神秘的な印象のガジュマルは、独特な魅力のある樹形はもちろん、丈夫で育てやすいことで人気が高い植物です。一方で、水やりにはコツが必要で、初心者だと根腐れさせて枯らしてしまうことがあります。そんなガジュマルの水やりの方法や注意点を、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。水やりのタイミングや頻度を守り、生き生きと元気なガジュマルに育てましょう。

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ガジュマルを育てる前に知っておきたいこと

ガジュマルは、インドやオーストラリアなど熱帯・亜熱帯地域に分布する樹木。濃い緑色の丸みを帯びた葉や、膨らんだ木の幹が印象的な植物です。自然界では、高さ20mに達するものもあります。

日本では沖縄や屋久島に自生し、小笠原諸島では植栽がされています。小浜島を舞台にした、NHKのドラマ・連続テレビ小説『ちゅらさん』などで取り上げられたので、ガジュマルを知っている人は意外と多いかもしれません。

古くから、“精霊が宿る木”と呼ばれ、神秘的な印象が強いガジュマル。生命力は非常に強く、その根はコンクリートさえ突き破るほどです。カンボジアのアンコールワットにあるタ・プローム寺院は、建物全体がガジュマルの根に浸食されていることで有名です。

温暖な環境があれば比較的育てやすく、初心者におすすめのグリーンのひとつです。育てるときは、苗からが一般的です。

ガジュマルの基本データ
学名:Ficus microcarpa
科名:クワ科
属名:フィカス属
原産地:東南アジア、台湾、日本、インド、オーストラリア
和名: ガジュマル
英名:Chinese Banyan、Malayan Banyan
開花期:4月中旬~5月下旬
発芽適温:20~30℃
生育適温:5℃以上

水やりの方法と、そのタイミング

ガジュマルに限らず、植物を育てるときに、水やりはとても大切です。少なすぎれば枯れてしまい、与えすぎは根腐れの原因となります。

ガジュマルの水やりのタイミングは、時間帯でいえば、朝です。早朝から、日が高くなるまでのあいだ、比較的涼しい時間帯のうちに、水やりを行いましょう。その頻度は、ガジュマルの場合、季節で異なります。

通常ガジュマルは、気温10℃を超えると成長が盛んになり、下回ると緩慢になります。そのため、春から秋にかけて、水やりの頻度は多くなります。もっとも成長が活発になる夏は、ほぼ毎日水やりが必要になります。

反対に気温が低下する冬は、月に1~2回程度の水やりで済みます。これは、水やりの頻度を減らし、ガジュマルの樹液濃度を上げ、株の耐寒性を高めるためです。

また、根からの水やり以外に大切なのが「葉水(はみず※)」を行うことです。ガジュマルは乾燥に弱いので、生き生きとした株を育てるために、葉水は重要な作業です。葉や茎、幹にたっぷり水分を与えましょう。

葉水を行うことで空気中の湿度が保たれ、ガジュマルが好む湿潤な環境に近づけることができます。また、ガジュマルの大敵であるハダニの予防や、暑い時期の葉の温度調節にも役立ちます。葉水は毎日行うとよいでしょう。

ガジュマルは鉢植え、地植えのどちらでも栽培できます。日本では、サイズが大きくなりすぎず、温度管理しやすい鉢植えで育てるのが一般的です。次の項からは、鉢植えの場合の水やりを紹介しましょう。

※「葉水」葉に直接水を与えること。霧吹きを利用して、葉や茎、幹にたっぷり水分を吹きかけます。

鉢で育てている場合の、ガジュマルの水やり

水やりの頻度

ガジュマルの水やりは、朝、土の状態を見て判断します。「土が乾いた状態」が水やりのベストなタイミングです。

ガジュマルに限らず、植物の根は水分や栄養を吸い上げるだけでなく、土の中で呼吸をしています。根自身が酸素を吸収し、二酸化炭素を排出しているのです。そのため、土が常に湿っていると根が酸素不足となり窒息状態に。最終的には株全体が腐って枯れてしまいます。これを防ぐためには、水やりの合間でいちど、土の内部が乾くタイミングを作ることが大切です。土の表面だけでなく、土中も乾いているかを確認したうえで、水やりをするようにしてください。

