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四季咲きバラの夏剪定のタイミング到来! 【樹高が高くなる】四季咲きバラ編

四季咲きバラの夏剪定のタイミング到来! 【樹高が高くなる】四季咲きバラ編

四季咲き性のバラの大きな楽しみは、爽やかな秋風の中で咲く花。秋のバラは初夏のバラとはまた違った魅力があります。そんな秋のバラのシーズンを迎える前に今行いたい「バラの夏剪定」についてご紹介します。8月下旬~9月上旬頃が適期の樹高が高くなるバラの夏剪定について、バラの専門家、河合伸志さんが詳しく解説します。

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四季咲き性のバラの夏剪定とは

バラ(薔薇)の夏剪定とは、文字通り晩夏に行う剪定のこと。四季咲き性のバラは秋にも開花しますが、順調に生育した株は、品種によっては夏の終わりには樹高が高くなりすぎたり、株姿が乱れたりしている場合があり、8月下旬~9月上旬頃に夏剪定を行うことで、より美しい咲き姿に整えたり、開花を調整することができます。夏の剪定は日本だけで行われているもので、バラの生育期間が短い欧米では、さほど株が大きくなりすぎることもないので、この作業を行うことはありません。

四季咲き性のバラの夏剪定の目的は主に以下の3つです。

  1. 樹高が高すぎる株や株姿が乱れたものなどを、コンパクトにまとまりよく仕立て直すこと
  2. 晩夏になると、1株内で、花が咲き終わった枝や伸び始めた新芽など、枝ごとの生育ステージが異なります。これらを一度リセットし、株内での開花を揃えること
  3. バラ園などでは、秋のバラ祭りなどに合わせて、花の咲く時期をコントロールして、早咲きも遅咲きも一緒に咲かせること(バラ祭りを開催しない一般家庭には当てはまりにくい)

ここで押さえておきたいポイントが、四季咲きのバラは夏剪定をしなくても秋バラを咲かせるということ。株姿を整えたり、咲く時期を揃えたりということを気にしなければ、夏剪定は、決して必須の作業ではありません。個人でバラを栽培している場合は特に、花が一斉に咲くよりも、時期をずらして少しずつ咲いてくれたほうがよい時もあります。

また、剪定は株にハサミを入れ、葉の数を減らしてしまうので、どうしてもバラに負担がかかります。切りすぎるくらいなら、剪定をしないほうがバラにとってはずっとプラス。特に、病害虫などの被害に遭って、葉の数を減らしているような調子の悪い株の場合は、夏剪定は大きなダメージになりかねません。自分の育てている品種や、株の状況、咲かせたい理想像に合わせて、夏剪定を行うかを決めましょう。

フロリバンダ・ローズ‘禅’の秋バラが一斉に開花した2017年11月上旬の横浜イングリッシュガーデン。撮影/桜野良充

夏剪定によって花期をある程度コントロールできるのは、気温によって開花時期が決まる完全な四季咲き性のブッシュ・ローズ(木立性バラ)です。シュラブ・ローズ(半つる性のバラ)にも四季咲きとされているものがありますが、気温以外の日長などの要因にも左右されやすく、開花時期を思うようにコントロールするのは難しいといえます。また一部のシュラブ・ローズは、そもそも秋に咲かないものもあるので、秋バラを咲かせる目的での夏剪定は必要ありません。

今回は、樹高が高くなる、高性種で四季咲きのブッシュ・ローズを剪定する方法を解説します。

コンパクトに生育する四季咲きのブッシュ・ローズの剪定方法は、『 四季咲きバラの夏剪定を解説 コンパクトに生育するバラ編』で解説します。

樹高が高くなるブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)の夏剪定

剪定前(8月下旬)の‘パパ・メイアン’。樹高は2mほどと、背丈を超すほどに枝が伸びている。

背が高くなる高性品種のバラの場合、夏剪定の主な目的は2つ。夏の間に伸びた枝を切って生育をコンパクトに抑え、花を観賞しやすい位置で咲かせるためと、株内での開花を揃えるためです。

ここでは ‘パパ・メイアン’を例に、背が高くなるバラの夏剪定の方法を解説します。

四季咲き性で香りのよいブッシュ・ローズの‘パパ・メイアン’。Photo/Gurcharan Singh/Shutterstock.com

夏剪定前のワンポイント!

