甘い香りと蝶のような花びらがフェミニンな雰囲気を感じさせるスイートピーは、長いつるを生かして庭に立体的な花風景をつくったり、ドライフラワースワッグやポプリにして姿や芳香を長く味わったりと、さまざまな仕立てや用途が楽しめる植物です。栽培は難しくないので、種まきから始めてみませんか? スイートピーの基本的な育て方や日々のお手入れを、 NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。
スイートピーを育てる前に知っておきたいこと
スイートピーはつる性の一年草で、切り花でもっとも多く出回っている高性(草丈が高くなる性質)の春咲き品種は、基本的には秋に種まきを行い、約6か月後に花を楽しむことができます。春咲きの他に夏咲きや冬咲き、さらに宿根性(多年性)の品種もあります。
つるがぐんぐんと伸びていき、最終的に草丈は2〜3mほどになるので、フェンスに這わせたり、アーチを作ったりと立体的な仕立てが楽しめます。一方で、最近では鉢植えに向く矮性(小型)スイートピーの人気も高まっています。
スイートピーの基本データ
学名:Lathyrus odoratus
科名:マメ科
属名:レンリソウ属
原産地:シシリー島(イタリア)
和名:ジャコウエンドウ、カオリエンドウ
英名:Sweet Pea
開花期:4~6月[寒冷地(年平均気温9〜12℃の地域)では6月中旬〜8月中旬]
花色:赤、ピンク、オレンジ、白、紫、複色
発芽適温:15~20℃(地温)
生育適温:15〜20℃
切り花の出回り時期:11~4月
花もち:5~7日
花色は、以前はパステルカラーがほとんどでしたが、近年は濃色や複色もあります。「赤いスイートピー」の曲がリリースされた’80年代当時にはなかった鮮やかな赤色(鈍い赤色系は存在したようです)も、20年近く品種改良を重ねた末、2002年に誕生しています。
2015年には、これまでスイートピーにはないとされていた黄色を発現する遺伝子が見つかったとの研究発表もあり、近いうちに自然色の黄色い花が見られるかもしれません。現在見られる黄や濃い青、虹色などのスイートピーは、白い花に染色液を吸わせた‟染めスイートピー”です。
花の後にできる実(豆)やさやには有毒物質が多く含まれるので、口にしないよう注意しましょう。
種類を知ると、選び方がわかります
世界に100種類ほどあるとされているスイートピーですが、特に日本では品種改良が盛んで、現在進行形で新しい園芸品種が次々に作り出されています。品種ごとに花色や耐寒性などが異なりますが、開花時期によって次の3系統に大別されます。
春咲き品種
4月下旬から6月中旬ごろに開花する系統で、切り花や園芸素材として親しまれています。基本的には秋に種まきをして苗で越冬させ、春の初めに植え付けますが、寒地では春になるのを待ってから種をまき、温暖地より1〜2か月遅れで花を咲かせます。
夏咲き品種
6〜8月に開花する系統。日本で誕生した純白の巨大輪の「ロイヤル」シリーズなどがあります。また、夏に種をまき、翌年の6〜8月に開花する宿根性(多年性)の宿根スイートピーも、店頭では「サマースイートピー」の名で販売されています。
冬咲き品種
冬に開花する品種群。主に冬〜早春に流通する切り花用として、プロの生産者が温室で促成栽培を行っています。春咲き品種より耐寒性が劣り、花の色も春咲き・夏咲きほど多様ではありませんでしたが、今世紀に入ってから、花弁に吹きかけ模様のある「リップル」シリーズなど、それまでの冬咲き品種にはない花色や特徴をもつ品種も登場しました。
また草丈で分類すると、一般的な高性種と、草丈が15〜30cmの矮性種があります。矮性スイートピーには、突然変異で生まれた、巻きひげのないが「キューピッド」シリーズなどがあります。
今回は春咲き品種の育て方を紹介していきます。
スイートピーを育てるときに必要な準備は?
