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コーヒーノキ(コーヒーの木)の育て方。コツとお手入れ方法、植え替えや関連の情報を一挙紹介します

コーヒーノキ(コーヒーの木)の育て方。コツとお手入れ方法、植え替えや関連の情報を一挙紹介します

今ブームのコーヒーは、観葉植物としても人気です。艶やかな葉が美しく、耐陰性があるため室内によく置かれて親しまれています。適切に育てれば芳香のある白い花と、鮮やかな赤い実を楽しむことも期待できます。ここではコーヒーノキ(コーヒーの木)を育てる際の日々のお手入れから、置き場や水やりなどの育て方のコツ、関連の情報まで、あますことなく紹介します。

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コーヒーノキ(コーヒーの木)を育てる前に知っておきたいこと

観葉植物として現在人気があり、園芸店だけでなく雑貨店や100円ショップなどでも株を入手できます。家庭でも適切に管理すればコーヒーの実をならせて収穫できるので、自家製コーヒーを作って味わうのも十分可能でしょう。

コーヒーノキの基本データ
学名:Coffea arabica
科名:アカネ科
属名:コーヒーノキ属
原産地: エチオピア
和名:アラビアコーヒーノキ
英名:Arabian Coffee
生育適温:15〜25℃

艶のある緑の葉が美しい常緑低木です。樹形が自然に整い、観葉植物として最適です。日光を好みますが、暑い夏の強光線に当たると葉が傷んで茶色く枯れます。日光不足によく耐えるため、室内で主に育てられます。寒さには弱いですが、中サイズ以上の株なら室内で容易に越冬します。

種子がコーヒー豆として利用される種類はいくつかありますが、アラビアコーヒーノキから収穫されるコーヒー豆が、流通量の7割を占めます。一般に観葉植物として流通するのもアラビアコーヒーノキで、コーヒーブームと相まって人気です。7~8mほどの高さまで成長しますが、剪定に耐えるので生産地では3mほどの高さで栽培されています。

白い芳香のある花は葉の付け根にまとまってつき、一度花がついた部分には再度花は咲きません。きれいな赤い果実はチェリービーンズと呼ばれ、果肉には甘味があります。果実の中に2つのタネがあり、コーヒー豆として利用されます。

コーヒーノキ(コーヒーの木)の種類は?

コーヒーノキの仲間は、アフリカやマダガスカルに約100種ほどが知られています。アラビアコーヒーノキ以外の種類は、観葉植物として一般に流通することはありません。

ロブスタコーヒーノキ Coffea canephora var. robusta
コーヒー3原種の1つと言われますが、正式にはコンゴ原産のカネフォラ種の変種です。コーヒー豆は酸味や苦みが強いですが、インスタントコーヒーの原料になります。アラビアコーヒーノキよりコーヒー豆の収穫量が多く、暑さや病害虫に強く育てやすいです。

リベリカコーヒーノキ Coffea liberica
西アフリカ原産で、コーヒー豆としての品質がアラビアコーヒーノキと比べて劣るため、3原種の中では最も生産量が少ないです。コーヒー栽培の大敵の線虫対策のため、コーヒー生産地でアラビアコーヒーノキを接ぎ木繁殖する際、台木として使われることがあります。

コーヒーノキ(コーヒーの木)を育てるときに必要な準備は?

寒さや強光線に弱く地植えには向かないため、鉢植えとして育てます。主に小~中サイズの鉢植えがよく見られるほか、10号鉢の大株も流通することがあります。また鉢内に種を数個蒔いて発芽させ、ボリューム感を増した鉢植えもよく見られます。グリーンショップやホームセンターの他、雑貨店や100円ショップなどで幅広く販売されているので、目にする機会も多いでしょう。

準備するもの
・コーヒーノキの苗
・鉢
・受け皿(鉢サイズにあったもの)
・鉢底ネット(鉢底の穴が一つの場合)
・土
・肥料(肥料の含まれない土を使う場合に必要)
・土入れ、またはスコップ
・割り箸など細い棒
・ジョウロ
・園芸用のハサミ

