「お気に入りのオージープランツを増やしたいけれど、やり方が分からない…」そんな方におすすめなのが、意外と簡単な「挿し木」です。この記事では、オージーガーデンの専門家が、適期である6〜7月に行うべきステップや、発根を成功させるためのプロの秘訣をご紹介します。おうちの植物でぜひ挑戦してみてください!
目次
オーストラリアの豊かなガーデンライフ

僕は現在プロのガーデナーとして、日本の茶庭からオージーガーデンまで幅広い造園と、コンテナガーデンや花壇のデザイン制作、そして「バラの育て方」や「多肉植物のリース作り」などの講習会を幅広くさせていただいているが、やっぱり得意分野はオージープランツである。

僕は30年前に、メルボルンに駐在員として5年間過ごし、オーストラリア人の豊かなライフスタイルにカルチャーショックを受けた。日本で最近ようやく話題になっている働き方改革が既に熟成され、現地の同僚たちは、当時の日本のサラリーマンでは考えられない、お金ではない豊かな生活を楽しんでいた。そんな5年間を過ごした傍らには、常にユニークなオージープランツがあった。毎週末のように仲間とバーベキューパーティーをした庭にはグレビレアやカンガルーポーが咲き、郊外にドライブに行けばツリーファーンやユーカリの林があり、花屋の店頭にはバンクシアが溢れんばかりに咲いていた。

帰国後、オーストラリアの植物を育て始めたが、その先には、いつもオーストラリアのライフスタイルへの憧れがあった。オージープランツを育てることで、豊かなライフスタイルを保持したかったのだ。オージープランツは、それだけでもちろん素敵だけれども、オージープランツの普及と共に、オージーライフスタイルも広めたいというのが本音である。
さて、本題に入ろう。日本で挿し木というと、キク、アジサイ、ツバキなどを思い浮かべるが、じつはオージープランツの多くは、挿し木で簡単に増やせるのだ。実際、僕は、家のオージープランツから挿し木でたくさんの苗木をつくり、職場の植物園で手ごろな価格で販売し、オージープランツの普及をさせてもらっている。
そこで、今日はオージープランツの挿し木について説明したい。
意外と簡単!
オージープランツの挿し木方法
それでは早速、オージープランツの挿し木方法について解説しよう。6~7月が挿し木の適期だ。基本は、日本で一般的に行われているアジサイなどの挿し木と同じである。

写真は、挿し穂と呼ばれるもの。挿し穂とは、挿し木に利用する枝や茎のことで、これを土に挿して発根させ、挿し木苗をつくる。健康な株から勢いのよい枝を選んで挿し穂にするとよい。
用意するもの
挿し木にする枝、鹿沼土、活力剤、発根促進剤
挿し木の手順
- まず、挿し木にする枝を集める。乾かないように、枝を切ったらすぐに水を入れたバケツに浸ける。

- 枝を10cm程度に切って挿し穂をつくる。挿し穂をつくる際は、葉からの過度な蒸散を防いで挿し穂の負担を軽くするため、大きな葉がある場合は半分程度に小さくするとよい。また、土に挿す部分に葉がある場合は取り除く。

- つくった挿し穂を活力剤を入れた水に1時間程度浸ける。ここでは「メネデール」を使用した。

- 挿し床にする容器に鹿沼土を入れ、土を湿らせておく。

- 湿らせた鹿沼土に棒で穴をあけ、植え穴をつくる。

- 発根促進剤を挿し穂の先端に付ける。ここでは「ルートン」を使用。






これで挿し床のでき上がり。この後、日陰で湿度を保つようにすると1~2カ月で発根する。
挿し木で育てた苗は、親の性質をそのまま受け継ぐ。実生に比べ、開花までの期間が短縮されるため、翌年には開花することも多い。
以下が挿し木1年後の姿。早いものは花をつける。



4年も経つと、どれも立派な姿になる。下の写真は、挿し木苗から育ったボトルブラシとメラレウカ‘レボリューションゴールド’。我が家の庭で大きく成長している。


この数年で、職場の川崎市緑化センターで、挿し木から育てたオージープランツの苗木を、おそらく数百本以上販売・普及してきたと思う。彼方此方で大きく育ち、開花している姿を想像するだけでウキウキする。仲間が増えるのは楽しいことだ。
これからも挿し木でオージープランツを増やし、オージープランツの普及を継続するとともに、豊かなオージーライフスタイルを広めていきたいと思う。
Credit
写真&文 / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -

えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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