スイートピーの栽培を始める前に、次のものを用意しましょう。
鉢植え・地植え共通
・スイートピーの種または苗(春咲き品種)
・肥料
・ラベル
・ビニールタイ、麻ひもなど
・苗キャップ、不織布など(霜除け用)
《種から育てる場合》
・育苗ポット(直径6cm前後、必要に応じて)
鉢植えの場合
・鉢またはプランター(できれば7号以上)
・鉢底石
・鉢底網
・土
・棒(割り箸など)
・支柱
地植えの場合
・苦土石灰(酸性土壌改良用)
・腐葉土、堆肥など(土壌改良用)
・トレリス、フェンス、ネットなど
種から育てる場合は直まきがおすすめですが、ある程度苗を育ててから鉢や庭に定植するなら、まき床と苗床を兼ねるポットが必要です。
鉢は、できれば「7号(直径21cm)鉢に1株」を標準的な目安に、最小でも5号鉢以上の大きさのものを用意してください。
肥料は、葉の生育促進に効果のある窒素が多いものではなく、花付きをよくするリン酸の割合が高いものを選びましょう。
複数の鉢またはプランターや庭で育てる場合、スイートピーでカーテンを作ったりアーチを組むなど、つる性の植物ならではの自由な仕立てを楽しみましょう。ここはセンスの見せどころですから、つるを這わせるのによい資材があればうまく取り入れてください。
適した土作りが、育てるコツの第一歩
スイートピーの生育には水はけのよい、弱酸性(pH6.5)の土壌が適しています。
鉢植えの場合は市販の草花用培養土を用意しましょう。ほとんどの商品はpH6前後に酸度調整済みなので、これにさらに酸性土壌改良材(苦土石灰)を混ぜる必要はありません。混ぜてしまうと土が弱アルカリ性に傾き、スイートピーの生育が悪くなってしまいます。
地植えの場合は、苗を植え付ける2週間ほど前までに、広さ1㎡あたり100gの苦土石灰をまき、酸性に傾いた土を弱酸性に矯正しておきます。この時、腐葉土や堆肥も一緒にすき込んでおきましょう。
スイートピーは根が下に深く伸びる直根性の植物なので、植え付ける場所は40cmぐらいの深さまでよく耕しておきます。
スイートピーの育て方にはポイントがあります
スイートピーは種からも苗からも比較的簡単に育てられます。
栽培には、日当たりと風通しのよい環境で、水はけのよい弱酸性の土壌が適しています。マメ科の植物で連作障害を起こしやすいので、地植えの場合は前年に栽培した場所を避け、さらにつるを這わせるためのフェンスやトレリス、ネットなどが設置できる場所を選びましょう。
また、スイートピーは直根性(太い根が真下に伸びる性質)なので植え替えを嫌います。最初から株間を20cmほど空けて植え付けるようにします。
春咲きのスイートピーは、温暖地(関東〜中国)や暖地(九州・四国)では秋に種まきを行います。寒冷地(中部山岳地帯など)でも秋まきできますが、冬場の温度管理に少し手間がかかるので、植物栽培に慣れていない方は寒地(北海道、東北北部など)と同様に春になるのを待ってから種をまくとよいでしょう。
3〜5℃の低温に耐える半耐寒性の植物ですが、温暖地や暖地でも厳寒期は霜除け(苗の保護)を行います。
スイートピーの育て方~苗から始める~
苗の選び方
晩秋から早春にかけてスイートピーのポット苗が出回ります。
よい苗を選ぶコツは、葉の色ツヤに加え、茎(つる)の状態をよく見ること。葉は生き生きとした濃い緑色で、茎は伸びすぎていたり、巻きひげが他の苗に絡みついたりしていないものを選びます。見かけは小さくても、茎がしっかりしていることが大切です。
植え付け時期と方法
ポット苗を購入したらできるだけ早めに植え付けます。
真下に伸びる太い根を少しでも痛めるとダメージが大きいので、ポットから苗を引き抜いたら、根を触らず、そのまま植え付けるようにしましょう。植え付けの手順は次のとおりです。
◆鉢植えの場合◆
① 鉢の底に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を敷く
