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夏は庭の端境期(はざかいき)! 美しく保ち続ける庭づくりのコツ

夏は庭の端境期(はざかいき)! 美しく保ち続ける庭づくりのコツ

春から初夏にかけての庭は、たくさんの花が咲き揃い、一年で最も華やかな季節です。問題はその後。高温多湿の日本の夏の気候は人にも厳しいものですが、日陰へ動くことのできない植物にとってはさらに過酷です。花数が減ったり、茎が倒れてしまったり、植物が弱りがちな季節にも庭を美しく保つ方法をご紹介します。

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7月以降の庭を美しく保つアイデアとは?

春から初夏にかけて、庭は暖かさとともに花色が増していきます。まず花壇を彩るのはチューリップやスイセン、ヒヤシンスなど春の球根花。その周りではビオラやパンジー、ワスレナグサ、スイートアリッサムなどの一年草が勢いを増して成長し、こんもりとした花の茂みをつくります。それが花壇からあふれ出んばかりになる頃には、いよいよ花の女王、バラの登場です。バラの開花期にはピオニーやクレマチスなど、さまざまな花が見頃を迎え、花の間をチョウやミツバチが蜜を求めて飛び交い、庭は一年で最も美しいときを迎えます。

写真は2017年の「国際バラとガーデニングショウ」のウェルカムガーデン。ガーデンデザイナーのマーク・チャップマンさんがデザイン。庭の最盛期はショウガーデンでなくても、こんな風に花があふれます。

さて問題はこの後、花が終わり、気候は植物にとってどんどん厳しくなっていく7月以降。暑いし、日焼けは気になるし、蚊はいるし、雑草はいくら取っても生えてくるし……。庭から足が遠のく理由も増え、荒れがちになります。真夏のガーデンを美しく保つためには、どうすれば良いのでしょうか。

マークさんが手がけた小さな庭のデザインアイデア

東京都・調布市のS邸の庭は、真夏も植物が生き生きと精彩を放ち、美しく整えられています。庭は住宅の東西を囲うL字型で、公道に面したオープンなつくりです。犬との散歩途中や日傘をさしての買い物帰りなど、多くの人が足をとめて楽しんでいきます。

この庭は以前、常緑の生垣で覆われ、草花を育てるスペースがほとんどありませんでした。植物が大好きだったSさんは、四季折々の草花を育てて楽しめる庭にしたいと、ガーデンデザイナーのマーク・チャップマンさんに庭のリフォームを依頼。既存の生垣は取り払われ、東側には大小のコンテナを組み合わせたコンテナガーデンが生まれました。

端境期にも美しい庭を保つ秘訣は「葉もの」

この庭は、植栽のベースを花ではなく、葉の美しい植物のバリエーションで構成しています。大きな葉、小さな葉、丸い葉、長細い葉、ギザギザの葉、斑入りの葉、濃い緑の葉、ライムグリーンの葉、チョコレート色の葉……。緑のグラデーションが美しく、暑い夏にはみずみずしさが際立ちます。花は季節ごとに種類を変えながら、色を添える程度にとどめていますが、葉の組み合わせだけで十分変化に富んだ豊かな風景になっています。植物を選ぶときには、つい花の顔だけを見て選びがちですが、開花期間は1カ月あるかどうかというものも少なくありません。一方、葉ものは花よりずっと長く、緑を庭に提供してくれます。ですから、植栽の構成は葉ものを中心に考えると、端境期にも美しい庭を保つことができます。

S邸の西側の庭はレンガを積んだ壁兼コンテナ。構造については別のページ【狭い庭のガーデニングは、鉢やレンガでオシャレに!DIYアイデア】で紹介しているので、そちらも参照してください。西側はリビングの目隠しとして、やはり緑が美しいグラデーションとなるよう、さまざまな樹木が植えられています。

ヒューケラが大好きというSさん。庭の随所に鉢植えを置いて楽しんでいます。葉の美しい植物を総称して「カラーリーフプランツ」と呼びますが、ヒューケラはその代表的な植物です。シルバーがかった緑やキャラメル色、黒色、赤紫色、ライムイエローなど豊かな葉色のバリエーションがあります。5〜6月頃には細い花茎を葉の中央から立ち上げて、小さなかわいらしい花を咲かせます。

葉で組み合わせる際、色だけでなくフォルムの違いにも気を配ると風景に立体感が生まれます。左の写真はユーフォルビアを中心にした寄せ植え。赤紫っぽい茎をヒューっと伸ばした先に花火が開いたような花後の姿も面白い植物です。株元のピンクの花はマツムシソウ。右の写真の鋭い葉はニューサイラン。葉の縁に白っぽい斑が入る品種です。ユーフォルビアもニューサイランも、大きさやカラーバリエーションがとても豊富なカラーリーフプランツです。

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