初心者におすすめ! ハーブを育てるメリットと育て方のポイントについて
![初心者におすすめ! ハーブを育てるメリットと育て方のポイントについて](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/89ff2723c6ce66aa4a7635793f5fe741.jpg)
ガーデニングで植える草花を選ぶ時、ハーブを育ててみたい! と思う方も多いでしょう。ハーブは栽培する楽しみに加えて、ハーブティーとして飲んだり、お料理に加えたりと、生活にも活用できる点が最大の魅力。爽やかな香りや可愛らしいお花は、毎日の暮らしに彩りを添えてくれますよ。
今回は、ハーブを育てるメリットと育て方のポイント、初心者さんにも育てやすいおすすめのハーブを、ハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんにご紹介いただきます。まずは気になるハーブを1鉢育てることから、はじめてみませんか?
目次
ハーブについての基礎知識
暮らしに役立つ植物として、ハーブは古代から人々に愛されてきました。ラテン語で「草」を意味する「ヘルバ(herba)」に由来し、食用・飲用・薬用・美容・園芸・装飾など、生活のさまざまな場面で幅広く活用されています。まずは、ハーブについての基礎知識をご紹介しますね。
ハーブとは?
ハーブとは、日々の生活に役立つ香りのある植物の総称で、それぞれの植物によって、葉や茎、つぼみ、花、根などが使われます。
また、ペッパーやターメリック、シナモンなどの「スパイス」と呼ばれるものがありますね。「ハーブとスパイスって何が違うの?」という質問もよく受けますが、実は、ハーブとスパイスの区分や定義は、国や専門家によってさまざまで、決まりはありません。ハーブとは、生活に役立つ香りのある植物の総称ですので、ハーブの中にスパイスも含まれるという考えもありますし、ハーブは花・茎・葉で、スパイスは種子・根・実と、使用する部分で分けて考える場合もあるようです。
ハーブにはどんな種類がある?
ハーブには、1万を超える種類があります。
代表的なハーブには、ミント、バジル、ラベンダー、ローズマリー、パセリ、マジョラム、パクチー、ローズゼラニウム、セージ、レモングラスなどがあります。また、ドクダミやシソ、ショウガやワサビなど、日本人に馴染み深い植物もじつは立派なハーブなんですよ。
そして、それら一つひとつが、抗菌作用・発汗作用・利尿作用など身体に有効な異なる成分を持っているのが、ハーブの特徴。「料理」「薬用」「園芸」「クラフト」「お茶」「健康」など、さまざまな用途に使用されます。このハーブの持つメリットを、日々の暮らしの中でうまく利用できると、生活の豊かさにもつながりそうですね。
ハーブを育てるメリット
ハーブは育てたら使える! という点が最大のメリット。わざわざ買うのではなく、栽培しておけば使いたいときに、使う分だけ収穫できます。また、ハーブは病害虫に強い種類が多いため、農薬を使用しなくても栽培可能。飲んだり食べたりと口にする機会も多いハーブですから、安心安全に使用できるのも自家栽培の嬉しいポイントです。まだまだたくさんメリットがあるので、ご紹介しますね。
料理の幅が広がる
![ハーブを使った料理](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/3f321d79fd87b3768ebd3c124e32c7e6.jpg)
ハーブは、和食に使われる薬味と同じように、日々の料理に少し加えることで、味を引き締めてくれます。例えば、お肉を焼くときに、生のローズマリーやタイムを1枝加えるだけで、いつもと違う味と香りが楽しめて、料理上手になった気がしてしまうくらいです。
お料理に向いているハーブは、ローズマリー、タイム、セージなど。まずは1種類から試してみて、慣れてきたら、ローズマリー+タイムや、ローズマリー+セージというように複数のハーブを組み合わせ、ブレンドしてみるのもおすすめ。ブレンドとなると、相性が気になるところですが、ローズマリー、タイム、セージは、同じシソ科の植物で、相性も抜群。じつは、ハーブは組み合わせることによって、お互いの角が取れてマイルドに感じる作用があるんですよ。お料理のアレンジの幅が広がり、レシピの選択肢も増えますね。
採れたてならではの風味がある
![ハーブには採れたてならではの風味がある](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/1c0a7812bacfce30ac2cc5c3f204f668.jpg)
そんなハーブを庭の一角で育てておくと、必要なときにすぐに使えて、とても便利。
じつは、ハーブのもつ特有の香りは、空気に触れると揮発して、だんだん消えていってしまうんです。この香りはハーブにとって「命」。摘み取ったらすぐ使うことで、格別な風味を楽しむことができますよ。スーパーなどで売られている乾燥ハーブは、長期保存をするための工夫です。お庭で育てたハーブは、わざわざ乾燥させてから使う必要はありませんので、フレッシュのまま活用するのがおすすめです。
この格別な香りは、ハーブのおいしさを左右するポイントにも。これを味わえるのは、自分で育てた人の特権! 日当たりのいい場所と、ちょっとしたコツがあれば育てられるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
虫除け効果があるってホント?