② 緩効性肥料(土1ℓあたり3g)を混ぜた土を鉢の深さの1/3ほどまで入れる
③ ポットからスイートピーの苗を引き抜く
④ 根に付いている土を手でそっと揉んで落とす
⑤ 鉢にスイートピーの苗を入れ、縁から3〜4cm下の位置まで土を入れる
⑥ 土の表面を細い棒で軽く突き(根を傷めないように優しく突く)、根と土をなじませる。
⑦ 鉢底から水が出てくるまでたっぷりと水やりをする
◆地植えの場合◆
① 植え付ける場所を深さ40cmくらいまでよく耕しておく
② 株間が20〜25cmとなるよう植え穴を掘る
③ 緩効性肥料(1㎡あたり50g)を、植え穴の下の土に混ぜ込む
③ ポットからスイートピーの苗を引き抜く
④ 根に付いている土を手でやさしく揉んで落とす
⑤ 植え穴にスイートピーの苗を入れ、土をかぶせる
⑥ たっぷりと水やりをする
窒素分が多い肥料を与えると葉ばかりが育ち、花付きの悪い株になってしまうので、肥料はリン酸とカリ分の多いものを選びましょう。
スイートピーの育て方~種から始める~
種まき時期
スイートピーの発芽適温は15℃で、20℃くらいまで発芽します。気温が下がりきらないうちに種をまくとうまく発芽しないので、本格的な秋が来てからまきましょう。種まきに適する時期は、温暖地(関東〜中国)では9月下旬〜11月上旬ごろ、暖地(九州・四国)では10月〜11月中旬ごろです。
寒冷地(東北、中部山岳地帯など)でも秋から始められ、苗をうまく越冬させられれば丈夫な株に育ちますが、開花時期は春に種まきをした場合と1か月ほどしか違いません。経験や冬期の置き場所に不安があるなら、寒地(北海道など)と同じように、3〜4月になってから十分な地温を確保して種まきを行うことをおすすめします。
発芽しやすくさせるコツ
スイートピーの種は大きくて扱いやすいのですが、種皮が硬く水分が通りにくい硬実種子(こうじつしゅし)です。発芽をよくするために、種まき前に吸水処理を行いましょう。
種が完全にかぶる量の水を浅い容器に張り、種を浸して半日〜1日ほど吸水させます。
吸水した種は膨らみますが、膨らまなかった種は再び水に浸すのではなく、カッターナイフやヤスリで種皮に傷をつける方法で発芽しやすくさせます。吸水時間が長すぎてもかえって発芽不良になるので、長くても一昼夜以内にしましょう。
種まき方法
鉢や庭への植え替え(定植)時に根を傷めるリスクがあるため、最初から育てたいところに直にまくことをおすすめしますが、ポットにまいて育苗するやり方も合わせて紹介します。スイートピーの種まきの方法は次のとおりです。
◆鉢に直まきする場合◆
① 鉢の底に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を敷く
② やや湿らせた草花用培養土を鉢の縁から3〜4cm下の位置まで入れる
③ 指や割り箸などで深さ2〜3cmのくぼみを1つ作り、吸水させたスイートピーの種を3〜4粒まく(7号鉢の場合)
④ 1cmほど土を被せて日陰に置き、過湿に注意しながら翌日から水やりをする
⑤ 発芽したら日に当て、本葉が2〜3枚になったら元気のよい苗だけを残し、他は土の際でハサミで切って間引きする
◆地面に直まきする場合◆
① 植え付ける場所を深さ40cmくらいまでよく耕し、緩効性肥料(1㎡あたり50g)をすき込んでおく
② 20〜25cm間隔に深さ2〜3cmのくぼみを1つ作り、吸水させたスイートピーの種を3〜4粒まく
③ 1cmほど土を被せ、過湿に注意しながら翌日から軽く水やりをする
④ 発芽後、本葉が2〜3枚になったら元気のよい苗だけを残し、他は地面の際でハサミで切って間引きする
◆ポットにまいて育苗する場合◆
① 育苗ポットにやや湿らせた草花用用土を入れ、深さ2~3cmのくぼみを2~3個作る
② 吸水させたスイートピーの種を、1つのくぼみに1粒ずつまく
