ぷっくりした葉姿が可愛らしい多肉植物、ここ数年大人気ですね。園芸店はもちろんですが、雑貨屋さんや100円ショップにも並ぶほど、よく見かけるようになりました。今回は、多肉植物の“カット苗”を使った、おしゃれなリース型の寄せ植えの作り方を、ハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんにご紹介していただきます。実は、「可愛いから育ててみるのだけど枯らしてしまう…」という方も多いのが、この多肉植物。育て方のコツも必読です!
目次
多肉植物ってどんな植物?
多肉植物はサボテンの仲間で、「丈夫」「育てるのが簡単」とよくいわれますが、実は枯らしてしまう方も多数…。それもそのはず! 多肉植物はかなり個性的な性格の持ち主なのです。
多肉植物の生まれ育った場所は、アフリカや南米など、雨季と乾季がある地域で、日本の四季がある環境とは全く異なります。めったに降らない雨を、自身の中にいっぱい溜め込んでおける仕組みを持ち、進化してきた結果、あのようなプクプクした姿をしているのです。
ですので、日本のジメジメした暑さや、氷点下の寒さは得意ではありません。「多肉植物は強いといわれているけれど、生まれ育ってきた環境が日本とは違う」ということを、まずは理解しておくと、グッと育てやすくなりますよ。
多肉植物を育てるコツは…生まれ育った環境に近づけて管理する
多肉植物は、主に次の2つの種類に分かれます。
1. 温暖な季節に生育期を迎え、冷涼な季節に休眠する「夏型」
2. 冷涼な季節に生育期を迎え、温暖な季節に休眠する「冬型」
ですが、生育期の管理方法は同じで、上手に育てるためのルールがあります。
生育期には、10日に1回を目安に水を与えます。そして、太陽の光にしっかり当てましょう。可愛らしい姿を、室内に置いて眺めながら育てたいという気持ちもよく分かりますが、室内の窓越しでは、必要とする光の量が足りません。生育期は、外に置きっぱなしがベストです。
一方、休眠期になったら、成長は一旦お休みしていますので、水やりは20~30日に1回ほどに。だからといって、暗い室内に置きっぱなしでは、株が弱ってしまいます。日光にちゃんと当てて、体力をキープしてあげてください。このように、多肉植物の生まれ育った環境にできるだけ近づけてあげることが、育てる際のコツです。
カット苗と固まる土が大活躍!
多肉植物の特徴として、根がない状態の“カット苗”というものが流通しています。根を切り落とし、葉と茎を残して挿し木用に仕立てたものです。
「これで大丈夫なの…?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、このまま土に挿しておけば発根する性質を持っているので、安心してくださいね。カット苗を使うことでアレンジメントの幅が広がりますし、通常販売されている苗より安く手に入れられるメリットもありますよ!
なお、植物は、足元がグラグラして不安定だと根を伸ばさない性質を持っています。そのため、支柱を立てて支えたり、土をしっかり押さえて植えこんだり、ということが必要なのです。ですが、この多肉植物のカット苗は、根がありませんから、通常の土に植えても、グラグラしがち…。
そこで、オススメなのが、特殊な固まる土(商品名「ネルソル」)。
「ネルソル」には特殊なポリマーが配合されており、水を加えることで粘りが出ます。
表面から乾燥していき、1週間ほどで固まりますが、その過程で、多肉植物をしっかりホールドしてくれるため、カット苗の発根を促してくれるのです。ネルソルが完全に乾いて固まれば、逆さにしても大丈夫ですし、水を与えても形は崩れないので、安心です。
両方とも、園芸店やホームセンター、またインターネット通販などで購入可能です。
多肉植物のリースを作ろう
それでは、実際にリースを作ってみましょう。
<材料>
○カット苗 適量
○固まる土(ネルソル) 適量
○ワイヤーリースベース 23cm 1個
<作り方>
1. 下準備として、多肉のカット苗の断面はしっかり乾かしておきます。
切り口が乾いていないと、かびてしまうこともあります。鉢から切ったものを使用する場合には、1週間ほど乾かします。購入した場合も、乾燥していることを確認しましょう。
2. ネルソルに適量の水を含ませます。20分ほど置いておくと粘り気が出てきますので、しっかり混ぜましょう。
3. ワイヤーのリースベースに培養土を2/3程度入れ、その上にネルソルをしっかり敷き詰めます。
4. 机にカット苗を広げて、配置を決めます。
苗の大きさはそれぞれ違うので、いろいろ組み合わせて、全体を見てサイズ感がおおよそ同じになるように配置をしっかり考えましょう。この作業が、きれいに円形に仕上げるコツです。
5. ワイヤーベースに、カット苗を挿していきます。
竹串で穴をあけて…
その穴に茎を挿し込みます。土をつまんで穴を塞ぎ、しっかり密着させておきましょう。大小のサイズや、長短の長さを上手に組み合わせていくことで動きが出ます。
多肉同士の隙間はあまり空けずに詰めて挿していくと、可愛い仕上がりになりますよ。
これを1周、続けます。
挿す際には、切り口付近の葉を数枚はずします。目安は茎1~2cm分くらい。葉は横にスライドするように力を加えると、ポロリと取れますよ。
6. 1周植え込んだら、空いているところに余っている苗を挿して、バランスを調整します。
すき間が気になる場所には、ドライモス(こけ)を入れるのもオススメです。
これで完成です!
多肉植物のリースの場合、根の発根を促すために、作ったあと2~3週間ほどは水やりを控えてください。また、今回使った特殊な土「ネルソル」は、一度完全に乾くと水が染み込みにくくなる特性があります。葉がシワシワしてきたら、水を張った容器に15分ほど浸す方法で、吸水させましょう。
おしゃれで贈り物にも喜ばれそうな多肉植物のリース。ぜひチャレンジしてみてくださいね!
Credit
写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)
花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/
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