庭づくりをするときに大切な要素の一つが「小道」です。小道は、庭の敷地を行き来する役割を果たす他、敷石の選び方や敷き方、広さなどで使い勝手や印象が変わります。ここでは、庭にレンガを置くだけではなく、敷き方や使いやすい道幅など基本的に守りたい点を押さえつつ、イギリスなど海外のデザインのバリエーションなどを解説します。ポイントを押さえてDIYするれば、ストレスなく歩ける道が完成!
目次
庭の中を歩き花壇を眺める場所「小道」とは?
庭において「小道」とは、花壇や植栽スペースを区切る場所で、歩きながら植物を観察したり、奥へと誘ったりする細い道のことです。写真のようなイギリスの広大なお庭の中にも、縦横に何本も小道がつくられていて、上から見ると「あそこが歩く場所」と分かります。
まっすぐな小道
小道には「まっすぐな小道」、「カーブする小道」、「広い道」、「狭い道」がありますが、その先に何が見えるかも楽しく歩ける小道づくりのコツです。上写真の小道は、手前が狭く、奥へまっすぐに続いています。レンガ塀のアーチをくぐり、さらにまっすぐ先には彫像が見えます。小道のその先に、何があるのだろう?と興味を誘うような、アクセントになる物を置くことで、その場所まで行ってみたいという“誘う効果”を設けるのも、素敵な小道に仕上げるポイントです。
カーブする小道
カーブを描く小道づくりにも、気をつけたいポイントがあります。例えば、公道と玄関をつなぐ小道をつくる場合、「まっすぐ一直線では芸がない!」と、カーブをきつくしたり、何度も曲がるような道にすると、カーブに沿って歩くのが億劫になります。さらには、小道を脱線して芝生の上を歩いたり、花壇を踏み荒らしてしまう事態にも。どんな形の道にするのか、実際にラインを地面に描いてみて、歩いて無理がないかを確認するのも小道づくり成功のコツです。
歩きやすい小道の工夫
庭の中につくる小道の場合、周囲の花や景色などを眺めながら歩くため、足元の段差に気がつかない場合も多いですね。ですから、小道はなるべくフラットになるように心がけましょう。レンガを並べたり、飛び石を置いたりする場合も、つま先がひっかからないように平らになるように意識すると、ストレスなく歩ける小道に仕上がります。もし、小道と次の区画の小道の間に段差があったら、つまずかないようにスロープをつけましょう。
庭にレンガを置く「基本の小道づくり」DIYのポイント
まずは、平らでつまずかない道であり、雨でぬかるまず、水はけがいいことが大事です。つくり方のポイントを知らずに、ただレンガや石を並べただけでは、次第に道が凸凹してきて、なんとなく歩きたくない場所に変わってしまいますよ。まずは、上写真をよく見てみましょう。お兄さんがレンガを敷いている左右の縁には、花壇との境目となる板が埋まっていて、レンガを敷いた仕上がり面と花壇の地面が同じ高さになっています。これは、あらかじめ「石材の厚み+基礎となる敷砂2㎝厚+砕石8㎝厚」を合計した深さの分を掘ってから3つの石材を重ねているため、花壇と道がフラットになっているのです。
道の断面に近づいてみましょう。レンガの下に敷かれた砂は「敷砂(しきすな)」と呼ばれる海砂や川砂などです。この砂の下には「砕石(さいせき)」と呼ぶ小さく砕かれた石が8㎝厚ほど敷かれていて、足や丸太でつき固められて平らになっています。レンガや石材などの下は、すぐ地面の土ではなく、敷砂と砕石がミルフィーユ状に重なって、平らな面を維持しながら雨水を透します。
レンガの小道と花壇の植物とのバランスで
おしゃれに演出
家に向かう小道を、建物の色に似たレンガで直線に敷き、そのサイドを白花の宿根草、アストランティア・マヨールが群れ咲いてナチュラルな雰囲気に。花がふわふわと風に揺れて動きがあり、白い花が光を受けて周囲を明るくしていることで、道の狭さを感じさせない効果があります。
均一な形のレンガも、角度を変えて敷くことで模様が浮かび上がり、道の表情にも変化が出ます。上写真のように、周囲に植わる植物が緑一色なら、少し凝ってレンガを模様敷きにすると、小道が引き立つ効果が。植栽を凝るか、小道のデザインを凝るか。デザインが喧嘩しないように、どちらか一方をシンプルにするのもおしゃれな小道づくりのコツです。
レンガを置くより簡単施工の「砂利の小道」
「なんだかレンガを敷くまで時間がかかるのね〜」と思った方には、砂利敷きの道をご紹介しましょう。まず、地面を平らにならし、雑草防止のために「防草シート」を道幅×長さ分敷いて、その上に砂利を4㎝厚以上敷き詰めれば出来上がり。砂利の中に生えた雑草を抜く必要が減って、お手入れが楽になるアイデアです。写真のように道の左右が低い植物で縁取られている場合は、道幅は50〜60㎝程度あればOKです。