多くのハーブには、虫が嫌う「昆虫忌避作用」があります。これは虫が嫌いな香りを発して、植物自身が自分を守るための手段です。そのため、ペパーミントやバジル、レモングラス、ローズマリー、ラベンダー、ゼラニウムなどは、栽培していても虫が付きにくい丈夫なハーブといえます。
「玄関や庭にハーブを植えると、ゴキブリや蚊などの虫を寄せ付けないってホント?」と聞かれることがありますが、植えてあるだけで虫が室内に入るのを防ぐことは、残念ながらできません。葉や茎・花などに含まれる芳香カプセルがはじけた時に、香りが届くシステムなので、植物自体に虫がつかないようにすることはできますが、人間が虫除け作用を利用したいのであれば、このカプセルに触れないといけません。
というわけで、葉や花をこすってカプセルを弾けさせていれば、虫除け作用も期待できますが、植えてあるだけではそれほど効果は感じられないと思います。
ハーブを上手に育てるポイント
利用法もさまざまなハーブは、初心者さんが、「植物を育てる楽しさ」を体感するアイテムとしておすすめ。もともと厳しい自然環境で育ってきた植物ですから、特別な世話は必要なく、育てやすいといえます。大切なことは、環境に合った育て方をしてあげること!
まず、ハーブを上手に育てるために大切なことは、温度・日当たり・風通し・水やりです。ですが、先述の通り、ハーブと一口にいっても、1万種類以上もありますので、その種類によって好む環境が異なります。育てたいハーブに合わせて環境を整えてあげることで、失敗のリスクもぐっと減ります。例えば、バジルは熱帯アジア原産。日本のじめじめした夏は得意ですが、寒さは苦手で、発芽生育に必要な気温は13℃以上です。それ以下になると、日本ではうまく育ちません。
また、ローズマリーは地中海沿岸がふるさと。湿気がなく、カラッとした気候が好きなので、水やりを控え、風通しよく管理すると、うまく育ってくれます。
このように、まずは育てたいハーブの「原産地」がどこかを知ることが大事です!生まれた土地の気候に近い環境をつくってあげましょう。
ハーブを育てる上での注意点
もう少し詳しく、ハーブを育てる上での注意点をまとめます。もし、今までハーブを育ててもうまくいかなかった…という経験がある方は、この点をもう一度見直してみるとよいかもしれません。
寄せ植えをしないほうがうまく育つ?
![寄せ植えをしない方が上手く育つ?](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/6a15b48c9bc786bd02e14bc6c2176c02.jpg)
寄せ植えとは、1つの器に何種類かの植物を混植すること。さまざまなハーブを寄せ植えすることで、見た目が華やかになりますよ。
上級者の方は、いろいろなハーブを1つにまとめて楽しんでみてください。一方、初心者の方は、1つの鉢に1種類のハーブを植えて育てることからスタートするのがおすすめ。ハーブにはさまざまな種類がある故に、育て方も多種多様。それぞれに適した土や環境が違うため、はじめのうちは単独で植えるほうがよく育つでしょう。
慣れてきたら、原産地や、シソ・アブラナなどの「科」で分ける、好きな環境が似ているもの同士を合わせるなどしていくと、育てやすい寄せ植えができますよ。ハーブだけでなく、一年草や多年草など、お花の楽しめる苗と一緒に植えてもOKです!