室内に鉢を飾るときは、周囲のイメージにあった鉢や鉢カバーを用意すると、見た目がさらによくなります。また受け皿の用意も意外と忘れがちなので、注意してください。

適した土作りが、育てるコツの第一歩

通気性と水はけのよい用土を好みますが、市販の観葉植物用の培養土などを使うのが手軽でしょう。自分で用土を配合する場合は、室内向きの清潔で軽い用土にしたい場合の例として、赤玉土小粒6、ピートモス3、パーライト1などがあります。
7~8号鉢以上の大株は、培養土や上記の自分で配合した用土に、軽石を1~2割程度足して水はけをよくしてください。

コーヒーノキ(コーヒーの木)の育て方には、ポイントがあります

置き場所

耐陰性があるので、室内の暗い場所に置かれている鉢植えが一般によく見られますが、本来は日光を好む植物です。ただし日本の夏の強い直射日光に当たると、葉が変色して枯れてしまう葉焼けを起こします。また夏の厳しい暑さも嫌うので、7月から9月の暑い時期は30パーセント程度の遮光下や、午前中だけ日光が当たるような半日陰に置いてください。
他の時期はできるだけ日光に当てたほうが生育がよくなり、株姿が間延びせずしっかりとした株になります。ただし室内の暗い場所から、急に窓際の日光がよく当たる場所に移動すると葉焼けすることがあります。3週間くらいかけて、徐々に明るい場所に移すようにしてください。

苗の選び方

販売店などで暗い場所などに長期間置かれていると、間延びして下葉が落ちてきます。葉数が多く、葉の色や艶がきれいな株を選びましょう。

植え替え時期と方法

根詰まりすると生育が衰え、下葉が落ちて株の先端付近だけに葉があるような株姿になってしまいます。1~2年おきに、一回り大きな鉢に植え替えてください。適期は5月から8月です。新しく入手した株も、一回り大きな鉢に植え替えたほうが水やりの手間が減り、生育も活発になります。

①ひと回り大きな鉢を用意します。鉢底の穴が中央に一つだけ空いている場合は、鉢底ネットを穴を塞ぐように敷きます。

② 鉢土の表面が鉢の7~8割程度の高さになるよう、鉢底部分に土を入れます。

③底の部分の土を少し落とし、枯れた根は切ってから、新しい土を入れた植え付け用の鉢にに置きます。入手したばかりの苗は、土を落とさずそのままでよいでしょう。

④ 鉢の空いた部分に土を入れます。鉢と根の間に隙間なく土が入るよう、棒などでつついて入れ込みます。

⑤ 鉢底から水が流れ出すまでたっぷり水をやって完成です。

古土を落とした場合は、直射日光を避けた明るめの場所に置いて管理します。

同じ鉢に植え替える場合は、古い土や根をを3分の1程度落とし、枝葉も同様に3分の1程度剪定します。作業後は直射日光を避けた場所に置いてください。

コーヒーノキ(コーヒーの木)と仲よくなる日々のお手入れ

水やりのタイミング

生育期は、鉢の表面の土が乾いたタイミングで、たっぷりと水やりします。鉢底から水があふれるまで与えるのが基本ですが、受け皿にたまった水は必ず捨てるようにしてください。そのままにしておくと根腐れの原因になります。

夏の高温乾燥時は、枝葉がよく茂った株や根詰まり気味の株、小株は鉢土がよく乾きます。毎日の水やりが必要な場合も多いので、よくチェックするようにしてください。

冬の生育を停止している時期は、乾かし気味に管理します。鉢土の表面が乾いてから数日待って水やりしてください。ただし暖房をつけた部屋に小さなサイズの鉢植えを置いている場合は、意外と用土が乾くことがあります。小苗は水切れすると深刻な被害を受けやすいので、注意してください。

肥料の施し方

5月から10月の成長期に、窒素が多めか、3要素が等量含まれた緩効性化成肥料を規定量与えてください。ただし暑さの厳しい場所では生育が衰えるので、夏は肥料は控えたほうがよいでしょう。また室内では、油粕などの有機肥料は匂いや虫の発生元になるので、注意してください。

コーヒーノキの花が咲いたら

上手に育てて株が1mを超すくらいの大きさに成長すると、花が咲くようになります。白い花はさわやかな芳香があって素朴な美しさがあり、そのままにしておけば実がなるのも期待できます。

剪定を行うときは、時期に注意しましょう。

自然に樹形が整うので、剪定の必要性は低いでしょう。またトラブルなどで樹形が乱れた場合は、株元付近から切り戻せばよいので簡単です。

枝葉が混み合ってカイガラムシがよく発生する場合は、間引き剪定を行うと予防効果があります。込み入った部分の枝を付け根から切り、枝数を少なくして風通しをよくします。間引き剪定はいつでも行って大丈夫です。切り戻し剪定は5~6月の成長期の初め頃が適期です。

大きく育ちすぎ、見苦しくなった株の仕立て直しは?

