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ハオルチアの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます

ハオルチアの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます

ハオルチアは、ぷっくりとした肉厚な葉をもち、ユニークな姿形をした多肉植物です。ハオルシアとも呼ばれています。近年の多肉植物ブームをきっかけに、その存在を知った人も多いでしょう。特別なお手入れを必要としないハオルチアは、初心者の方でも育てやすい植物のひとつ。ここでは、ハオルチアへの水やり方法や注意点、適切なタイミングなどを紹介します。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお話を伺いました。

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ハオルチアを育てる前に知っておきたいこと

ハオルチアは、アロエに似た小型多肉植物で、南アフリカが原産地です。ハオルチア属の植物は500種以上あるといわれ、品種によってその姿形はさまざま。なかには、葉の先端部が半透明になっており、まるで宝石のように輝く品種もあります。

多くの品種は傾斜地や岩の間などに隠れ、葉の先端にある「窓」と呼ばれる半透明な部分だけを地表に出し、光合成を行います。

ハオルチアの基本データ
学名:Haworthia
科名:ツルボラン科
属名:ハオルチア属
原産地:南アフリカ
和名:―
英名: Haworthia
開花期:2~6月 (種類による)
花色:ピンク、白
生育適温:15~20℃

水やりの方法と、そのタイミング

ハオルチアの主な原産地は、年間を通じて空気が乾燥している南アフリカです。乾燥した環境でも生息できるよう茎葉に水を貯えているため、他の植物に比べ、水やりは控えめに行うといいでしょう。

ハオルチアの生育期にあたる春と秋は、用土の表面が乾いているのを確認したら、午前中のうちに十分な水を与えます。

夏と冬は休眠期にあたるため、ほとんど水を必要としません。用土の表面が乾いても、水やりは控えるのが賢明です。また、日中は避け、涼しい時間帯である朝のうちに水を与えるようにしましょう。

ハオルチアは、地植えにすると、うまく育たないことがほとんど。鉢やプランターで育てるのが一般的です。次の項からは、ハオルチアを鉢植えにした場合の水やりの方法を紹介します。

鉢で育てている場合の、ハオルチアの水やり

水やりの頻度

土の表面が白っぽく乾いたら、午前中のうちに水やりをします。春と秋の間は、週に1回ほどの水やりが必要ですが、それ以外の期間は、月1回ほどと考えていいでしょう。

水やりのコツ

水量の目安は、鉢底から水が流れ出るまで、です。水を鉢土の表面にゆっくりとかけながら、様子を見ましょう。鉢底から水が流れ出たら、水をかけるのをやめます。

水やりの確認方法

鉢土の表面が白っぽく乾いていたら、水やりをします。確認方法として、指で土の表面を触り、湿り具合を確認するクセをつけるといいでしょう。少し土を掘って内部を触ってみると、より湿り具合が分かります。また、以前の水やり直後に比べて鉢が軽くなっていたら、土が乾いていると考えられるため、鉢を持ちあげてみるのもおすすめです。

水やりは、季節によっても多少変わります

水やりの具合は、天候のほか、植物の生育状態や季節で多少変わります。そこで、この項では、季節ごとの違いを見ていきましょう。

春、秋(鉢植え)

春と秋は、ハオルチアの生育期にあたり、芽や根がどんどん伸長します。土の表面が白っぽく乾いているのを確認したら、鉢底から水が流れ出るまで水を与えます。適した時間帯は、涼しい時間帯である午前中です。

夏(鉢植え)

ハオルチアは、初夏まで伸長を続けることが多いです。初夏までは、土の表面が白っぽく乾いているのを確認したら、鉢底から水が流れ出る程度の水を与えるといいでしょう。以降は休眠期間に入るため、水やりは月1回程度で十分です。水量も、春や秋に与えていた量より大幅に減らします。

夏季は特に、日中の水やりは厳禁です。強い日差しで土の中の水が熱くなり、 根を傷めてしまうことがあるからです。また、ハオルチアには高温多湿な環境に弱いという性質があるため、水の与えすぎには注意してください。屋外で鉢植えを保管する場合、雨が当たらないよう、軒下に置くといった工夫を施しましょう。

冬(鉢植え)

ハオルチアの休眠期間にあたるため、水やりはほとんど必要ありません。月1回程度が、回数の目安となります。水量も、春や秋に与えていた量より大幅に減らします。

鉢植えを屋外で保管している場合、夕方から晩にかけて水やりをすると、用土に含まれた水が夜の間に凍ってしまうことがあります。必ず午前中のうちに水やりをしましょう。冬は土を凍らせないよう、夏と同様に軒下で管理します。

気温が3℃以下になる日には、室内の日の当たる窓辺に避難させてください。屋外に出しっぱなしにしておくと、葉の中の水分が凍結し、大事に育てた多肉植物がダメになってしまうこともあります。

ハオルチアの水やり、注意点が知りたい

鉢植えの場合の注意点

ハオルチアは比較的乾燥に強い植物ですが、他の多肉植物よりも水を好むという性質があります。水やりの回数を他の多肉植物と同等にしてしまうと、しっかりと育たないことがあるため、定期的な水やりは欠かさないようにしましょう。

それと同時に、水の与えすぎには注意します。特に、ハオルチアの休眠期にあたる夏と冬は、水をやりすぎると根腐れを起こしやすくなります。また、鉢植えの受け皿に溜まった水も根腐れの原因となるため、水やりをした後は、欠かさず鉢受け皿をチェックしましょう。葉の乾燥が気になったら、安易に水やりをするのではなく、葉水や霧吹きをするのがおすすめです。

他の植物と同じく、ハオルチアは極端な乾燥と湿気を苦手とします。日々観察をしながら、適切な水やりを心掛けましょう。

ハオルチア栽培のなかで、水やりの役割

ハオルチアをはじめとする多肉植物に限らず、すべての植物は光合成を行って成長していくために、光と水が必要です。

葉の中にある葉緑体に光が当たると、光合成が行われます。導管(根から通っている水を運ぶ管)から運ばれた「水」と、葉の裏にある気孔から取り入れた「二酸化炭素」を材料にして、ブドウ糖が生成されるのです。このブドウ糖が、植物のエネルギー源。水やりは光合成のためでもあるのです。

水やりにはもうひとつ、理由があります。土の中に発生したバクテリアを洗い流すため。ただし、過度な水やりは、土の中を過湿状態にし、バクテリア繁殖の原因になります。適度な水やりを心掛けましょう。

日々の水やりは、植物の様子を観察する時間でもあります。土の乾き具合を確認しながら、花色や葉色はどうか、虫害や病気は出ていないかなどを見ることで、ハオルチアを元気に育ててください。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・アマナ/ネイチャー&サイエンス

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