ため息の出るような美しい庭。その舞台裏がどうなっているのか、気になりませんか? 庭の美しさは日々の丹精の賜物に他なりませんが、どんなふうにガーデニングをしているのか、どんな道具を使っているのか、興味は尽きませんね。鳥取県米子市でクリニックの庭づくりを行う面谷ひとみさんが愛用の庭道具をご紹介します。
目次
つるバラの花がら切りに欠かせない中枝切りバサミ
クリニックの庭や駐車場には、壁面に多くのつるバラを誘引しています。満開になったときには、それはそれは素晴らしい風景になりますが、満開を過ぎる頃になると毎日、花がら摘みに明け暮れることになります。クリニックには身体の具合が悪い方がいらっしゃるので、庭はいつも気持ちが明るくなるよう「最高に美しく、花がら一つ見せない!」というのが私の理想であり、庭づくりの信条としています。しかし、つるバラは、高い所や草花の奥に誘引してあり、なかなか手が届かない場所もあります。そんなつるバラの花がら摘みで私が愛用しているのが「中枝切りバサミ」です。
高枝切りバサミほど柄が長くなく、軽量なので片手で使いやすいのです。つるバラの手前の草花の植栽エリアに足を踏み込まなくても、ちょうど壁面のバラに届き、楽に花がらを摘むことができます。アーチの上のほうや、ちょっと手が届かない高い場所も、これがあれば脚立を出さなくて済む場合が多く、重宝しています。つるバラを育てている庭には、オススメのアイテムですね。
花がらを入れるウエストバッグ
摘んだ花がらは、腰に装着したウエストバッグに入れていきます。以前はカゴやバケツを片手に持ちながら花がら切りをしていましたが、ウエストバッグなら常に両手が使えるので、断然こちらの方が便利です。容量もたっぷり入るのが気に入っています。花がらはさして重くもないので、腰につけていても負担にならず身軽に動けます。実はこのバッグ、ディズニーランドで植栽の手入れをしている方々が使っているのを娘が見つけて、「いいものを使っていたよ」と、私に教えてくれたのです。「収穫ウエストバッグ」という名前で検索すると、いろいろなデザインや大きさのものが出てきます。
バラの手入れでよく使う刃物3点セット
バラの手入れでは花がら摘みのほかにも、芽切りや剪定作業があり、刃物は欠かせません。これらの刃物は、バラの種類や年数、用途によって使い分けています。小さなノコギリはハサミより握力を必要としないので、太めの枝を切る時に便利です。先の細いハサミは花がらを摘んだり、アレンジメント用の花を切ったりする時によく使います。赤と白の持ち手のハサミは「岡恒(おかつね)」というブランドで、プロの植木職人さんもよく使っている剪定バサミです。とても切れ味がよいのですが、この切れ味のよさは植物にとってとても大切です。切れ味が悪く断面が潰れたりすると、回復に時間がかかり、そこから病気になったり、生育が滞ったりします。日本製の刃物は力を入れずスパッと切れるものが多く、海外のガーデナーも愛用しているそうです。
雑草抜きのための刃物2種
夏以降は雑草との戦いです。植栽帯に生えているものは土が柔らかいので比較的簡単に抜きやすいのですが、困るのはタイルの目地に生えてきたもの。引っ張ると地上部の葉だけが取れて、根が残ってしまい、すぐに生えてきてしまいます。根ごと引き抜くために使っているのが、この2種類の刃物です。一つは先のごく細くなった鎌で、もう一つは海外で作られている除草フォークです。
土がたっぷり入って便利なペットボトル土入れ
クリニックの入り口や庭の中にも、たくさん寄せ植えの鉢を飾っています。定期的に植え替えをするのですが、こうした植え替え時の土入れとして便利なのが、500mlのペットボトルをリサイクルした自作の土入れです。市販の土入れやスコップより土がたっぷり入れられて作業効率がよいのと、細めの作りなので、寄せ植えした草花の隙間に土を入れるのに便利です。草花の上にザバッと土がかかってしまうと、仕上がりが汚くなってしまいますし、あとあとまで汚れが残ってしまうこともありますが、このペットボトル土入れは細身なので、その心配がありません。
可愛くて安全性も兼ね備えた支柱飾り
デルフィニウムやジギタリスなど、背の高くなる草花には支柱が欠かせません。私は庭の雰囲気を壊さないように自然素材の支柱を使っていますが、それでもまだ草丈が低いうちは支柱がやや目立つので、トップにテラコッタ製の飾りをつけています。可愛らしい雰囲気になるのと同時に、目を突いたりするのを防いでくれます。庭仕事に夢中になっていると、意外と側にある支柱が目に入らず、あわやということもあるものです。それに支柱の先端から雨が入るのを防ぎ、耐用年数を長くする効果もあります。松ぼっくりやドングリなどいろいろなデザインがあり、選ぶのも楽しいですよ。
株姿の乱れがちな植物にはプランツサポート
シャクヤクなど、大株になってくると枝が横に広がり、株姿が乱れてくるものがあります。株姿を美しくキープするのに便利なのが、このプランツサポートです。春先、まだ株が小さい頃にサポートを設置し、リングの中に収まるように育てます。多少、茎や葉が飛び出しても、このサポートがあることによって乱れた印象にはなりません。
庭道具は、機能性・操作性・デザイン性が揃っていることが大切。けれども、必ずしも高価なものである必要はなく、工夫次第で自分で使い勝手の良い道具を作ることもできます。そんなことも含めて、日々ガーデニングを楽しんでいます。
Credit
話 / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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撮影・取材・まとめ / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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