イチジクを鉢植えで育てよう! よく実る美味しいホームフルーツ

Ekaterina/Shutterstock.com
イチジクは家庭の庭で育てやすい代表的なホームフルーツ(家庭果樹)の一つです。イチジクは鉢植えで1株だけでも果実を実らせることができるので、ベランダなどスペースの限られた場所でも果樹栽培を気軽に楽しむことができます。また、イチジクは植えつけから収穫までの期間が他の果樹と比べて短いのも魅力。そしてなんといっても栽培の醍醐味は、樹上で完熟させた果実のとろけるような味わいです。どんな味か気になる人は、ぜひ育ててみてくださいね。秋が苗木の植えどきですよ。
目次
イチジクを育てやすい栽培環境とは?

イチジク(いちじく)はクワ科イチジク属の落葉樹です。観葉植物のウンベラータなど、フィカス類と同じ仲間で、亜熱帯原産なので耐寒性はやや弱い傾向にあります。品種によって温度は多少変わりますが、-9℃が最低生育温度で、1月の平均気温が3℃以上ある場所が栽培適地とされています。ただし、イチジクは鉢栽培も可能なので、冬に室内へ移動するなど寒さ対策をすれば寒冷地でも十分育てられます。基本的に日向で育てますが、真夏は直射日光を避けた半日陰が適しています。
受粉樹が必要なく1本だけで実るイチジク
果樹は受粉のために2本以上を植栽する必要があるものが多くあります。リンゴやナシ、キウイなどがそうした果樹で、1本だけでは実らない性質を「自家不和合性(じかふわごうせい)」といいます。一方、イチジクは「自家結実性(じかけつじつせい)」といい、1本で実がなるので小さな庭やベランダなど、限られたスペースでも果樹栽培が楽しめます。
イチジクのおいしい品種いろいろ

イチジクには初夏から盛夏に実る「夏果」と、晩夏から秋にかけて実る「秋果」があり、それぞれに専用品種があります。夏果は前年に伸びた枝に秋までに花芽ができ、それが冬を越して夏に果実を実らせます。そのため寒さを経験しながらじっくり育つため、夏果は特に甘いとされていますが、青果店などでの流通はあまり多くありません。一方、秋果は春から伸びた枝に花芽がつき、その年の秋に果実ができます。これらの夏・秋両方の果実ができる兼用品種もあります。
イチジクの主な品種
‘桝井ドーフィン’
日本で最も栽培されている品種で、木がコンパクトにまとまり育てやすい。果実が大きく収穫量も多い。夏秋兼用品種。
‘日本種(蓬莱柿・ほうらいし)’
耐寒性があり樹勢が強い。秋果専用品種。
‘ビオレ・ドーフィン’
甘みが強く、熟しても裂果しない。夏果専用品種。
‘ザ・キング’
収穫量が多く、果肉がなめらかできめ細かい。ドライにもよく利用される。夏果専用品種。
このほか、以下のページでもさまざまな品種と苗木の入手先を紹介しているのでご参考にしてください。
『完熟果実を味わえる贅沢が待っている! イチジクを育てよう』
イチジクの地植え<植え付け手順>
用意するもの/苗木、A(堆肥、苦土石灰、熔成リン肥)、癒合剤、支柱、ヒモ
- 植え付ける前の1カ月〜2週間前までに土づくりをしておきます。幅・高さともに50㎝ほどの植え穴を掘り、掘り上げた土にAの資材を規定量混ぜて埋め戻しておきます。
- 苗木をポットから出します。根が回っている場合には根を切って刺激を与えると生育がよくなります。
- 植え穴に苗を入れ、土をかぶせ、地際から高さ50㎝のところで主軸の先端を剪定し、切り口に癒合剤を塗ります。
- 支柱を斜めに土にしっかり差し込み、主軸とクロスする点で固定します。
- 株元にたっぷり水をあげて作業完了。その後は極度に乾燥するようなら水やりをしますが、地植えでは基本的に水やりはしなくてOK。

苗木の植え付けは秋から厳寒期を除く、3月までです。園芸店や通販などで5号ほどのポット苗が流通しているので入手しましょう。
イチジクの鉢植え<植え付け手順>

用意するもの/苗木、8号以上の鉢、A(果樹専用培養土7:赤玉土2:川砂1+苦土石灰1握り)、油かす主体固形肥料、癒合剤
- 鉢にAを混ぜて入れ、苗木を植え付けたら地際から高さ20〜30㎝のところで主軸の先端を剪定し、癒合剤を塗ります。
株元に油かすを規定量施し、水をたっぷり与えたら完了。
イチジクの植え付け後の管理&剪定による仕立て方

- 水やり/鉢植えでは表土が完全に乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水を与えます。イチジクは葉が大きく、蒸散量が多いので特に夏場は水切れにならないように注意します。
- 1年目の初夏/5月上旬に側枝3本を残して、残りの側枝は先端を剪定。
- 1年目の冬/すべての側枝が20㎝ほどの長さになるよう剪定。
2年目以降の初夏

- 5月初旬には込み合って重なり合う枝を剪定します。花芽がついているので、切りすぎないように注意します。
- 収穫/夏から秋にかけて収穫期です。
- 施肥/果樹用の肥料を果実が実る前と収穫後に株元に規定量施します。
2年目以降の冬

- 夏果品種も秋果品種も枝が重なり合って込み合った場所は基部から剪定して枝を間引きます。
- 夏果専用品種の場合、秋以降にはすでに夏果の花芽ができているので、全部の枝を剪定すると実りが少なくなってしまいますから、長い枝のみ20㎝ほどの長さになるよう剪定し、コンパクトなサイズに仕立てます。
- 秋果専用品種の場合、長い枝は2〜3芽残して剪定します。

収穫したイチジクを楽しむ方法は『イチジクは秋が旬! 簡単アレンジでごちそうにするイチジクレシピ5』でご紹介しています。
Credit
文&イラスト / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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