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ラベンダーの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます

ラベンダーの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます

上品で豊かな香りをもつことから、広く愛されているラベンダー。ポプリにして室内に飾ったり、お茶に混ぜて飲んだりと、さまざまな方法で楽しめる植物のひとつです。ここでは、高温多湿な環境を苦手とする、ラベンダーへの水やりの方法や注意点、適切なタイミングなどを紹介。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ラベンダーを育てる前に知っておきたいこと

ラベンダーの原産地は、地中海沿岸。原種はおよそ30種類で、これに変種や亜種、栽培品種を加えると、数え切れないほどの品種が存在します。ラベンダーの育て方を知る前に、基本的なことを見てみましょう。

ラベンダーの基本データ
学名:Lavandula
科名:シソ科
属名:ラバンデュラ属
原産地:地中海沿岸
和名:ラベンダー
英名:Lavender
開花期:開花期:アングスティフォリア系4月下旬~6月中下旬、ラバンディン系6月上旬~7月下旬、ストエカス系4月上旬~6月中旬、プテロストエカス系とデンタータ系:四季咲き
花色:ピンク、白、紫
発芽適温:20℃前後
生育適温:15~20℃
切り花の出回り時期:5~7月
花もち:5〜7日程度

水やりの方法とそのタイミング

ラベンダーの原産地は、地中海沿岸で、乾燥した場所です。乾燥ぎみの環境を好むため、水やりは控えめに行います。

鉢植えの場合、用土の表面が乾いたときや、葉に元気がなくなってきたときが、水やりをするタイミングです。日中は避け、朝にたっぷりと水を与えます。水量の目安は、鉢穴から水が流れ出るくらいたっぷりと。葉に水がかかると乾きにくく、蒸れる原因となるため、株元のみに水をかけましょう。

地植えの場合、植えつけてから根づくまでは水やりが必要となりますが、以降はほとんど必要ありません。ただし、晴天や乾燥した日が2週間以上続いたら、水を与えます。適したタイミングは、晴れた日の朝です。

ラベンダーは鉢植え、地植えのどちらでも栽培できますが、それぞれ水やりの頻度は異なります。次の項からは、植えつけ別の水やりを紹介しましょう。

鉢で育てている場合の、ラベンダーの水やり

水やりの頻度

土の表面が白っぽく乾いたら、水やりをします。春、秋、冬の間は、土の表面が乾燥しているのを確認したら、その2〜3日後に水を与えます。夏場は、この間隔がもう少し短くなります。

いずれの季節においても、乾燥ぎみの環境が重要であることを念頭に置いて、水やりをしましょう。

水やりのコツ

鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷりと水を与えます。このとき、なるべく葉に水がかからないよう注意しましょう。また、鉢受け皿に溜まった水は、根腐れの原因となるため、必ず捨ててください。

水やりの確認方法

鉢土の表面が白っぽく乾いているとき、葉が垂れ下がって元気がないときに水やりをします。花を咲かせている間は、普段より多くの水を必要とするため、特に水切れに注意します。

指で土の表面を触り、湿り具合を確認するクセをつけるといいでしょう。また、水やり直後に比べ、鉢が軽くなっていたら、土が乾いていると考えられます。

地植えの場合の、ラベンダーの水やり

水やりの頻度

ラベンダーを地植えにした場合、水やりはほとんど必要ありません。晴天や乾燥した日が2週間以上続き、土が白っぽく乾燥してしまったら水を与えます。ただし、植えつけ後、根が張るまでの間や開花期間は、水切れを起こさないよう注意します。

水やりのコツ

鉢植えと同様、葉に水がかからないよう注意します。また、ラベンダーは乾燥ぎみの環境を好むため、水を与えすぎないようにしましょう。土の中に水が溜まってしまわないよう、排水のよさも意識します。

水やりの確認方法

こちらも基本的に、鉢植えの場合と同様です。土の表面が白っぽく乾いているときや、葉が垂れ下がって元気がないときは、水が不足していると考えられます。指で土の表面を触り、湿り具合を確認するクセをつけましょう。

水やりは季節によっても多少変わります

水やりの具合は、天候のほか、植物の生育状態や季節で多少変わります。そこで、この項目では、季節ごとの違いを見ていきましょう。

春、秋(鉢植え、地植え)

鉢植えのラベンダーには、土の表面が乾燥しているのを確認した2〜3日後に水やりをします。適した時間帯は、午前中です。鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷりと与えましょう。地植えの場合、ほとんど水やりは必要ありませんが、植えつけてから根が張るまでの間や土が乾燥しているのを確認した時は、適宜水やりをします。

夏(鉢植え、地植え)

春や秋と同様、乾燥ぎみな環境で育てます。梅雨時期は、ひさしの下や軒下に置くなどし、なるべく雨に当てないようにしましょう。

鉢植えのラベンダーは、土が乾燥しているのを確認したら、その1〜2日後に水を与えます。日中は避け、必ず朝の涼しい時間帯を選びます。

地植えの場合も、土が乾燥したら水を与えます。ラベンダーの周囲にマルチングを敷き詰めると、強い日差しの影響を受けづらくなります。

冬(鉢植え、地植え)

土の表面が乾燥しているのを確認した2〜3日後に、たっぷりと水やりをします。乾燥した日が続くと、土が乾きやすくなるため、注意が必要です。

地植えの場合も、過度な乾燥には要注意。乾燥した日が2週間以上続いたら、晴れた日の午前中に水を与えます。

ラベンダーの周囲にマルチングを敷き詰めると、厳しい寒さや乾燥した空気の影響を受けづらくなります。

ラベンダーの水やりの、注意点が知りたい

鉢植えの場合の注意点

ラベンダーは乾燥ぎみな環境におかれることで、健康的に育ちます。土が湿っているにも関わらず水やりをすると、蒸れや根腐れを起こしてしまうことも。カラカラに乾きすぎないよう注意しながらも、与える水の量は少なめにすることを心がけましょう。また、梅雨時や雨が多い秋季は、雨に当たりすぎないよう、屋根やひさしの下に鉢を移動します。

地植えの場合の注意点

地植えのラベンダーは、基本的に水やりを必要としません。むしろ、水を与えることで蒸れたり、根腐れを起こしたりしてしまうことがあります。暑い夏や乾燥しがちな冬は、過酷な環境にさらされがちに。マルチングを施すことで、日差しや乾燥による影響を受けづらくなります。

鋭い切れ込みがある葉が特徴のデンタータ系は、葉から染み出した精油と土埃が混ざり、気孔が塞がれてしまうことがあります。葉の表面が汚れていたら、シャワーのように上から水をかけ、汚れを落としましょう。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・アマナ/ネイチャー&サイエンス

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