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ジニアの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

ジニアの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

真夏の陽ざしにも負けず色鮮やかな花を咲かせるジニアは、「ヒャクニチソウ(百日草)」の和名のとおり、花期が100日以上もあるタフな植物です。仏花のイメージでとらえられがちですが、色や咲き方のバリエーションが豊富で、夏の庭やバルコニーに取り入れない手はありません。ジニアの育て方を、日々のお手入れのコツや寄せ植えのアイデアも含めて紹介します。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ジニアを育てる前に知っておきたいこと

ジニアはメキシコが原産のキク科の春まき一年草です。日本には江戸時代末期に伝わり、戦後に品種改良が盛んに行われました。開花時期が初夏から晩秋までと長いことから“百日草”と名付けられ、仏花として重宝されてきました。

現在は小型の新品種がよく出回っています。暑さに強く手入れが簡単で、園芸用としての人気は年々高まっています。

ジニアの基本データ
学名:Zinnia elegans
科名:キク科
属名:ヒャクニチソウ属(ジニア属)
原産地:メキシコ
和名:ヒャクニチソウ(百日草)
英名:Zinnia
開花期:5~11月上旬
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、緑、複色
発芽適温:20〜25℃
生育適温:20〜30℃
切り花の出回り時期:5~10月
花もち:5~10日

種類を知ると、選び方がわかります

園芸店などでよく見られるジニアは、ヒャクニチソウ(百日草)の和名で知られるジニア・エレガンスと、近縁種のジニア・リネアリス、その2つを交配して作り出された園芸品種のジニア・プロフュージョンの3系統です。

ジニア・エレガンス
昔から仏花としてよく流通している大輪種で、単に「ジニア」「ヒャクニチソウ」と言うとこの種を指します。花期は5~10月、草丈は80cm~1mにもなります。花色は多彩で、覆輪(花弁を縁取るように別の色が入る)タイプもあり、咲き方も八重咲き、ポンポン咲き、カクタス咲き(花びらがねじれるように咲く)などさまざま。珍しい緑の花色をしたエンビー、草丈が低く花径が10cmと大きいドリームランドなどの品種があります。

ジニア・リネアリス
和名をホソバヒャクニチソウといい、名前のとおり葉が細いのが特徴です。茎がよく分岐して丈30cm〜40cmのこんもりとした姿に自然に育ち、花径4~5cmの一重咲きの花を6~10月の間に次々と咲かせます。花色はオレンジ、黄、白が基本で、バリエーションは多くありませんが、病気にかかりにくく、ナチュラルな雰囲気で、洋風の庭によく取り入れられています。

ジニア・プロフュージョン
ジニア・エレガンスとジニア・リネアリスを交配して作られた園芸品種です。エレガンスから引き継いだ豊富な花色と、リネアリスから引き継いだ耐病性と矮性(大きくならない性質)が特徴で、庭や寄せ植えに取り入れやすく、人気が高まっています。花はリネアリスよりも少し大きく、6cmぐらいの花径のものが多いです。

その他の品種として、花弁の中央部分が濃紅色で先端が濃黄色の覆輪になっているジニア・ハーゲアナ(メキシコヒャクニチソウ)、草丈が3m近くになるグランディフロラ(シュツコンヒャクニチソウ)があります。

ジニアを育てるときに必要な準備は?

ジニアは種からも苗からも始められ、鉢でも地植えでも育てることができます。栽培を始める時は以下のものを用意しましょう。

鉢植え・地植え共通
 ・ジニアの種または苗
・肥料
・ラベル
種から育てる場合》
  ・播種箱、平鉢、セルトレーなど(まき床)
・育苗ポット(直径6〜7.5cm前後)

鉢植えの場合
 ・鉢またはプランター(5号以上)
・鉢底石
・鉢底網
・土

地植えの場合
 ・バーク堆肥など

種から育てる場合は、種をまく場所(まき床)として使う器(播種箱など)と、苗床として使う容器(育苗ポット)とが必要になります。

鉢は、「5号(直径15cm)鉢に1株」を標準的な目安として、育てたい株の数などに合わせて用意してください。

地植えする場合は、雨の日の泥はね防止のために、株元を覆うための資材(バーク堆肥など)を梅雨どきまでに準備しておきましょう。

適した土作りが、育てるコツの第一歩

ジニアは有機質に富む、適度に保水性のある水はけのよい土を好みます。

鉢植えには、市販の草花用培養土7:腐葉土2:牛ふん堆肥1の割合で配合したものがよいでしょう。市販の草花用培養土だけでも問題なく育ちます。

地植えは、連作となる場所を避けて、堆肥と腐葉土をすき込んでおきます。

ジニアの育て方にはポイントがあります

ジニアを初めて育てる時は、種まきから始めるか、4月ごろから出回りはじめるポット苗を購入して始めます。種は草花の種としては大きくて扱いやすく、4月上旬〜6月までまくことができます。春にまけば梅雨明け後に定植できる大きさの苗に育ちます。