環境に合ったハーブを選択する
先ほど、育てたいハーブに合わせて、環境を整えてあげることが大切というお話をしましたが、日本の気候は温帯と呼ばれ、冬と夏とでは温度差があり、降水量も多く、高温多湿である点、さらに日本の場合は、北海道から沖縄まで縦長の地形で、北海道と沖縄の気候が全く違う点にも注意が必要です。つまり、住んでいる場所によって、育ちやすいハーブ・育ちにくいハーブがあり、すべてのハーブが日本の気候に適応しているとは限らないのです。また、園芸本に書かれている情報は、関東以南の平地での栽培を基準にしている場合が多いので、お住まいの地域によっては、本に書いてある通りには育たないケースもあります。
例として、レモングラスは東南アジア原産なので、湿度や暑さに強く、九州南部や沖縄などでは育ちやすいですが、北海道では栽培に工夫が必要で、難易度が上がります。
反対に、ラベンダーは乾燥した地中海沿岸が原産地。梅雨がなく、じめじめしていない北海道では育ちやすいですが、過湿に弱く、特に日本の梅雨・長雨は苦手なので、他の地域では栽培が難しくなります。
というわけで、住んでいる土地の温度や気候に合ったハーブを選べば、失敗もぐんと減るはずです。「欲しい」という気持ちだけで選ぶのではなく、欲しいハーブは、自分の住まいに合っているかどうか、一度チェックをしてみてくださいね。
おすすめのハーブ5選
これからハーブを育ててみよう! という初心者さんにも、栽培から収穫まで楽しめて、使い勝手もいいハーブを5つ、ご紹介します。
ミント
![ミント](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/a37bf6f11b80849348b4acbe3cdfd97a.jpg)
ミントはシソ科の耐寒性多年草です。清涼感のある強い芳香が特徴で、スイーツやドリンク、ガムなどの菓子類や化粧品など、幅広い用途に向く非常に使い勝手のよいハーブです。原産地は、北半球の温帯地域・アフリカなので、日向で水はけのよい土を好みますが、種類も多いため、半日陰やじめじめした湿地でも育つものもありますよ。
ミントは地植えすると、茎が地中にどんどん伸びて広がるため、広がらせたくない場合は、一度鉢に植えた状態で地植えにしたり、地面に間仕切りを置くなど、根が広がらないようにする工夫が必要です。特に増えやすいミントは、スペアミントとアップルミントです。原種に近いものは繁殖力も強いという特徴がありますよ。
![スペアミントとペパーミント](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/511eca562982263880bbf39432ce5615.jpg)
食用としてポピュラーなのは、スペアミントとペパーミント。150cc程度のお湯に、ミントの葉を15枚程入れて熱湯を注げば、爽やかなミントティーのでき上がり。消化促進作用があるので、食事の後、食べ過ぎた時、胃がもたれた時などに飲むと、すっきりします。
バジル
![バジル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/173741c0ba255279c2abc2f68c0df8ab.jpg)
バジルはシソ科の非耐寒性一年草です。イタリアではバジリコと呼ばれ、食欲をそそる強い香りが特徴。フレッシュ(生葉)のままパスタやピザ、サラダ、肉料理などに使用すると、風味をアップさせてくれます。
原産地は熱帯アジア。暑さには強く、日本の高温多湿でも丈夫に育ってくれます。
バジルを育てるのに適した環境は、日当たりがよい場所。西日でもOKです。乾燥に弱いため、土の表面が乾いたら水をたっぷりと与えましょう。また、20cmくらいの高さになったら、収穫を兼ねて先端を摘む作業「摘心」をすると、脇芽が伸びて大株に育ち、収穫量がアップします。
たくさん収穫したいなら、花を咲かせないこともポイント! 花が咲くと新芽が出にくくなるし、葉も固くなります。
![花は早めに摘みとって、飾って楽しみましょう](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/da8d023a5335f3e7007c91de4d9e9d12.jpg)
花は早めに摘み取って、飾って楽しみましょう。
たくさん取れたら、バジルペーストもおすすめ。フレッシュのほうが香りや風味はよいですが、ドライにしておくのも○です。
パセリ
![パセリ](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/bc57e00a48f3bd7519c5dfb9108b5983.jpg)