③ 1cmほど土を被せて日陰に置き、過湿に注意しながら翌日から水やりをする
④ 発芽したら日に当て、本葉が2〜3枚になったら元気のよい苗だけを残し、他は土の際でハサミで切って間引きする
⑤ 11月上旬〜12月上旬ごろ、ポットに根が回ったら鉢や庭に定植する(寒冷地で秋にまいた場合は、いったん一回り大きいポットに植え替え、冬期はビニール温室で管理し、早春に定植する)
スイートピーと仲よくなる日々のお手入れ
水やりのタイミング
スイートピーは乾燥に強く、基本的には乾かし気味に育てますが、生育期にあたる春は多くの水分を必要とします。
鉢植えは、土の表面が乾いたら根まで水分が届くようたっぷりと水やりをしましょう。水やりは基本的に朝(日の出から8時ぐらいがベスト)やります。地植えは特に水やりの必要はありませんが、暖かい時期に乾燥した日が続くようなら水を与えます。
冬に水を与えすぎると土が凍ってスイートピーが枯れてしまうことがあるので、過湿にならないよう気をつけましょう。
肥料の施し方
マメ科の植物は菌の作用でみずから窒素を作り出すので、肥料は基本的に少なめにします。規定の量の半分を目安に、花付きをよくするリン酸と、根の生育を促すカリウムの割合が高いものを与えます。
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施したら、発芽後、茎が伸びる秋と春は様子を見ながら追肥を行います。月に1度、株元から離れた場所に固形の化成肥料を少量まくか、薄めた液体肥料を与えてみて、株が弱々しいようなら量や頻度を増やしていきます。
また、鉢植えのスイートピーは、開花中もリン酸を多く含む液体肥料を施すとよいでしょう。
窒素過多になると葉だけが茂り、開花が遅く花付きも悪くなるので、有機質肥料なら油カス類、化成肥料なら硫安、尿素を高い割合で含むものは避けるようにします。
スイートピーの花が咲いたら…
終わったスイートピーの花をそのままにしておくと、種を形成することに栄養が取られてしまうので、多くの花を楽しむために花がら摘みは必ず行いましょう。
咲いた花の色が褪せたり花弁がシワっぽくなったら、花柄の付け根で折り取ります。終わった花はこまめに取り除くようにしましょう。
スイートピーのつるの誘因
育てるのにあまり手のかからないスイートピーですが、日ごとに伸びるつる(茎)を這わせたいものへと導く、誘引という作業が必要になります。
注意しなければならないのは、スイートピーはアサガオのようにつる自体を何かに絡ませるのではなく、葉の先端から伸びた長い巻きひげが触れたものに絡みついて螺旋状になり、つるを引き寄せる性質であること。巻きひげは丈夫でほどけにくいので、何本ものひげが不用なものを捉えたり、隣の株に絡みついたりする前に、つるの誘引を行いましょう。
3月ごろになってつるが伸び始めたら、支柱やトレリスにつるを巻きつけ、ビニールタイなどで結びます。高性種は草丈が2〜3mにもなるので、生育期間は仕立て方によっては頻繁に誘引作業を行うことになります。
反対に矮性種は支柱が要らず、誘引の手間がかかりません。
スイートピーの霜除け方法
一般的に苗の状態で冬を越すスイートピーは、気温3〜5℃くらいまでの低温には耐えますが、若いうちに霜にあたると傷んでしまいます。
温暖地や暖地でも1〜3月の極寒の日は、鉢植えは霜対策をして軒下に移すか、屋内に入れて保護します。地植えは、透明プラスチック製の苗キャップや、底を切り落として側面に換気口を開けたペットボトルを苗に被せたり、不織布やわらなどで苗をふわっと覆うようにして、霜がかからないようにしましょう。
剪定を行うときは、時期に注意しましょう
花数の多い株に仕立てるため、スイートピー栽培では摘心という剪定作業を必ず行いましょう。時期としては発芽後、茎(つる)が20cmほどに伸びるか、または苗の定植後1~2週間たったころに行います。
