小さな花壇で夏から秋を彩るカラーリーフ5選

梅雨が明けると本格的な夏の到来。暑さに強くても連日の猛暑では、草花も花つきが悪くなるのに加えて、日々のお手入れも水やりに追われて花がら摘みにたどりつけないことも。夏~秋の庭では、花以上に観賞期間が長くカラフルに彩るカラーリーフがオススメです。アドバイザーは、愛知・豊田市で一年中、花が絶えないガーデンをつくる「花遊庭」のガーデナー、天野麻里絵さん。小さな花壇づくりの基本と、5つのオススメ植物をピックアップしてご紹介します。
目次
夏ならではのカラーリーフを味方につけよう

夏というと、ガーデンで楽しめる植物も少なくなるイメージがありますが、気温があるこの季節だからこそ楽しめる熱帯性の植物を取り入れれば、夏らしさも加わって、庭が一気に華やぎます。耐暑性が強く夏も旺盛に成長するので、整姿を兼ねたピンチを繰り返すことで枝数が増してボリューム感ある姿に。秋には日中と朝夕との温度差で、発色のよい美しい姿を楽しむことができます。耐寒性はないため、屋外で楽しめるのは秋までになりますが、季節感がアップし、ローメンテナンスにもつながります。
カラーリーフは草姿を生かして選ぼう

さまざまな草花との組み合わせで楽しむことが多い花壇。カラーリーフというと、色とりどりの葉色に目が行きますが、ガーデンで楽しむには、色以上に姿をよく知っていることが大切。同じ草姿のものを隣り合わせると、広がりやすいものほど互いが重なって日光のうばい合いや混み合い、徒長の原因にも。長く楽しむうえでも、草姿の違うものを合わせることを意識しましょう。草姿を生かすことでメリハリもアップして、全体の美しさにもつながります。
① 地面を覆うように広がる細かな茎葉で足元をカバー
トレニア・コンカラー

細かな茎葉を這うように広げるタイプは、密に地面を覆って小さなスペースをカバーするのに最適です。緩やかな傾斜の土留めにも活躍します。

ライムリーフが色鮮やかなトレニア・コンカラー。ブルーの花とのコントラストで1株でも華やかな印象を与えます。半日陰でも楽しめるトレニア・コンカラーのライムリーフが、暗くなりがちな半日陰を明るい印象にもしてくれます。

葉の大きなギボウシ、ヒューケラの間に、細かな葉のトレニアが株元をカバーするように。明るいグリーンの中で、ライムイエローのトレニアの葉色が一層明るく彩ります。
② 分枝し適度なボリューム感を与えて周りを引き立てる
アルテルナンテラ・デンタータ‘レッドフラッシュ’

立ち上がりながらよく枝分かれするので、適度なボリューム感をプラスできます。ほどよい大きさの葉で、リーフの色もしっかり楽しめます。

斑入り模様のある銅葉が美しい、センニチコウの仲間です。日が短くなる秋になると、丸い白花を咲かせます。落ち着いた葉色で、全体の引き締め役に。晩秋に開花するので、ピンチは9月上旬頃までに。

斑入りハイビスカスと合わせて、赤葉にグラデーションの幅を広げてくれます。低木は、斑入り葉のきれいなロニセラ‘レモンビューティ’と銅葉のメギ。どちらも小葉で、色と形の違いを出してリーフだけでもカラフルに。
③ 丸い葉は茂ると色や形が印象的になり、シーンのポイントに
ヘミグラフィス・アルテルナータ

特徴ある葉色のリーフは、葉のサイズが大きいほどしっかりと葉色が楽しめ、印象的なシーンを演出します。丸い葉はボリューム感があって見応えもあります。

艶のあるメタリックな葉色が魅力。日に当たると赤が強く出て、半日陰ではシルバーがかります。英名ではレッドアイビーとも呼ばれています。這って広がるので、グラウンドカバーに。伸びもよいですが、切り戻せばサイズを調整できます。高さのある花壇やコンテナでは、枝垂れる姿も楽しめます。

黒みがかった葉に、紫花のプレクトランサス‘モナ・ラベンダー’で、シルバーがかった葉色を調和させています。ヒューケラのライムリーフや葉の大きなギボウシでコントラストを効かせてすっきりと。
④ すらりと立ち上がり、風にそよぐ姿が庭に動きをプラス
ぺニセタム‘チェリースパークラー’

すらりと伸びるグラスは風にそよぐ姿が涼しげで、庭に動きも与えてくれます。こんもりと茂る草姿の中に加えると変化づけになります。

斑の部分が赤く色づき、夏から秋にかけて、赤紫の長い花穂が楽しめます。銅葉のパープルファウンテングラス(ペニセタム・セタケウム‘ルブラム’)に比べて、斑入りの明るい葉で花穂が一層くっきりと見えます。

銅葉でこんもりと茂るベゴニア‘ダブレット’に、すらりと伸びる斑入り葉のペニセタム‘チェリースパークラー’で動きをプラス。植え込む植物の種類を絞ると、個々の植物の花や葉の色や形、フォルムが強調されて、しっかり個性を楽しめます。

⑤ コンパクトでこんもりまとまるので狭いスペースに
小型タイプのコリウス


こんもりとドーム状に茂るタイプは、よく枝分かれして形よくまとまりやすいので、小さなスペースにもぴったり。植物同士の株元の隙間をカバーするのにも活躍します。

コリウスには、カラフルで生育旺盛な大型タイプが多いのですが、まとまりがよいコンパクトなタイプもあります。小葉で葉色もカラフルなので、葉色を生かして花壇手前のワンポイント使いにオススメ。

赤花のベゴニアに、ライムイエローの小葉のコリウスですっきりと。手前のライムイエローのリーフで、庭全体が一層明るい印象になります。

Information
「ガーデニングミュージアム 花遊庭」
所在地:愛知県豊田市大林町1丁目3番地3
☎0565-24-7600 http://www.kayutei.co.jp
アクセス:名鉄三河線「土橋駅」から車で3分
Open:10:00〜17:00(3~6月・9~12月無休/1・2・7・8月は火曜定休)
入園料:4~6月、10月 400円
11~3月、7~9月 300円
Credit
写真&文 / 天野麻里絵 - 「ガーデニングミュージアム 花遊庭」ヘッドガーデナー -

あまの・まりえ/1,300坪の敷地に28のテーマガーデンが一度に巡れる「ガーデニングミュージアム 花遊庭」のヘッドガーデナーとして、庭づくり、植栽メンテナンスを手がける。NHK『趣味の園芸』の講師や各地のガーデンでの講演会などでも活躍。『NHK趣味の園芸 4つの役割が決め手! 宿根草でつくる自分好みの庭』(NHK出版)など著書も多数。
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