「ハボタン(フラワーケール)の育て方」〜タキイ種苗園芸部 山田さんの園芸あるある教室vol.2
全国で園芸講習会を開催し、園芸文化の広がりに寄与しているタキイ種苗の山田真司さんが、教室でよく質問される園芸に関する疑問などに答えてくれるこのコーナー。第2回は、冬から早春までを彩り、鉢植えや花壇のほか、寄せ植え、さらにアレンジメントにしても楽しめる「ハボタン(フラワーケール)」の育て方などをご紹介します。
目次
意外!? 和にも洋にも楽しめる「ハボタン(フラワーケール)」
11月も終わりに差しかかり、秋らしい気持ちのよい気候が続いて、秋の園芸商品も人気です。店頭では、パンジーやビオラ、ガーデンシクラメン、ポインセチアが、カラフルに彩っています。
街中では、クリスマスのメロディー♪が流れるシーズン真っ只中ですね。
今回取り上げるのは、キャベツと同じアブラナ科の植物で、幾重にも重なる葉が年内から色づき始める「ハボタン(フラワーケール)」です。クリスマスやお正月の雰囲気を演出するのにも活用できる種類があります。
まずは、ハボタンの良い点、悪い点をご紹介しましょう。
●ハボタンの良い点
・寒い冬から早春の期間楽しめる。寒さに強い!
・花壇、鉢植え、切り花と用途が広い
・和の雰囲気でお正月用花材としても重宝
・紅白の葉花が縁起がよいとされる
●ハボタンの悪い点
・楽しめる期間が短い
・早春暖かくなると抽苔(花が上がる)が始まり、恰好が崩れる。いわゆる“菜の花状態”になる
・葉色数が少ない
・「ハボタン(葉牡丹)」という名前が地味な印象
なお、タキイ種苗では、若い人たちにも親しんでいただくため、ハボタンを「フラワーケール」と呼んでPRしています。
ハボタン(フラワーケール)についてよく聞かれる質問にお答えします
ここからは、皆さまからよく受けるハボタンについての質問と、その回答をご紹介しましょう。
■あるある質問1:ハボタンを植えるのはいつ頃?
11月以降でよいでしょう。
関東以西では温暖化の影響もあって、秋のうちは葉色のノリが悪いでしょう。ハボタンの中心部、従来品種でいうなら、白色や紅色、桃色の部分の色づきが不足し、緑のままになります。これは店頭でも見られる症状です。
気温が下がってくると、色も通常に戻りますので、これからの植え付けがオススメです。
■あるある質問2:ハボタンを買ったらどうする?
ポット苗の場合、ハボタンの根を傷めないように定植(庭やプランターへ植え付けること)を行いましょう。このとき、ポット上部、肩部分の不要な土は取り除きます。
葉色が薄くなってしまったときは、追肥を与えましょう。
■あるある質問3:タネ播きはいつ頃するの?
関東以西では、7月20日頃から8月上旬がタネ播きに適した時期です。
とても暑い時期なので、暑さに注意しながら管理しましょう。日よけ対策も必要です。
なお、店で販売されているハボタンは、東北や長野をはじめ、標高の高い場所など、夏場でも涼しい地域で生産・管理された苗が多いでしょう。
■あるある質問4:ハボタンの楽しみ方は?
ハボタンの苗は、主にポット苗で流通している場合がほとんどです。そのまま植え付けてもいいですし、他の花とあわせて寄せ植えにするのもオススメです。
余談ですが、10月に仕事で北海道に行ったときのこと。既に紅葉は終わり、ハボタンの販売時期のピークも過ぎていました。一方で10月下旬からは九州を回りましたが、そこでは、ハボタンの販売は11月中旬ごろからがメインとのこと。やはり南は秋でも暖かいですねぇ~。そのころ、関東地区ではハボタンの販売はスタートしていました。
北から南へと、またその逆にも、植物の旬が地域の気候によって移りゆくのも、日本の魅力のひとつだと実感しました。
見応えがある超大株のハボタン
ハボタンは、約20~30年前には、お正月用の花材として超大株苗が販売されていたこともありました。現在も一部で販売されていますが、苗を作る生産者さんが非常に少なくなり、とってもレアな商品で、関西以西の専門店では稀に販売されています。超大株ハボタンを見つけたらラッキーです!
我が家では昔、家の玄関に松竹梅と一緒に飾っていました。
山田さんのイチ押し品種をご紹介!
これからのシーズンは、ぜひハボタンを寄せ植え植物としてお楽しみください。緑の葉と合うシックな色目が人気です。
見た目でも元気をくれるイチ押し品種をピックアップ!
ポット苗限定販売です。
以下の新色も発売しました!
切花用として花屋さんで販売されています。
これからの時期は、クリスマスやお正月を意識しながら、イメージするシーンによって、花色や葉色を選んでください。
鉢植えや寄せ植えに限らず、庭植え、切り花など、さまざまなパターンで楽しませてくれて、寒い冬に彩りを添えてくれるハボタン、ぜひ育ててみてくださいね。
併せて読みたい
・ビオラの育て方〜タキイ種苗 山田さんの園芸あるある教室vol.1
・カラーリーフ「葉牡丹(ハボタン)」は冬の寄植えの大切なワンポイント、特徴的な5種類を紹介!
・クリスマスやお正月にもぴったり! 冬こそ楽しめるおしゃれなリースの寄せ植え
Credit
写真&文/山田 真司(やまだ しんじ)
京都市下京区にてタキイ種苗株式会社園芸部に勤務。北海道から沖縄まで日本全国の園芸専門店を回っています。「めっちゃ楽しい」をキーワードに、各地で明るく楽しい講習会も開催中。
◆タキイ種苗ホームページ
http://www.takii.co.jp/
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