『敷くだけ簡単雑草対策 防草シート「デュポン™ プランテックス®」』も合わせてご覧ください。
DIYでつくれる雑草が生えない小道
「真砂土仕上げの小道」
上から水をかけると固まる「真砂土(まさど)」も小道づくりに活用されることが多い便利な土です。オレンジやブラウンなど色も選べます。地面を平らにならしたら、真砂土を平らに敷き詰めて、あとはシャワーなどで水をかけるだけ。乾くと土が固まるので、歩きやすい道ができるうえに雑草が間に生えてきません。ひとつ残念なのが、寒冷地には不向きなこと。冬に凍結する地域では、表面がひび割れてしまうためオススメできません。
ステップストーンの敷き方ポイント
まんべんなく石を敷き詰めなくても、少し大きめの平板を歩幅に合わせて置くだけで、十分小道になります。ステップストーン(飛び石)を並べる時は、地面に石の広さ分の砕石をあらかじめ敷いて踏み固めてから乗せると、地面にめり込みません。写真のように道の左右に膝丈以上の植栽がある場合は、道幅を1mほど確保すると、圧迫感なく歩けます。
おしゃれな小道づくりに役立つデザイン例
芝生の間にランダムに平板を並べた小道は、目地に芝生が入り込んでナチュラルな雰囲気ですね。でも、このままにしておくと芝生が伸びて歩く時にまとわりついて邪魔になります。時々目地に生えた長い芝生をハサミやバリカンで刈り込む必要があります。
擬木のステップストーンの間に小石を並べてコンクリートで固めた、凝ったデザインの小道。最初にご紹介したレンガを置く前の基礎をつくる工程(砕石を敷いて、上に敷砂を重ねる)のあと、コンクリートを流しながら小石やステップストーンを並べていきます。根気と手間がかかる分、見た目が美しいうえに丈夫な仕上がりです。自分でD.I.Y.するのも冬の庭仕事にオススメですが、無理をせず街の施工店さんにお願いするというのも方法ですよ。
石材やレンガ、ピンコロ石などの並べ方によって、デザインもいろいろ変化が出ます。狭い庭なら、縦のラインを生かして奥行きを出したり、小道が交差する場所に模様敷きをプラスしてアクセントにしたり。使う素材を探しながら、デザインを考えることも、自分で庭をつくる楽しみの一つです。
個性的な小道のデザインバリエーション
一面芝生が広がる庭の中で、小道に描かれたタイル模様が引き立って、ユーモアのある空間に。タイルや石を一つずつきれいに並べて模様をつくるのは、とても時間がかかりますが、小道づくりに力をかけたら、あとは芝生のメンテナンスと掃除を日頃頑張るだけで、おしゃれな空間が維持できるデザイン例です。
こちらも周囲の植物はグリーン一色でシンプルですが、小道全面を小石のペイビング(石を敷き詰める手法)で模様をつくることで、道の模様が引き立ってオリジナリティのあるスペースになっています。
緑の芝生に対してくっきりと白い小道が浮かび上がり、清々しい雰囲気のお庭。小道の先には座ってみたくなる屋根付きのベンチが備えられ、奥行きを感じさせるため、庭が広く見える効果も。石畳のように見える小道は、天然石を使わなくても仕上げることもできます。それは、モルタルを使って石畳のように造形する方法。石やレンガが並んでいるように形作ることができる型枠(商品例:パスメイト、パスメイク)を利用して、モルタルを流し込んで成形したり、タイルや石の目地を彫って手作りしても、石畳風の小道をDIYでつくることができます。
テラスのストライプ模様と小道の色を一緒にすることで、広がりを感じさせるデザイン。
カーブを描く小道が複雑につながって、小道自体が庭デザインの要素になっているガーデン。まるで迷路のようなガーデンですね。
夜も利用する小道ならば、足元をさりげなく照らすライトを備えるのも、使い勝手がよくおしゃれな小道に仕上げる方法です。
先にご紹介した写真の小道のように、埋め込み式のライトを設置できない場所では、小道を縁取るようにランタンを並べるのも方法。クリスマスやお正月、イベントなどで日暮れ以降にゲストが訪れる日だけでも、ランタンを置いたり、植物や木々をライトアップするのも素敵なおもてなしです。
小道は、形や敷き詰める素材によってガーデンを引き立てる要素になります。使いやすくて、歩いてみたくなる小道を、ぜひお庭や家の周辺につくってください。
『庭の小道をおしゃれにDIY実例デザインバリエ』の記事もどうぞ。
併せて読みたい
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