上だけに葉がついて見苦しくなってしまった株や大きくしたくない場合は、バッサリと株元付近から切り戻し剪定をして、仕立て直すことができます。株元を20~50㎝くらい残して切り、葉が全く無くなってしまっても大丈夫です。
また植え替えも同時に行ってください。根鉢を半分程度まで落とし、以前より1~2まわり小さな鉢に植え替えてください。

知りたい! コーヒーノキ(コーヒーの木)の増やし方

コーヒーノキは、実がなったら種まきで増やすのがおすすめです。タネから育てた株は、愛着もひとしおです。

種まき
赤い実がついたら、中にタネが入っています。果肉は甘いので実を食べてタネだけ取り出し、すぐにタネを蒔けば発芽します。適期は5月から9月で、赤玉土小粒や川砂、バーミキュライトなどの清潔な土にまき、1㎝ほど覆土します。

さし木
さし木が簡単などとネットなどで書かれているのが見られますが、さし木繁殖は一般には難しいように思われます。コーヒー豆の生産地でも、さし木繁殖はほとんど行われていないようです。ただし、さし木が不可能ではないので、発根剤や殺菌剤などを併用しながらいろいろチャレンジすれば、意外と簡単に成功するかもしれません。

毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです

育てる時に、注意したい病気

さび病
葉の裏に、斑点状の模様が出たらさび病です。生産地では農場の木が全滅するほどのコーヒー栽培の大敵です。見つけ次第、葉を処分してください。

育てる時に注意したい害虫

カイガラムシ
白いロウ状の物質が、葉や枝などについていたらカイガラムシが発生しています。枝葉が密に茂り、風通しの悪い室内に置くと発生しやすくなります。
カイガラムシが発生すると、排泄物で枝葉に黒い汚れがついたような見苦しい状態になり、べたべたしてきます。生育も衰えるので早めの対策が必要です。
薬剤が効きにくいので、ブラシなどで物理的にこすり落とすのが一番手っ取り早いです。ブラシなどでこすり落とした後、薬剤をかけてください。

アブラムシ
新芽などの柔らかい部分に発生します。暗い場所などに置いて軟弱に育つと発生しやすくなるので注意してください。

コーヒーノキ(コーヒーの木)を元気に冬超しさせるには?

戸外での越冬は無理で、中~大サイズの株は室内で5℃以上に保てば越冬します。ただし小苗は弱いので、10℃以上に保つと安心です。また大株も10℃以上に保つようにしたほうが、綺麗な状態で冬超しできます。

葉焼けの心配がないので、窓際に置いてよく日光に当ててください。ただし窓際付近は冷え込みやすいので、夜間は厚手のカーテンを引くか、部屋の中央に移すとよいでしょう。

コーヒーノキ(コーヒーの木)の国内栽培

良質なコーヒー豆の生産には、年平均気温が20℃くらいで、夏でも避暑地のような涼しい気候の場所が適地です。沖縄や小笠原でもアラビアコーヒーノキが栽培されますが、台風の被害もあり、生産は多くありません。暑さの厳しい日本国内では、高品質で採算の取れるコーヒー豆の生産は非常に難しいです。

一方、暑さや病害虫に強いロブスタコーヒーノキなら、ハウス栽培などで冬超しをクリアすれば、コーヒー豆を問題なく収穫できます。レギュラーコーヒーとしては味が落ちますが、ロブスターコーヒーの強い苦みや酸味は、スイーツの材料としては風味が強く出せる可能性が高いと思われます。また練乳をたっぷり入れた、ベトナムコーヒーのような飲料として味わうのもよいでしょう。ハウスなどの観光農園で、ロブスタコーヒーを栽培しても有望かもしれません。

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