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ローズマリーを増やしたい! 最適な時期と方法、注意点を知っておきましょう

ローズマリーを増やしたい!  最適な時期と方法、注意点を知っておきましょう

ローズマリーは、肉や魚の臭み消しだけでなく、ポテト料理にもマッチします。またリースなどのクラフトに使えるなど、ひと鉢あると、なにかと役立つハーブです。このローズマリーの爽やかな芳香を、もっとたくさん、気兼ねなく使いたい!と思われる方もきっと多いことでしょう。では、ローズマリーは、どのようにすれば増やすことができるのか。ローズマリーを増やしたいときに準備すべきことや、増やし方の手順を見てみましょう。All Aboutガイドで、ガーデンライフアドバイザーの畠山潤子さんにお聞きしました。

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ローズマリーを育てる前に知っておきたいこと

ローズマリーは、地中海沿岸地方原産の半耐寒性常緑低木です。学名(※)は“Rosmarinus officinalis” で、これはラテン語でそれぞれに「ros marinus(海のしずく)」と「officinalis(薬用の)」のという意味があります。

枝葉に特有の爽やかな芳香をもつローズマリーは、抗酸化作用や抗菌作用があります。古来より薬効のあるハーブとして親しまれてきた植物であることが、学名からも伺えますね。

ローズマリーの基本データ
学名:Rosmarinus officinalis
科名:シソ科
属名:マンネンロウ属
原産地: 地中海沿岸地方
和名:迷迭香(マンネンロウ)
英名:Rosemary
開花期:3~11月(品種、環境により)
花色:ピンク、白、青、紫
発芽適温:20~25℃
生育適温:20~25℃

ローズマリーを種から育てるなら、春4~5月頃か、秋9~10月頃が適期です。春と秋のガーデニングシーズンにはポット苗もよく出回っていますので、園芸ビギナーの方なら苗から育て始めるとよいでしょう。伸びた枝は、肉や魚料理の風味づけに使ったり、お茶で楽しんだり、リースなどのクラフト材料にも使えます。

※1「学名」学術上、生物などを分類してつける世界共通の名称。

植物を増やすには、いくつかの方法があります

ローズマリーの増やし方説明する前に、植物はどのようにして増やすことができるのか、その方法について知っておきましょう。

一般的な植物の増やし方は、「種子繁殖」と「栄養繁殖」とに大別できます。

「種子繁殖」とは、その名のとおり種による繁殖方法です。

一方の「栄養繁殖」には、以下のような方法があります。

挿し木
葉、茎、根など植物体の一部を切り取って、用土や水に挿して発根させ、新たな個体を得る手法。

株分け
親となる植物を根とともに分けて、複数の株を得ること。いちどに得られる株数は少ないですが、大株になったものや老化した株の更新にも用いられる手法です。

接ぎ木
植物の一部を、台木となる別の植物に接合して生育させる方法。病害に強い丈夫な個体を得るために、バラのほか、トマトやキュウリ、ナスなどの果菜類にもよく用いられます。

取り木
親となる植物の一部に傷をつけて、発根させたあとに、親株から切り離して新たな個体を得ること。挿し木でうまくいかない植物でも増やすことができます。観葉植物や樹木などで、多く用いられる手法です。

球根
葉や茎、根が変化した部分に養分を蓄えたもの。変化した器官により、鱗茎、球茎、塊茎、根茎、塊根と分類されます。

このほかに、ムカゴや木子(きご)といった形で増える植物もあります。また家庭の園芸で行なうことはまずありませんが、「組織培養」という手法で人為的に増やす方法もあります。

ローズマリーを増やす、最適な方法と時期

前項で述べたように、植物はさまざまな方法で増やすことができます。ローズマリーの場合は、「種まき」、「挿し木」で増やします。また、挿し木では、枝を切り取って挿し穂として土に挿す一般的な方法と、根がついているローズマリーの枝の一部を土に埋める「茎伏せ」で増やすことができます。最適な時期は方法ごとに異なります。

種まきの適期

ローズマリーの発芽適温は、気温20~25℃。種で増やしたいときは、この「発芽適温」に合わせて春か秋に種まきをします。

なお、ローズマリーは品種や環境により開花時期に幅があるので、開花後の種を採って増やしたい場合は、開花を見逃さないようにしましょう。

挿し木、茎伏せの適期

ローズマリーを挿し木や茎伏せで増やすなら、気温が生育適温の20~25℃くらいになる、5月頃か10月頃が適期です(地域によって幅が出ます)。

知りたい! ローズマリーの増やし方「種まき」

準備するもの

・花穂を覆える大きさのネット袋もしくは不織布の袋
・保存用の袋(容器)

種を採る手順

ローズマリーは、品種や環境によって開花期に幅があります。開花後の種を採って増やしたい場合は、花後の花がらのついた枝は剪定せず、そのままにしておきます。

ただし、花後のローズマリーは体力が落ちていますので、普段より病気にかかりやすい状態です。花がらのついた枝葉がたくさんあると蒸れやすくなるので、種を採るために残す枝は必要最低限にして、ほかは剪定してあげたほうが株への負担は軽くなるでしょう。

