観葉植物や草花など、植物を育てる際に必須の作業「水やり」は、一番失敗が多い作業です。これまで「何で枯れたのだろう?」と悩んでいた人に、ガーデニングを楽しむために知っておきたい基礎知識「水やり」をご紹介。ここでは、ベストな水やりを知るために知っておきたい①植物にとって水とは何か? ②水を与えるタイミング ③水やりの一般論 ④水やりのタイミングに与える影響の強い要素の4つについて説明します。

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植物を育てる時に大事な「水やり」

水やり
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植物を育てるうえで一番多いミスは何か?と聞かれれば、私は迷うことなく「水やり!」と答えるでしょう。俗に「水やり3年」などといいます。しかし実際のところ、私は園芸歴30年近くなっても水やりは難しいと感じます。ましてや初心者の方が失敗するのも無理はなく、そこを責めるのは酷であります。

対象とする植物によって水の失敗の内容は違っていても、全然失敗したことがない! という人はたぶんいないでしょう。

では水やりはいつ、どのくらい与えればよいのでしょうか? 「水やりについて考える」前編は「水を与えるタイミング」について説明します。

植物にとって水とは何か?

水
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植物にとって水は生命システムを維持するのに不可欠な物質です。エネルギー固定(光合成)のために必須のものであり、体を支えるためにも使っています。ですから植物は水がないと文字通り生きていくことができません。

●詳しくは『植物が必要とする4つのものって何? 超初心者向け講座1』をご覧ください。

水を与えるタイミング

水やり
FabrikaSimf/Shutterstock.com

植物に水をいつ与えたらよいのか分からずに、毎日水やりしていたら腐らせてしまった……。その逆でまだ大丈夫と思っていたら乾ききって日干しになった……。という経験をお持ちの方はいらっしゃると思います。適切な水やりのタイミングを掴むのはじつはプロでも悩みます。ですから初心者にいきなり理解しましょう! というのは無茶な注文です。

とはいえ、いずれは水をやらねば日干しになるだけです。そこで、これから説明する一般論を基本として覚えていただき、これに状況を加味して加減を考えいけば飲み込みが早いと思います。

水やりの一般論【一般的な植物の場合】

花鉢
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ほとんどの草花・花木・樹木・野菜を鉢で育てている場合は「土の表面が乾いたら」が水を与えるタイミングの一つの目安になります。

水やりの一般論【熱帯植物(観葉植物)】

観葉植物
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土の表面が乾いたら、萎れていない限りもう1日待ってから水を与えます。ただし夏なら毎日与えても大丈夫です。冬は表面の土が乾いてから2〜3日待ってから与えます。

水やりの一般論【多肉植物/サボテン】

多肉植物
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種類による差がすごく大きいグループなのですが、基本的に表面の土が乾いたら3〜4日待ってからの水やりで十分です。7〜10日に1回程度でも大丈夫です。

一般的に成長期間中は基本の通りに与えれば、普通に販売されているような種類なら過剰ということはないでしょう。ただし、メセン類などは過剰な水分にひどく弱いので成長期でも月に3回ぐらい、休眠期なら月に1〜2回霧を拭くか、湿る程度に月に1回少量の水を与える程度で十分です。

近年人気のコーデックスと呼ばれるものの中でも、大きな葉を持ち成長が比較的早いアデニウムやヤトロファは熱帯植物並みの水管理をします。これらは冬に5℃以上の温度が保てないなら逆に水を与えずに乾燥させます。

水やりの一般論【水草・湿った場所に生える植物】

睡蓮
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何をいわんやという感じではありますが、これらは決して乾燥させてはいけません。水がなくなった時が終わりです。毎日水を与えて湿った状態を保ちます。夏は受け皿に水を溜めて、その中に鉢を入れておきます。

水やりのタイミングに与える影響の強い要素

1.気象

水やり
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晴天・風が強い・空気が乾燥している・気温が高い、といった要素は土の乾燥を促します。その逆は湿った状態を持続させます。室内では風は弱いのですが、気温が高めで空気も乾燥しているので乾きやすいといえます。

2.一鉢当たりの植物の量

寄せ植え
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たくさんの植物が植わっていれば水を多く吸いますから、乾きやすくなります。株数は少なくとも鉢の大きさに対して葉の量の多い植物・大きい植物が植わっていれば、同様の結果となります。

3.鉢の材質・大きさ

植木鉢
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プラスチック鉢・ビニールポットは水を通さないので乾きにくくなります。逆に素焼きやテラコッタの植木鉢は吸取り紙のように土の水を吸うので湿りすぎになりにくい反面、とても乾きやすくなります。また大きい鉢は乾きにくく、小さい鉢は乾きやすくなります。

4.土の質・種類

土
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砂系の土やパーライト・軽石が使われた土は乾きやすく、ピートモスや重い粘土質の土は乾きにくいものです。また、粒が大きく粗い土は水を保ちにくく、逆に細かな土や肉眼では粒の大きさが認識できない粘土のような土は水を保つ力が大きくなります。

水やりのタイミングは状況把握から

水やり
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植物の種類とそれを取り巻く諸要素を勘案して、水やりのタイミングを計ってください。

例えば同じ植物を同じ量だけ植えてあっても

例1)晴れ・風が強い・小さめの鉢・テラコッタ鉢・パーライトを加えて乾きやすくした土
例2)雨・風が弱い・大きめの鉢・プラスチック鉢・草花用の重い土

この2つを見比べたら、土の乾き加減が違うわけです。例1は乾きやすいため毎日水をあげてもよいでしょうし、例2なら、その日は水をあげなくてもよいでしょう。

Credit

文/辻幸治(つじ・こうじ)
園芸家。1976年、大阪生まれ。江戸の園芸文化から海外のワイルドフラワーまで幅広く精通する。NHK『趣味の園芸』にも講師として出演。書籍や雑誌の執筆・監修でも活躍。著書に『色別 身近な野の花山の花 ポケット図鑑―花色別777種』(栃の葉書房)など。

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