摘心の方法は、葉数の多くない観賞用植物の一般的なやり方と同じです。茎の根元から3〜4節目の真上にハサミを入れ、先端側を切り落とします。そうすると下の方の側枝からわき芽が伸び、枝数の多いがっちりした株になります。
ただし、草丈が15〜30cmの矮性スイートピーは摘芯の必要はありません。
知りたい! スイートピーの増やし方
スイートピーの種の採取の時期と方法
スイートピーは1年草なので、次のシーズンも育てたい場合は種を採取します。
開花期後半の花をいくつか残しておくと豆さやができます。豆さやが乾燥して茶色くなったら、中に入っている種を採取します。
種は風通しのよい場所で保存し、次の秋が来たらまきましょう。
※「交配種」「○○交配」「F1」とタネ袋に記載されているものは、育てたものと同じような特徴が出にくいのです。ただし、タネ袋に記載されてない花色や草姿のスイートピーが咲くかも知れません。興味のある方はまいてみてくださいね。
毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです
育てるときに注意したい病気
スイートピーは気温と湿度が高い5月〜6月と9月〜10月に、うどんこ病という病気にかかることがあります。
うどんこ病
菌による病気で、症状としては葉が粉をまぶしたように白くなり、進むと葉の全面が白い菌糸で覆われ、茎やつぼみにも広がります。見つけたらすぐに感染した部分を取り除き、殺菌剤を散布します。症状が株全体に及んでいる場合は、株ごと焼却処分します。窒素過多やカリウム不足も病気の原因の一つなので、肥料の配合を見直しましょう。
育てるときに注意したい害虫
春と秋と高温乾燥時はスイートピーに害虫がつきやすくなります。
アブラムシ、ハダニ
アブラムシは3〜5月、特に開花してから若い葉や茎、新芽、花などにつくことが多く、ハダニは暖かい時期の高温乾燥の環境で葉裏に発生しやすい害虫です。どちらも植物中のアミノ酸を吸って生育を妨げます。アブラムシやハダニを見つけたら、粘着テープを貼って引きはがしたり、薬剤を散布して駆除します。
ヨトウムシ
春と秋に出やすい害虫で、葉から食べ始め、やがて株全体を食べ尽くします。夜行性なので昼間は土中や鉢の裏に潜み、夜になったら這い出してきます。予防のために株元には駆除剤を散布しておきましょう。もし見つけたら捕殺し、葉裏に産みつけられた卵を見つけた場合は葉ごと処分します。
スイートピーと相性のよい寄せ植えの植物は?
高性種と矮性種のどちらのスイートピーを使うか、高性種を使うならどのようにつるを這わせるかで、寄せ植え全体の形が大きく変わってきます。まずは、植え付け直後と生長後の姿を思い描き、使うスイートピーの品種や色を決めましょう。次に、育つ環境がスイートピーに似た植物の中から、形や色の相性を考えて組み合わせる草花を決めていきます。
高性種は建物の2階に届くほどつるが伸びるので、寄せ植えよりも単独で地植えにしてトレリスなどに絡ませるほうが合います。
一方、矮性種のスイートピーはこんもりと育つので、そのままで鉢やバスケットでの寄せ植えにピッタリです。矮性スイートピーを中央に置き、周囲を囲むようにネモフィラやクローバー、クリサンセマム・ムルチコーレなど丈の低い草花を植えれば、全体がうまくドーム状にまとまります。
濃色のスイートピーは淡色のものよりも存在感がありますが、それでも大輪の花と組み合わせると脇役っぽく見えてしまいます。どこか野性味を感じさせる小花と組み合わせてナチュラルテイストに仕上げたり、パステルカラーで揃えてふんわりキレイにまとめるのが、スイートピーの魅力をいっそう引き立てる寄せ植えのような気がします。
Credit
記事協力
監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。
構成と文・橋 真奈美