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黒田健太郎さんに学ぶLesson3 数株で素敵に! シンプル寄せ植え&コーディネート

黒田健太郎さんに学ぶLesson3  数株で素敵に! シンプル寄せ植え&コーディネート

ひと鉢で気軽にガーデニングが楽しめる寄せ植え。玄関先やベランダなど地植えができない場所を華やかに演出する寄せ植えは、たくさんの種類を使わず、たった数株だけでも素敵に仕上げることができます。ここでは、艶やかで美しい寄せ植えづくりで定評のある「フローラ黒田園芸」の黒田健太郎さんに、パンジーを使った寄せ植えのとっておきの技と見応えを高めるコーディネートをご紹介いただきます。

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春まで長く楽しめる
冬の寄せ植え

晩秋~初冬にかけて、花をつけた苗が出回り始める春咲き一年草。日当たりのよい場所で管理をすれば、年内から春まで楽しむことができるので、彩りの寂しい冬にぴったりの花材です。この時季は積極的に春咲き一年草を活用して、玄関先や窓辺などのよく目につく場所に華やぎを添えてみましょう。ひと鉢飾るだけでシーンの雰囲気はぐっと高まります。今回は、“春まで楽しめる冬の寄せ植え&シーンづくり術”を黒田さんに教えていただきました。

寄せ植えづくりに使う
道具と用土を用意する

【使う道具】
寄せ植えの道具

トレイ、土入れ、ハサミ、セロファン(ビニールや不織布でもよい)

【用土】
寄せ植え用土

培養土、鉢底土(赤玉大粒)、緩効性肥料

大人気のフリルのパンジーを主役にした
愛らしい寄せ植えづくり、スタート!

今回は、ナチュラルなバスケットにアンティークタッチのパンジー2種を主役に据えて植え込みます。あでやかでありながら、控えめでもある独特な美しさを備えたパンジーは、色みを抑えたリーフで引き立てます。

寄せ植えに使った花苗

左から、葉ボタン‘ヴィンテージベイン’、ハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’、パンジー‘ローヴ・ドゥ・アントワネット’、パンジー‘ミュシャ’。

寄せ植えの手順

フリル咲きならではのボリュームのある花同士がぶつかり合わないように、パンジーの苗は三角形を作るような位置で植え付けましょう。

  1. まずイメージする並びに仮置きをして、それぞれの広がり方や全体のバランスなどを確認する。植えてからやり直しはしないほうがいいので、必ず行う。
    苗を仮置き
  2. バスケットに敷く適当な大きさに切ったセロファンを用意。まず半分に折り、山折りになったほうを2~3㎝幅で数回折った上から、穴あけパンチで穴をあける。こうするとセロファンの中央にも穴があき、1回のパンチでたくさん穴をあけることができる。
    セロファンを用意
  3. バスケットの内側に②のセロファンを敷く。
    セロファンを敷く
  4. 排水をよくするため、大玉の赤玉土を鉢全体の1/5程度の高さまで入れる。
    赤玉土を敷く
  5. 配合した用土を、3/5程度の高さまで入れる。
    用土を入れる
  6. バスケットの内側のセロファンを土で押さえる。
    セロファンを押さえる
  7. バスケットからはみ出たセロファンをハサミでカットする。
    余分なセロファンをカット
  8. 緩効性肥料を軽くひと握り、土に混ぜる。
    肥料を混ぜる
  9. パンジーのポットから根鉢をそっと出す。
    ポットから出す
  10. 根鉢の外側が張った根で真っ白になっていたら、外側だけはがすように根を落とす。
    根を落とす
  11. 利き手とは反対側のスペースから植え始める(右利きの場合は左側から)。最初はパンジー‘ローヴ・ドゥ・アントワネット’。
    植え込み
  12. 苗を入れたら、周りから土を寄せて軽く押しながら根鉢を固定させる。
    根鉢を固定
  13. 2番目に、ハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’を左奥に入れて土を寄せる。
    ハゴロモジャスミンを植え込み
  14. 左側に植えた根の周りに土を寄せると右側部分の土が減るので、土を足す。寄せる土が足りない場合は適宜行う。
    土を足す
  15. 中央奥にパンジー‘ローヴ・ドゥ・アントワネット’を入れ、土を寄せる。
    バンジーを植え込み
  16. バスケット前面中央に、葉ボタンをやや前倒し気味にして入れる。
    ハボタンを植える
  17. 右端のスペースに最後のひと苗、パンジー‘ミュシャ’を入れる。
    ビオラを植える
  18. すべて植え終わったら鉢を軽くゆすり、土が足りていなさそうな部分に補充。ウォータースペースをとるため、鉢の縁から約1cm下がったところまで入れる。
    土を詰める
  19. 植え込みが終了!
    寄せ植えの植え込み終了
  20. 勢いよく飛び出していたハゴロモジャスミンのつるを、周りの株の間に挟むようにひっかけて収め、デザインにまとまりをもたせる。
    つるを調整