夏剪定をする際には、剪定の7~10日前に、追肥として速効性の肥料を施しておきましょう。肥料が不足していると、剪定をした後に順調に新芽が吹かず、結果として花が咲かないこともあります。肥料は袋に表示されている既定の量を与えます。ここでは、住友化学園芸の「マイローズばらの肥料」を使用しました。

バラの夏剪定の方法

まず、剪定するバラの枝を確認し、剪定する位置を確認します。順調に生育したバラの場合、一番花、二番花、三番花…と、繰り返し花を咲かせていて、晩夏には概ね三番花(3段目)が咲き終わった状態から4段目の芽が伸び始めた状態になっています。

樹高が高いバラの切る位置は、2段目、つまり二番花をつけた枝の真ん中から上部を基本とします。しかし、バラの生育状況に応じて剪定位置を調整する必要があり、黒星病などの病害で下葉が少ないようであれば、葉を多く残すために2段目より上方で切るようにします。樹高が高いバラは、より強く枝を切ることで高さを低くできるため、ついつい切り過ぎてしまいがちですが、そうすることによって葉の枚数が減ると、株は光合成の能力が落ちるため、結果として剪定後に芽吹かなかったり花が咲かなくなってしまうことがあります。剪定可能な下限は、2段目の真ん中だと考えてください。なお、高い場所から見下ろしてバラを観賞したいなど特殊な事例の場合は、3~4段目で切った方が株へのダメージが少なく、その後の花も多く楽しむことができます。

樹高が高くなりやすいバラ、品種例

ここで剪定を行った‘パパ・メイアン’のほかにも、よく枝が伸長し、樹高が高くなりやすいブッシュ・ローズがあります。以下に背が高くなりやすい品種の例を紹介します。

‘スイート・アフトン’
淡い桃色の丸弁高芯咲き品種。フルーティーな香りがあり、花つきがよい。極めて背が高い品種の一つで、夏剪定をしても秋には樹高2m近くにまで生育する。

‘アストリット・グレーフィン・フォン・ハルデンベルグ’
深い赤紫色の花はロゼット咲きで、ボリュームのある花姿。ダマスク系の強い香りがある。ややシュラブの性質を持ち合わせているのか、秋には樹高が2m近くにまでなる。

‘ザ・マッカートニー・ローズ’
歌手のポール・マッカートニー氏に捧げられたバラで、ローズピンクの花弁が半剣弁平咲きになり、花つきがよい。黒星病に強く、初心者でも育てやすい品種だが、株は大ぶりで強い横張りのため、夏剪定で株姿を整えるとよい。

‘クリスチャン・ディオール’
老舗ブランドの名を冠したバラで、かつての赤バラの代表品種。長く伸びた花茎の先に、明るい赤色の花を咲かせる。花弁数が多く、ボリュームのある花姿の剣弁高芯咲き。夏剪定で強く切り過ぎると、力を失いよい花が咲かないことがある。

‘クイーン・エリザベス’
丸弁のピンク色の中輪花を多数咲かせる。殿堂入りをした銘花で、性質は強健で、悪条件にも耐えて生き残る。初心者でも育てやすく、各所で手入れをあまりされていない状態でも生き残っている。

‘ブルー・ムーン’
美しいラベンダー色で、強いブルー・ローズの香りがある。枝はトゲが少なく高く伸びる。もともと芽吹きが悪い性質があり、さらに黒星病で葉を落としやすいので、夏剪定をする場合は葉数を維持するように、慎重に作業をしたほうがよい。

高性種のバラを栽培している場合、必要に応じて夏剪定を行うことで、樹高を抑えて株姿を整え、背が高くなりすぎるのを防ぐことができます。株の状態に合わせて夏剪定を取り入れましょう。

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