栽培には日当たりと風通しのよい場所が適しています。病気には強いのですが、予防のために、長雨には当てず、連作はしないようにしましょう。

ジニアの性質でもっとも注意したいのが、太い根がまっすぐ下に伸びる性質(直根性)です。太い根を少しでも痛めるとうまく根付かないので、植え替えは基本的には行わず、植え付け時も根をあまり触らないように慎重に作業しましょう。

ジニアの育て方~苗から始める~

苗の選び方

4月から7月ごろまでポット苗が出回ります。購入する場合は、下葉が枯れていない、葉色が生き生きとした緑色で、茎が徒長(植物の枝や茎が必要以上に間延びして伸びること)していないものを選びましょう。

植え付け時期と方法

苗を購入した場合はその直後が、苗を育てた場合はポットの外側に根が回り始めたころが、鉢や庭に定植するのに適した時期です。植え付けの方法は次のとおりです。

◆鉢植えの場合◆

①鉢に鉢底網を入れ、鉢底石を敷き、用土を鉢の高さ1/3ほどまで入れる

②ポットからジニアの苗を出来る限り根を切らないように引き抜き、根についた土を軽く落とす

③鉢にジニアの苗を置き、縁の3〜4cm下の位置まで土を入れる

④苗の周りに土を盛り、土を棒などで突いて隙間をなくす

⑤鉢底から水が出るまで、たっぷりと水やりをする

⑥品種名や植え付け日を書いたラベルを挿す

◆地植えの場合◆

①花壇の土に堆肥と腐葉土をすき込んでおいた場所に20cmぐらいの間隔で植え穴を掘る

②各穴にジニアの苗を1株ずつ根鉢を軽く崩して植え付ける。

③鉢底から水が出るまで、たっぷりと水やりをする

④品種名や植え付け日を書いたラベルを挿す

5号鉢に一株植えを基準にし、それより大きい鉢や横長プランターを使う時は株間を15~20cmあけましょう。

地植えする時は、水はけをよくするためにしっかりとウオータースペースを1cm程度作るように植え付けましょう。ジニア・リネアリス系とジニア・プロフュージョン系は、エレガンス種よりも株間をやや広めに(20〜30cm)とりましょう。

ジニアの育て方~種から始める~

種まき時期

ジニアは20℃前後でよく発芽するので、種まき時期としては、温暖地では4月上旬以降、寒冷地では5月上旬以降が目安です。低温には弱いので早まきは避けましょう。6月(寒冷地は7月上旬まで)にまいて秋に開花させることもできます。ただし、高温時の播種は生育が難しいので避けましょう。

種まき方法

すべての種がきれいに発芽するとは限らないので、鉢や庭に直まきして、株が思いどおりの配置になることは滅多にありません。ジニアを種から育てる場合、床まき→育苗→定植の流れで進めるのが一般的です。種まきの方法は次のとおりです。