【完成!】

寄せ植え完成図

たっぷりと盛り込んだパンジーがバスケットからあふれ出そうな、ボリュームたっぷりのアレンジに仕上がりました。素朴さとあでやかさを併せ持つデザインです。パンジーはアプリコットピンクの‘ローヴ・ドゥ・アントワネット’と紫の‘ミュシャ’を合わせ、ピンク~紫の美しいグラデーションを見せています。パンジーの花色・形に呼応するように、ハボタンはワインレッドの葉脈が入りながら葉の縁が波打つタイプを合わせました。左後方に植えたハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’は、すでにつるが伸びた株を用いて、デザインに動きを出しています。

フリルのパンジーは
花が終わりかけても魅力的

一般的なパンジーの開花姿は色鮮やかでシャンとしていますが、ピークを過ぎると花弁はクシャッとして花色はあせてきます。そのままにしておくと、見苦しいばかりか種子ができてしまうので、早めに取り除くようにします。

アンティークカラーのフリル咲きタイプのパンジーは、盛りを過ぎても見苦しさはさほど気になりません。株のためには早く取り除くに越したことはありませんが、一時的にボリュームを出して楽しみたいときは、少しだけそのままおいて楽しんでもよいでしょう。

終わりかけのパンジー

矢印が終わりかけの花。どちらも分かりにくいですが、よく見るとハリやツヤがありません。

合わせる小物にもこだわって、
最高のシーンを演出!

寄せ植えのシーン演出

寄せ植えのクラシカルでドレッシーな雰囲気に合わせて、背面にはシックな黒いボードを選びました。背景のトーンを暗くすることで、アレンジのやわらかい花色をより際立たせています。小物類も花色よりも目立たないように、背景のボードの色調に似た控えめなトーンのアイテムをコーディネート。ポイントで明度の高いものを加えて、明暗のバランスを取っています。でき上がりのイメージは「不思議な森の中の舞踏会」。そんなファンタジックなストーリーをも感じさせる、表情豊かなシーンを演出しました。

一緒に飾ったアイテムをクローズアップ

一緒に飾るアイテムは、左右のボリュームに変化をつけてディスプレイしています。アレンジは向かって左側方向に少し振って置いているので、右側のディスプレイが背景の一部のような役割も持ちます。右側に飾る点数を左側より減らした分、やや大きめのアイテムを飾って安定感を出しています。

【右側】

ピンクを引き立てるシルバーリーフ
シルバーブルーが美しい、葉が広めのユーカリ・テトラゴナをボードにつなぐ寄せ植えの背景としてレイアウト。パンジーのピンクがよりかわいらしく引き立つよう、シルバーリーフを選びました。
鳥の巣をイメージした寄せ植え
バスケットのナチュラル感に合わせて、鳥の巣をイメージした寄せ植えを飾りました。中央に入れたウズラの卵が愛らしさと野趣を添えるとともに、物語性も加えています。それに対して、左側に配したアイアンのプレートの重量感が、ナチュラルなシーンをギュッと引き締めています。

【左側】

アンティーク風ディスプレイ
左側の軸となっているのが、角に配したダークな壺と、それに入れた黒い実のドライ。ダークでマットな質感の実が、ディスプレイにどことなく怪しげな雰囲気をもたらしつつ、アンティークな趣をより強めています。
クリスマスローズの葉など
奥の壺と実がマットな質感に対し、ヘレボラス・ニゲルの葉やガラス瓶で艶やかさや透明感をプラス。全体的にややトーンが暗いので、黄金葉のカルーナ・ブルガリスで明るさを加えました。さらに素焼き鉢でほんのりと、ぬくもりを感じさせています。

【背景】

寄せ植えを引き立てている背景の黒いボードは、黒田さんの手づくり。90×60㎝のベニア板の隅を囲むように、1×4の材を付け、その内側にモール材をボンドで接着。その後、ツヤ消しの水性塗料(ブラック)を塗布し、最後にヤスリで表面を軽く削って使い込んだ雰囲気に仕上げています。後ろからアイビーなどのツルをあしらって、明るさと艶やかさを加えました。

アイビーやハゴロモジャスミン
アイビーやハゴロモジャスミンの2種類をバランスよく配置。

健太郎さんの
寄せ植えをつくる時の
最重要ポイント、ひとことアドバイス

今回は、合わせる花選びのポイントが2つ

  1. 冬なので、耐寒性があって休まず咲く花を使うこと。
  2. 寄せ植えを長期間楽しむので、植物の成長スピードの違いで寄せ植え全体の姿が乱れないように、花は同じ種類のものだけを合わせて作るとよい。

【SHOP DATA】

Flora Kuroda Engei
埼玉県さいたま市中央区円阿弥1-3-9
TEL/Fax:048-853-4547
http://florakurodaengei.com/

営業時間:9:00~18:30

併せて読みたい

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Credit

フローラ黒田園芸・黒田健太郎
多くのガーデナーから絶大なる支持を受けている「フローラ黒田園芸」のスタッフ。抜群のセンスを盛り込んだ美しい寄せ植えやショップコーディネートが大人気。全国からファンがショップに訪れる。著書に『ハンギングを楽しむ寄せ植えノート』、『365日寄せ植えスタイル』『Yoseue Plants 寄せ植えに使いたい12ヶ月の草花』、『健太郎のGarden Book』『素敵に飾る小さな庭』など多数。

取材文&撮影/井上園子

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