ローズマリーの種は、そのまま放っておくと気づかない間に落下してしまうので、花がすっかり萎んでしまう前に花穂ごと袋を被せておくと楽です。

種が熟すと袋の中にポロポロ落ちてくるので、枝ごと切り取って収穫します。広げた新聞紙の上などで花穂から種をふるい落として、分別しましょう。

種の保存

採取後は種を乾燥させ、名前と採取日を書いたクラフト封筒などに入れておきます。さらに密閉できるジッパー袋などに入れておくと、長く保存できます。

コツと注意点

花後の種を採って、ローズマリーを増やすなら、熟した種を採取することが大事です。頑張ってたくさんの種を採取しても、未熟なものはうまく発芽できません。

採取後の種は、年数を重ねるごとに発芽率が落ちていきます。市販の種でも、ローズマリーはほかの植物に比べて発芽率が低いので、今年採取した種は、いつまでも取っておかず、次の種まき適期に忘れずにまいてあげましょう。

知りたい! ローズマリーの増やし方「挿し木」

準備するもの

・鉢(浅めで広口の駄温鉢など)
・ 挿し木用土(赤玉土やバーミキュライトなど肥料分のない新しい土)
・ハサミ(茎の導管を潰してしまわないよう、よく切れる物)
・細い棒(挿し穂を刺す際の穴あけ用。ローズマリーの場合は無くても可)
・発根促進剤(なくても可。小さい容器で市販されている製品、ルートンやメネデールが入手しやすい)

挿し木の手順

ローズマリーを挿し木にする場合は、以下の手順で行ないましょう。

① 挿し穂として、若く元気な枝を切り取り、1時間ほど水あげしておきます。
② 枝についた葉のうち、土に埋まってしまう部分は切り取ります。
③ 挿し木の用土は、あらかじめ十分湿らせておきます。
④ 挿し穂を挿し込みやすくするため、用土に細い棒で穴を開けておきます。ローズマリーの場合は、枝に硬さがあればそのまま挿せます。
⑤ 発根促進剤がある場合には、用土に挿す前に挿し穂の切り口に薬剤をつけてください。メネデールの場合は、100倍くらいに薄めた液に5分ほど浸けてから挿します。
⑥ 挿し穂を傷めないよう用土に挿し、隙間が生じないように、そっと土を寄せます。
⑦ 挿し穂を挿した鉢を、直射日光が当たらない明るい日陰に置きます。発根するまで、土が乾燥しないように管理します。

適温適湿を保っていれば、およそ2~3週間で根が出るでしょう。新しい葉が出てくれば、無事に発根しているはずです。根を傷めないように注意しながら鉢上げをして、新しい苗として育ててください。

茎伏せの手順

①元気のよい枝を地面に引き寄せ、軽く土を被せておきます。そのままでは風などで、枝が元に戻ってしまうので、U字に曲げたワイヤーで地面に枝を固定しておくとよいでしょう。
②地面に接したところから根が出たら、親株から切り分けて新しい個体として育苗します。

コツと注意点

ローズマリーを挿し木で増やすなら、「清潔に」を心がけるのが成功のコツです。

挿し床に使う用土は、新しい清潔なものを用意します。間違っても、古い鉢土を使ってはいけません。

また、挿し穂を準備する際の刃物にも注意してください。ローズマリーの挿し穂を切り取る際に、導管(水の通り道)を潰してしまうと、うまく水あげができません。挿し穂の準備には、切れ味のよいハサミやナイフを使いましょう。なお、この刃物を媒介として病気がうつる場合もあるので、この点も注意したいですね。

挿し木や茎伏せで得られた苗は、親株と同じDNAを受け継ぐ、いわばクローンになります。種の場合は「親と子」の間柄にです。従って、結実した種は必ずしも親株の性質を100パーセント受け継ぐわけではありません。

種の場合「子孫を残す繁殖」という意味では増やすことができますが、Aという個体を複数に増やしたいのであれば、挿し木などの方法を取るとよいでしょう。

増やし方を知って、株の更新を図りましょう

ハーブ=薬草というイメージからか、ローズマリーも宿根草のように捉えられがちですが、ローズマリーは常緑低木の植物です。

幼苗の頃は弱々しく見えた枝葉も、2~3年後にはガッシリとたくましくなり、特に株元などは木質化しているのが見て取れるでしょう。

このくらいになると日々のお手入れにも慣れて、ローズマリーは元来丈夫な性質だし…と安心してしまいがちですが、元気だったものがいきなり枯れてしまうことも多々あります。原因は根腐れだったり、根詰まりだったり、大株になったものを移植して根を傷めてしまったり…とさまざまです。不死の人間がいないように、植物もいつかは枯れるものです。かわいがっていた植物が枯れてしまうのはショックですが、これも命あるものの定めで避けられないことです。また、人が老いるように、植物も老いるのです。

園芸用語では「株の老化」といいます。これを少しでも遅らせたり株をリフレッシュさせるために切り戻し剪定をしたり、株分けや挿し木、取り木といった手法を使って株の更新を行なったりします。

ローズマリーの増やし方を知っておくことで、予備苗を作り株の更新に備えることもできるのです。

Credit

記事協力

監修/畠山潤子
ガーデンライフアドバイザー
花好きの母のもと、幼少より花と緑に親しむ。1997年より本格的にガーデニングをはじめ、その奥深さや素晴らしさを、多くの人に知ってもらいたいと、ガーデンライフアドバイザーとして活動を開始する。ウェブ、情報誌、各種会報誌、新聞などで記事執筆や監修を行うほか、地元・岩手県の「花と緑のガーデン都市づくり」事業に協力。公共用花飾りの制作や講習会講師などの活動も行っている。
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