パセリはセリ科の半耐寒性二年草。料理の付け合わせにぴったりで、彩りを添えてくれるだけでなく、食後の口直しとしても利用されます。地中海沿岸が原産地で、葉の縮れた「モスカールドパセリ」と、葉が平たい「イタリアンパセリ」があります。
![イタリアンパセリ](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/a2df9b42eebbbd0e2cada84b1ffd7f3f.jpg)
パセリを育てるのに適した環境は日向で、水はけのよい用土です。25℃以上になると生育が衰えます。高温多湿と、夏の強い日差しは苦手ですので、黄色くなった葉は取る・適宜収穫するなどして、株元の風通しをよくしておきましょう。また、鉢で管理して、夏場は涼しい場所に移動などすると、うまく栽培できるでしょう。また、初夏に花を咲かせると枯れます。花芽がついたら、摘むようにしましょう。春~秋は、屋外でよく日に当てて栽培しますが、冬場は室内に取り込むなどすれば、長期に渡り収穫ができます。
たくさん収穫できたら、冷凍しておくのがおすすめ。手でパラパラにできるので使いやすいですよ。
ラベンダー
![ラベンダー](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/cb531ed29246bc2a7ea3e4225a8c9ff6.jpg)
ラベンダーはシソ科の常緑低木です。種類によって、耐寒性があるものとないものがあります。柔らかいフローラルの香りが特徴で、香りを楽しむのによく利用されます。料理やハーブティーに使われるのは、イングリッシュラベンダーやトゥルーラベンダーです。ラベンダーにもたくさんの種類がありますので、ご注意くださいね。
ラベンダーを育てるのに適した環境は、基本的には、日向と水はけのよい用土ですが、お住まいの地域に合わせて品種を選ぶと失敗が少ないはず。高温多湿に強い・弱い、寒さに強い・弱いなど、それぞれの地域に合う育てやすいラベンダーがあります。
ローズマリー
![ローズマリー](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/10/41101e14bbee0f0535a36039574b6159.jpg)
ローズマリーは、シソ科の耐寒性常緑低木です。チキンや魚などと相性がよく、料理の幅が広がる、使い勝手のいいハーブ。大株に育つので、庭の植物としても見応えがあり、常緑で一年中収穫できるのも魅力です。
ローズマリーを育てるのに適した環境は、バジルと同様に日当たりがよく、風通しのよい屋外です。キッチンで栽培するのではなく、屋外で育てて、必要な時には庭へ出て摘むようにしましょう。また、ローズマリーは香りが強いのも特徴。たっぷり芳香成分を含んでいて、触るとべたべたするのは「精油」です。疲れた時に一枝折って香りをかぐと、気分がすっきりする作用がありますよ。
ハーブを育ててガーデニングを楽しもう!
ハーブは、料理やお茶に利用したり、香りをかぐなど、日常生活で活用できる場面が多く、初心者さんでも育てやすい丈夫な植物です。ハーブといってもかなりたくさんの種類があるので、ご自宅の環境に適したハーブを選ぶことが失敗しないコツです。飲んだり食べたりできるのはハーブならでは! ガーデニングを楽しみながら、癒しのひとときを過ごしてください。
<注意点>
自然の恵みが詰まったハーブですが、妊娠中・授乳中の方、治療中の病気がある方、体質等の心配がある方は、使用できない種類もあります。使用する前に、かかりつけの医師にご相談ください。また、ハーブは薬ではありません。健康状態が気になる方も医師にご相談ください。
併せて読みたい
・ガーデニングでハーブを育てる!初心者にも簡単な種類&育て方の注意点
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Credit
![](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/02/61292c3d1adf0aa988fe1c71d2c83c18.jpg)
写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)
花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/
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