい品種です。
‘バロック’ Ficus benjamina ’Barok’
カールした葉が個性的な品種です。白斑の入った類似品種もあります。
ベンジャミンを育てるときに必要な準備は?
寒さには弱く、地植えには向かないため、鉢植えの観賞植物として育てます。
準備するもの
・ベンジャミンの苗
・鉢
・受け皿(鉢サイズにあったもの)
・鉢底ネット(鉢底の穴が一つの場合)
・土
・肥料(肥料の含まれない土を使う場合に必要)
・土入れ、またはスコップ
・割り箸など細い棒
・ジョウロ
・園芸用のハサミ
アジアン風のものなど、イメージにあった鉢や鉢カバーを用意すると、周囲をさらに雰囲気よく飾ることができます。鉢受け皿も忘れないように用意してください。
適した土作りが、育てるコツの第一歩
比較的、用土を選ばずよく育ちますが、排水のよい用土が適します。鉢花用や観葉植物用の培養土などを使うのが手軽です。ピートモスなどが多く、水もちのよい培養土は、軽石を1~2割加えるとよいでしょう。自分で用土を配合する場合は、室内向きの清潔で軽い用土にしたい場合の例として、赤玉土小粒5、ピートモス3、パーライト2などがあります。
ベンジャミンの育て方には、ポイントがあります。
置き場所
日なたから半日陰の場所が適します。8号鉢以上の枝葉が充実してきた株は、よく日光に当てたほうが株姿が引き締まり、病害虫の被害が少なくなります。
急な環境の変化で葉を落としやすく、置き場所を移動する場合は注意が必要です。3週間くらいかけて徐々に環境にならすようにしてください。
苗の選び方
葉が多く密につき、葉色もよく引き締まった印象の株を選びましょう。暗い場所に置かれていたような、徒長して軟弱ぎみの株は避けてください。
植え替え時期と方法
植え替えをせずに根詰まりすると生育が衰え、葉が少なくなって葉色が悪くなります。1~2年おきに、植え替えてください。適期は5~8月です。
①ひと回り大きな鉢を用意します。鉢底の穴が中央にひとつだけ空いている場合は、鉢底ネットを穴を塞ぐように敷きます。
② 鉢土の表面が鉢の7~8割程度の高さになるよう、鉢底部分に土を入れます。
③底の部分の土を少し落とし、枯れた根は切ってから、新しい土を入れた植えつけ用の鉢に置きます。入手したばかりの苗は、土を落とさずそのまま置いてよいでしょう。
④鉢のあいた部分に土を入れます。鉢と根の間に隙間なく土が入るよう、棒などでつついて入れ込みます。
⑤鉢底から水が流れ出すまで、たっぷり水をやって終了です。
同じ鉢に植え替える場合は、古い土や根を3分の1程度落とし、枝葉も同様に3分の1程度剪定します。作業後は、直射日光を避けた場所に置いてください。
ベンジャミンと仲よくなる日々のお手入れ
水やりのタイミング
春~秋の生育期は、鉢の表面の土が乾いたらたっぷりと水やりします。鉢底から水があふれるまで与えてください。鉢受け皿にたまった水は、必ず捨てます。そのままにしておくと、根腐れの原因になります。
冬の生育を停止している時期は、乾かしぎみに管理します。鉢土の表面が乾いてから、数日待って水やりをしてください。
肥料の施し方
5~10月の成長期に、窒素が多めか、NPKの3要素が等量含まれた緩効性化成肥料を規定量与えてください。また室内では、油粕などの有機肥料は匂いや虫の発生元になるので、注意が必要です。
剪定を行うときは、時期に注意しましょう。
枝葉が混み合って風通しが悪くなると、カイガラムシなどの害虫が発生しやすくなります。枝葉が混みすぎた部分の枝を付け根から切る、間引き剪定を行うと予防効果があります。間引き剪定はいつ行っても大丈夫です。
葉がまったくくなくなるほどバッサリと剪定する場合は、5~6月の生育期の初期に行うとよいでしょう。
大きく育ちすぎ、見苦しくなった株の仕立て直しは?
大きく育ちすぎた株は、バッサリと株元付近から切り戻し剪定をして、仕立て直すことができます。葉がまったくなくなってしまっても大丈夫なので、株元から10㎝以上の好きな位置で切ってください。
また植え替えも同時に行ってください。根鉢を半分程度まで落とし、同じ鉢かひと回り小さな鉢に植え替えます。
知りたい! ベンジャミンの増やし方
「挿し木」で増やすことができます。5~8月頃に、枝を10㎝ほど切り、葉を2~3枚ほど残して挿し穂とします。赤玉土やバーミキュライトなどの清潔な用土に挿してください。
毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです
育てる時に注意したい害虫
カイガラムシ
白いロウ状の物質が、枝などについていたらカイガラムシが発生しています。枝葉が密に茂り、風通しの悪い室内に置くと発生しやすくなります。カイガラムシが発生すると、排泄物で黒っぽい汚れが、葉や枝に目立つようになり、触るとベタベタします。樹液を吸われて生育も衰えるので、早めに防除してください。
カイガラムシはロウ状の物質のために薬剤が効きにくいので、ブラシなどでこすり落とすのがいちばん早く効果的です。ブラシなどでこすり落としたあと、薬剤をかけます。
ベンジャミンを元気に冬超しさせるには?
室内で5℃以上保てば越冬します。葉やけの心配がないので、窓際の日当たりのよい場所に置くとよいでしょう。ただし窓際付近は冷え込みやすいので、夜間は厚手のカーテンを引くようにしてください。
寒さなどで冬に葉を落としても、春に新葉が出てくる可能性が高いです。落葉してもあきらめず、1か月に数回は水を与えて様子を見てください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -
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