① 播種箱に種まき用土(赤玉土4:バーミキュライト3:ピートモス3)を5cmくらいの深さになるように入れる

② 土に5〜6cm間隔で浅い溝を作る

③ 種を筋まきにし、5mmほど土で覆う。土を掛け過ぎないように注意する。

④ 20℃以上を保ち、乾かさないように注意して管理する

⑤ 7日ほどして発芽したらよく日に当て、水やりをやや控えめにする

水は、播種箱の受け皿にためて土の下側から給水させるか、上から霧吹きなどで少しずつ与えます。本葉が2〜3枚になったら育苗作業に移ります。

育苗方法

ジニアの芽が伸びて本葉が2〜3枚の小苗になったら、ポットに移して丈夫な苗に育てましょう。育苗の方法は次のとおりです。

①赤玉土5:腐葉土かピートモス4:くん炭1の配合土を用意する

②ポットにジニアの小苗1株と育苗用土を、根をできる限り切らないように入れる

③ 土が乾いたら十分に水をやり、低温にならないよう注意して管理する

④ 10日ほどしてポット内に根が回り始めたら、週に1度液肥を与える

⑤ 本葉が5〜6枚になったら鉢や地面に定植する

定植とは、苗を最終的に育てる場所に植え付けることです。定植の方法は「5.ジニアの育て方~苗から始める~」の「植え付け時期と方法」の項を参照してください。

ジニアと仲よくなる日々のお手入れ

ジニアの水やりのタイミング

ジニアは乾燥に強い花ですが、乾きすぎると株全体が弱ってしまいます。鉢植えは土の表面が乾いたら、地植えは葉がしおれるようなときに、たっぷりと水やりします。特に真夏は水切れに注意して、朝夕の涼しい時間帯にたっぷりと与えます。葉に水がかかると病気に感染しやすくなるので、株元にあげましょう。

ジニアの肥料の施し方

ジニアは開花期間がとても長いので、肥料を絶やさないようにします。植え付け時に元肥を施したら、10日後ほどから追肥を始め、秋ごろまで続けましょう。液体肥料なら2週間に1回、固形肥料なら1カ月半から2カ月に1回を目安に施します。

ジニアの花が咲いたら…

一つの花が咲いている期間も長いジニアですが、花の中心が茶色味を帯びて盛り上がり、花びらの色も褪せてきたら終わりのサインです。次の花に栄養を回すために、開花期間中に終わった花は早めに花がら摘みをしましょう。花のすぐ下の葉の下で切り戻します。

ジニア・リネアリスとジニア・プロフュージョン系統の品種は、花がら摘みをしなくても開花し続けます。とはいえ、やはり見栄えは気になるので、終わった花は摘んでしまっても問題ありません。

剪定は時期に注意して摘心と切り戻しをします

株の成長を促したり枝ぶりを整えるためだけではなく、開花期間の後半のスタミナ切れを防ぐために、ジニア栽培には摘心や切り戻しといった剪定作業が欠かせません。剪定の時期と方法、ジニアの種類別のポイントは次のとおりです。

◆時期◆

・本葉が10枚前後になったころ

・梅雨どき

・8月上旬〜中旬ころ

上の3回を目安に、株の様子を見ながら適時、摘心または切り戻しを行います。

◆方法◆

・ 摘心……茎や枝の先端をカットする

・ 切り戻し……脇芽の出ている真上の位置で茎や枝をカットする

ジニアの場合、摘心でもハサミを入れる位置は脇芽の上なので、切り戻しとの違いがわかりにくいかもしれません。摘心は“芯を摘む”の意味で、茎や枝の頂部を切り落とすこと、切り戻しは茎や枝の先を、摘心よりも長く(1〜数節分)カットすることです。どちらの作業も、晴れた日に、清潔で切れ味のよいハサミを使って行いましょう。

◆種類別のポイント◆

・ジニア・エレガンス……花がら摘みを兼ねて、天芽(いちばん上の芽)から1〜数節下で切り戻す

・ジニア・リネアリス、ジニア・プロフュージョン……夏に、草丈の1/2〜1/3の位置で切り戻す

摘芯や切り戻しをすることによって、脇芽の生育が促されて枝が増え、花数の多い株に育ちます。風通しや水の巡りもよくなるので、梅雨どきと猛暑のころにも剪定を行いましょう。

また、夏に剪定を行えば、それ以前より小ぶりになった株に栄養が蓄えられ、秋も元気に花を咲かせるようになります。ただし、開花期間の後半に剪定を行うと、再び花が咲き始めるころには開花期間が終わる(終わっている)ことになるので、遅くとも8月下旬ごろまでに行います。

