まんまるで愛らしい花顔と、明るく元気なイメージの花色が魅力的なガーベラの花。野生種は40種ほどですが、品種改良で生まれた園芸種は、世界でなんと約2000品種もあります。切り花が1年中出回るガーベラは、飾ることはもちろん、育てても楽しい植物。注意すべきポイントを押さえれば、園芸初心者も美しい花を咲かせられます。そのポイントのひとつが水やり。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する園芸研究家の矢澤秀成さんに、上手な水やり方法をお聞きしました。

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ガーベラを育てる前に知っておきたいこと

ガーベラは多年草で、きちんと管理して育てれば、数年にわたり花を咲かせてくれる植物です。まずは、ガーベラと仲よくなるための基本情報を知っておきましょう。

ガーベラの基本データ
学名:Gerbera jamesonii Hybrid
科名:キク科
属名:ガーベラ属
原産地:南アフリカ
和名:花車(ハナグルマ)、大千本槍(オオセンボンヤリ)
英名:Gerbera
開花期:3~5月、9~11月
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、緑、茶、複色
発芽適温:20~25℃
生育適温:10~20℃
切り花の出回り時期:オールシーズン
花もち:5~10日

ガーベラを種から育てるなら、植えつけは4~5月がベストです。また、暑さが落ち着く9月下旬~10月中旬も種まきに適しています。苗は、3月中旬~5月、または9月中旬~10月に出回ります。ガーベラを健康的に育てるには、ポイントがいくつかあります。ここでは、植物の栽培で特に重要な“水やり”をテーマに、次の項以降で詳しく説明しましょう。

水やりの方法と、そのタイミング

ガーベラの原産地である南アフリカは、夏は雨が少なく涼しい気候で、冬は日の照る時間が長く温暖な気候です。そのため多湿に弱く、常に湿っている状態だと根腐れしやすくなります。一方で、水切れすると成長が止まります。

ガーベラの水やりは「基本的には控えめの頻度で、土が乾いたらたっぷりと水を与える」と覚えておきましょう。

水やりの際は、葉を避けて地表の近くから株の根元にそっと水をかけます。花に水をかけると傷みやすくなるため、気をつけてください。

水やりをする時間帯も気遣うべき点です。基本的に、朝がベスト。気温が高い日中に水やりをすると、水温と外気の温度差が植物にストレスを与えます。

ガーベラは鉢植え、地植えのどちらでも栽培できますが、それぞれ水やりの頻度は異なります。次の項からは、植えつけ別の水やりを紹介します。

鉢で育てている場合の、ガーベラの水やり

水やりの頻度

「2. 水やりの方法と、そのタイミング」で紹介したとおり、ガーベラは多湿を嫌う植物ですから、水やりの頻度は控えめにします。土の表面が白っぽく乾燥してきたら、水をかけてあげましょう。前述したとおり、水やりは朝がベストです。

水やりのコツ

ガーベラの鉢植えに水やりをするときは、「鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える」のが正しい方法です。ガーベラの根は太く、地中深くまで張ります。そのため、土の表面上が濡れる程度では、根までしっかりと水が届かず、水切れ状態となります。

また、鉢を水はけのよい状態にしておくことも重要です。水はけが悪くて常に湿っていると、根腐れを起こすため注意してください。鉢受け皿の水は溜めないようにしましょう。

水やりの確認方法

水やりのタイミングは、土を観察するとわかります。土が白っぽくなっていたり、指で触るとカラカラに乾燥していたりしたら、水をあげましょう。また、鉢土にあらかじめ割り箸などを刺しておき、引き抜いて湿り気具合から判断する方法もおすすめです。鉢が両手で持てる大きさなら、水やり前と水やり後の鉢の重さを体感しておくという手もあります。

地植えの場合の、ガーベラの水やり

水やりの頻度

地植え栽培では、植えつけ後にガーベラがしっかり根づいたら、日常的な水やりは必要ありません。ただし、雨が降らない日が長く続いて乾燥が激しいときは水を与えてください。

水やりのコツ

鉢植えと同様、地中深く張られている根に水が届くように、たっぷりと与えます。花にはかけず、株の根元に水をそっとあげましょう。

水やりの確認方法

ガーベラは水切れすると花びらや茎がしおれ、成長が止まることがあります。地植えでは、ふだんの水やりは必要ありませんが、花や茎に元気がなくなってきたら、すぐに水をあげてください。特に、夏場や極端に雨が降らない日が続いたときなどは要注意です。

水やりは、季節によっても多少変わります

水やりの具合は、天候のほか、植物の生育状態や季節で多少変わります。そこで、この項では、季節ごとの違いを見ていきましょう。

春(鉢植え、地植え)

春は苗と種の、植えつけ適期です。鉢植えと地植えのどちらも、植えつけをした直後は、水をふんだんに与えます。その後は、鉢植えなら土が乾燥したときに水を与えます。地植えは、土の乾燥が激しいときのみ与えてください。基本的には、乾燥ぎみの環境が、ガーベラにとって最適です。

梅雨時(鉢植え、地植え)

多湿を嫌うガーベラにとって、梅雨は試練のシーズンです。鉢植えは雨がかからない場所に移動させ、水やりは控えめに。地植えの場合は移動できないため、苗や種の、植えつけ時に、土の水はけをよくしておくことが大切です。

夏(鉢植え)

温暖な気候を好むガーベラですが、高温は苦手。そのため、夏場は直射日光を避けて管理します。水やりも早朝の涼しい時間帯に行ない、量を控えめにして与えてください。

秋(鉢植え、地植え)

秋も苗と種の、植えつけ適期です。植えつけ直後は春と同じように水を与えましょう。すでに栽培中のものに関しては、土が乾燥したら与えるというペースで問題ありません。

冬(鉢植え、地植え)

冬は寒さで成長が停滞するため、水やりは控えめにします。ガーベラは、気温が0度以下になると葉が枯れて休眠状態になりますが、枯死しているわけではありません。鉢植えの場合は、回数を減らし、引き続き水を与えます。寒冷地なら、冬期は室内で育てるのがよいでしょう。地植えの場合は水やり不要です。

ガーベラの水やり、注意点が知りたい

鉢植えの場合の注意点

ガーベラの水やりで気をつけたいことは、水を与えるタイミングと量です。

鉢植えの場合はつい、水やりをこまめに行いがちです。しかし、土が常に湿った状態は株を弱らせたり根腐れを招いたりするため、避けましょう。

水を与えるときは、地中深く張った根の先まで水が行き渡るようにたっぷりと与えます。土を水はけのよい状態にして、水切れしないように適度に与えるのが、上手な水やりのコツです。また、鉢受け皿を使っている場合は、鉢底から流れ出た水は捨ててください。

地植えの場合の注意点

苗や種の、植えつけ時に水を与える以外は、基本的に雨水で育てられます。鉢植えと同じく、過剰な水分は植物を傷めるため、やめましょう。

ただし、夏場など乾燥しやすい時季や雨が降らない日が長く続いたときは、土の状態を確認してから、水をふんだんに与えます。土の表面だけを見るのではなく、指で軽く掘って地中も乾燥しているのを確かめてから与えてください。

水やりは、植物に水分を与えるだけではなく、酸素や栄養分を供給し、温度を調節するためにも欠かせない世話のひとつです。栽培方法や季節、天候などの環境を踏まえて、適した方法で水やりを行いましょう。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・白神雅子

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