寒肥・置き肥・元肥・追肥・お礼肥とは?植物にあわせた肥料5つの使い方
きれいな花を咲かせたり、たっぷりの収穫を楽しみたいときに、ガーデナーが考えることの一つが肥料を与えることです。でも、肥料はたくさん与えれば、それだけで植物が大きく育つわけではありません。肥料の与え過ぎは、むしろマイナスの影響が出る危険性も。植物の成長に合わせて、適切な種類と量をタイミングよく与えることが大切です。肥料の基本的な使い方についておさらいしてみましょう。
目次
肥料の施し方
園芸作業や庭づくりで欠かせない肥料のやり方には以下のようなものがあります。主な与え方の一つは「元肥(もとごえ)」、もう一つは「追肥(ついひ、おいごえ)」、そしてほかに「お礼肥(おれいごえ)」、「寒肥(かんごえ、かんぴ)」「置き肥(おきひ、おきごえ)」という方法があります。
表記を見れば意味が想像つくとおり、元肥は植物を植える前の土に混ぜ込んで、植物の成長の基本となる栄養を与えておくもの。追肥は植物の成長に合わせて、必要な栄養を適宜追加して与えていくもので、お礼肥は宿根草やバラ、花木などの開花後や収穫後に、疲れた株を回復させるために与える肥料のことです。寒肥は植物の成長が鈍くなる冬の間に、春の芽吹きに向けて与える肥料、置き肥は植え付けの際に土の表面近くに埋めておく肥料を指します。それぞれの使い方に合わせて、肥料の種類を選びましょう。
元肥(基肥、原肥/もとごえ)とは?
肥料の性質
植物の成長の基本となる元肥には、緩行性でゆっくり長期間効果があり、土壌改良効果もある有機質肥料がオススメ。土中の微生物を増やして土をフカフカにしてくれるので、翌年以降の植物の成長にも効果が期待できます。過剰に与えたり、根に直接触れたり、未発酵のものを使うと植物が傷んでしまう場合があるので注意しましょう。
肥料の種類
元肥に向く肥料の代表格は堆肥。有機堆肥には、牛糞堆肥や馬糞堆肥が販売されています。ほかに腐葉土も効果的。いずれも土壌改良効果があり、緩効性で肥料分は少なめ。肥料分として、緩効性で窒素(N)を多く含む油粕やリン酸(P)を多く含む骨粉などを組み合わせるとよいでしょう。
追肥(ついひ、おいごえ)とは?
肥料の性質
植物に今必要な栄養を届ける追肥には、即効性の高い液体肥料や化成肥料が向いています。化成肥料は必要な成分が調整・配合されているので、特定の栄養を集中的に供給できる点も魅力。植物の成長に合わせ、足りない栄養を補うように与えます。生育期間の長い庭木、植木、樹木などには、緩効性の肥料も組み合わせると効果的です。
肥料の種類
即効性で成分が安定している液肥や化成肥料が向きます。液肥は既定の濃度に薄めて使いましょう。有機質肥料の中では比較的即効性が高く、肥料分の多い鶏糞やリン酸(P)が豊富な魚粉も追肥に向いた肥料です。
お礼肥(おれいごえ)とは?
肥料の性質
花を咲かせた後や、果実を実らせた後の植物はエネルギーを使って疲れた状態。そんな植物には、即効性の高い化成肥料などで速やかに元気を補給してあげましょう。翌年も花を咲かせる宿根草や花木などに与えます。
肥料の種類
追肥の一種であるお礼肥も、追肥と同じく液肥や化成肥料などの即効性の高い肥料が向いています。
寒肥(かんぴ、かんごえ)とは?
肥料の性質
寒肥は、多くの植物が休眠中の冬季に与える肥料。ゆっくり効いて土壌改良にもなる遅効性の有機質肥料が向いています。寒肥のやり方は、植物の根元から少し離れた周囲に穴を掘り、その穴に肥料を入れて施します。その際、多少根を切ってしまっても、成長期でないので大丈夫。新しい根の発根が促される効果もあります。
肥料の種類
寒肥は元肥の一種。冬の間にゆっくりと分解され、春先以降に効果が出る遅効性の有機質肥料として、堆肥を主体に肥料分の多い油粕(油かす)や鶏糞を組み合わせるのがオススメです。施肥の時期が遅くなった場合には、化成肥料を使っても。
置き肥(おきひ、おきごえ)とは?
肥料の性質
植物の植え付け時に、肥料が足りなくなることを防ぐために土の表面近くに与える置き肥。水やりの度に少しずつ溶け出す固形肥料を与えましょう。土中に混ぜ込まないので、少しずつ長期間にわたって肥料を効かせることができます。
肥料の種類
置き肥も追肥の一種。匂いが少なく手軽な緩効性の化成肥料が一般的です。そのほか、固形油粕(油かす)など、固形の有機質肥料も置き肥として利用できます。
肥料の性質を知って、植物にぴったりの肥料を選びましょう
私たちが楽しむ花の美しさや果実のおいしさは、植物がエネルギーを使ってつくってくれているもの。その手助けとして、適切な肥料を与えるとより美しい花やたくさんの収穫という形で応えてくれます。それぞれの肥料の効果や特性を知ることで、必要な肥料を必要な時期に施すことができます。ただ、肥料の与えすぎは根焼けや病害虫の原因にもなり、植物の健康な成長を阻害することにもなりかねません。あくまで植物の成長の一助として、なるべく控えめに、様子を見ながらいつ与えるか、タイミングをはかるようにしましょう。
Photo/1)Africa Studio/2)Lu Mikhaylova/3)Singkham/4)sharon kingston/Shutterstock.com
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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