知りたい! ジニアの増やし方

ジニアの種の採取の時期と方法

ジニアは種まきで数を増やすことができます。

種を採取する場合は、すべての花が咲き終わった後に1〜2株は刈り取らずに残しておきます。完全に枯れるまで放置し、種が熟したら収穫して翌年まで保管します。

※購入した時の種袋に「交配種」「○○交配」「F1」と記載されていたジニアは、育てたものと同じ花が咲くとは限りませんので、予め知っておきましょう。

ジニアの挿し芽の時期と方法

ジニアは挿し芽という手法でも数を増やすことができます。挿し芽に適する時期は春~初夏または秋、方法は以下の通りです。

① 新芽が伸びる前の茎の先を6cmくらいの長さで切り取る

② 切り口を、よく切れるハサミで斜めにもう一度切り、葉は2枚残し半分に切る

③ 赤玉土(小粒)を入れた育苗ポットに挿す

④ 土が乾かないように水やりを続けながら、明るい日陰で管理する

⑤ 十分に根が出て本葉が数枚出て来たら鉢に定植する

毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです

育てるときに注意したい病気

ジニアは株が蒸れると病気になりやすいので、まめに枯葉や終わった花を摘み、風通しをよくするのが一番の予防になります。

出やすい病気には次のようなものがあります。いずれも菌による病気なので、症状を発見したらまずはすぐに感染している部分を取り除き、株全体が悪くなっている場合は株ごと抜き取り破棄します。

うどんこ病
梅雨どきや秋の高湿の時期に出やすい、ジニアの病害虫被害の中でもっとも多い病気です。症状としては茎や葉、つぼみなどが白い粉状の菌糸で覆われます。感染した部分を取り除いたら殺菌剤をまきましょう。窒素過多やカリ不足が主な原因なので、窒素肥料を避け、カリ肥料を多めに与えます。

ジニア・リネアリスとジニア・プロフュージョン系統の品種はうどんこ病に強いとされていますが、あまり過信せず、観察を欠かさないようにしましょう。

斑点細菌病
雨などによって泥はねし、土壌中の細菌が葉に付くと感染しやすくなります。ジニア・エレガンスによく発生します。最初は、葉には黄色の花弁には褐色の小さい斑点が生じ、しだいに班が色濃く大きくなって葉や花弁が破れます。病班部分を取り除いたら、鉢植えは雨のかからない場所に移し、地植えは株元を腐葉土などで覆うようにしましょう。

育てるときに注意したい害虫

高温乾燥時はジニアに害虫がつきやすくなります。また、春と秋に虫による食害が出ることがあります。害虫の出やすい時期と対処方法は次のとおりです。

アブラムシ、ハダニ
どちらも5~9月の高温乾燥の環境で、アブラムシは葉、茎、花に、ハダニは葉裏に発生しやすい害虫です。成虫が飛来して寄生し、植物中のアミノ酸を吸って生育を妨げます。

アブラムシやハダニが寄生しているのを見つけたら手袋を付けて潰すか、大量の場合は薬剤を散布して駆除します。

予防としては、植物を窒素過剰にさせないよう、窒素肥料を控えめにします。また、アブラムシは強い光を嫌うので、株の根元や鉢の周囲にアルミホイルを置いておくと付き難くなります。

ヨトウムシ
4〜6月ごろと9〜11月ごろに出やすい、ヨトウガの幼虫です。若い幼虫は緑色、成長した幼虫は褐色で体長5cmほどです。株全体を食べつくしてしまうので、葉がボロボロになっているのを発見したら、すぐに見つけて捕殺します。夜行性の虫なので、昼間は土の中や鉢の裏など、夜は葉や茎を調べましょう。

また、ヨトウガが発生しやすい時期の1か月ほど前に、葉裏に卵が産みつけられていないかも確認しましょう。見つけたら葉ごと処分します。

ジニアと相性のよい寄せ植えの植物は?

花の色や咲き方のバリエーションが豊富なジニアは、ビジュアル的にはどんな草花ともうまくまとめられますが、生育の条件が似た植物と合わせることが、美しい寄せ植えを長く楽しむための一番のポイントといえます。

ジニアと同様、春に植えて秋まで咲く、夏の太陽にも強い花々と組み合わせて、元気あふれる寄せ植えを作ってみませんか?

咲き乱れる小花が鉢や花壇にボリュームをもたせるペチュニア、それぞれ星型とラッパ型の小花たちが寄り集まるように咲くペンタスとランタナ、花びらの赤色が眩しいサンブリテニア、ジニアの花色にはないキリっとした青が印象的なアメリカンブルーなど、花のサイズや色に違いを持たせると、よりポップで賑やかな雰囲気になります。

反対に、花弁が若葉のような黄緑色をしたジャイアント・ライムやエンビーといった品種のジニアをメインに、班入りの葉が美しいギボウシ(ホスタ)、晩秋に紅葉するまで鮮やかな緑を楽しませてくれるコキア、常緑の多肉植物セダムなどを合わせれば、ナチュラルでシックな印象に仕上がります。

もちろん、色や品種の異なるジニア同士を寄せ植えしても素敵です!

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・橋真奈美

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