水やりのコツ

ガジュマルの水やりのコツは、「鉢底から水が流れ出るまで与える」ということです。水やりの頻度は少ないものの、あげるときにはたっぷりと水を与えることが、鉢内の環境を整えることにもつながります。

植物は根自身が呼吸をしているので、土の中には排出された二酸化炭素などの老廃物が溜まります。植物の根元からたっぷりと水を与えることで、それらを流して土の中に新鮮な空気を含ませることができるのです。

ただし、鉢皿に水を入れて下から与えたり、流れ出た水を鉢皿に溜めたままにしたりするのは厳禁です。鉢皿は、常に水が溜まっていない状態をキープしましょう。

水やりの確認方法

土が乾いた状態といっても、確認方法がよくわからないという人もいるかもしれません。土の表面が乾いていても、鉢の中はまだ湿っているという場合もあります。

水やりに最適なタイミングを逃さないために、土が完全に乾いた状態の鉢の重さを覚えておきましょう。この重さを覚えておけば、鉢を持つことでベストタイミングかどうかがわかります。この方法は、水やりの頻度が減る冬に、特に役立ちます。

また、葉の向きを見ておくことも大切です。柔らかい新芽を除き、ガジュマルの葉は水が不足すると葉先が下を向きます。これは水やりが必要なサインで、鉢の中は完全に乾いた状態です。

以上の2点を押さえておけば、水やりのタイミングを間違える心配はありません。

水やりは、季節によっても多少変わります

土が乾いてから、鉢底から流れ出るくらいたっぷりの水を与えることが、ガジュマルの水やりの鉄則です。しかし、実際は、天候のほか、ガジュマルの生育状態や季節でも、水やりの仕方は変わってきます。そこで、この項では季節ごとの違いを見ていきましょう。

春(鉢植え)

気温が上がってくる春は、休眠期にあったガジュマルが成長期に突入する時期です。根も生長するにつれて、だんだんと水を吸収する力をつけていきます。土が乾き、さらに表面が白くなるのを確認してから、たっぷりと水を与えましょう。

夏(鉢植え)

高温になる夏は、土の乾きが早くなります。水やりは毎日必要と考えてください。ただし、鉢が室内にあったり、土の水はけがよくなかったりする場合は、その限りではありません。土が乾いているかどうかを、水やりの前に必ず確認しましょう。

秋(鉢植え)

根が水を吸収する力は十分ですが、株は少しずつ休眠期への準備に入ります。春と同じ、土が乾いて表面が白くなるのを確認してから、水やりを行いましょう。

冬(鉢植え)

ガジュマルが休眠期に入る冬は、根が水を吸収する力が弱まります。そのため、水やりしてから土が乾くまで、かなりの時間を要します。根腐れを防ぐためにも、土が乾いたことを確認し、数日開けて、水やりするようにしましょう。

ガジュマルの水やり、注意点が知りたい

鉢植えの場合の注意点

ガジュマルを元気に育てるには、メリハリをつけて水やりを行うことが何より大切です。注意点は、土が完全に乾かないうちに水やりをしないこと。特にガジュマルが休眠期に入る冬は土が乾きにくく、根腐れを起こしやすくなるので、要注意です。

根腐れしている場合は、「葉が落ちる」「土から腐敗臭がする」「幹や茎がしおれて腐ってくる」などの症状が現れます。根腐れの対処法は、植え替え以外になく、場合によっては回復が間に合わないことも。根腐れが起きないよう、注意をしてください。

「水やり3年」という言葉があるように、水やり方法をマスターするには、少し時間がかかるかもしれません。しかし、毎日対話をするように愛情込めて育てていけば、ガジュマルが水やりのタイミングを教えてくれるのがわかるでしょう。水やりの注意点を踏まえつつ、青々とした元気な株を育ててください。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

文・ランサーズ

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