初夏のすっきりと晴れた日は、からりとした気候で気温もさほど高くなく、人間にとっては過ごしやすい快適な季節ですよね。でも、実はこの季節、バラは暑い夏よりも水切れしやすい要注意な時期でもあるのです。4月頃から花咲く初夏にかけて、水やり時に注意すべきポイントをご紹介します。
目次
夏でなくても注意したい水切れ
「水切れ」というと、気温が高くて水分がすぐに蒸発してしまう夏が思い浮かびますが、実は春から初夏にかけても非常に水切れしやすい季節です。「気温はさほど高くないのに、どうして?」と思う人もいるかもしれません。その理由は、この季節が多くの植物の成長期に当たるため。バラは4月頃から花が咲く初夏の頃までが、勢いよく枝葉を伸ばし、つぼみをつける成長期です。成長期にはぐんぐんと水を吸い上げて株が成長するため、鉢植えで育てている植物の場合は、油断するとアッという間に鉢の中の水がなくなってしまうのです。
夏に土が乾くのは、植物が水分を吸っているからというよりは、気温によって蒸発しているためなので、実は4月から花が咲く頃までほどは、水を必要としていないのです。
また、冬から春にかけては必要な水分量の変化が大きいこと、また、真夏でないからと油断してしまいがちな心情も、この季節に水切れしやすい理由です。植物のほとんどが冬は成長が鈍く、蒸発もしないため、水をさほど必要としません。バラなどは、根鉢ごとビニール袋で覆ってしまえば、長ければ1カ月間水やりしなくても大丈夫なほど。そんな冬の水やり感覚のまま、植物の成長期を迎えてしまうと、必要な量の水を十分に与えることができず、水不足に陥りがちなのです。特に、自動灌水機を利用している人は、季節の変わり目には水やり設定を見直すようにしましょう。
この時期の水切れは、バラにとって非常に大きなダメージを与えます。軽い水切れ程度ならたっぷりと水をやれば、さほど心配することもありませんが、何度も繰り返して水切れしたり、ひどい水切れに陥ったりすると、花が小さくなるなどバラの生育や開花に大きく影響してしまいます。せっかくの開花を楽しむためにも、水切れに注意してこまめにチェックするようにしましょう。
水切れのサインをチェック
成長期の水不足を防ぐためには、バラの示す水切れのサインを見逃さないことが大切です。水切れしているかどうかを見分けるには、土の表面が乾いていないかを確認するだけでなく、葉や新芽を観察することも有効です。水が不足している状態の写真を見ながら、バラの示す水不足のサインを確認しておきましょう。
軽度の水不足サイン
まず水不足のサインが表れるのは葉。上写真のように、葉が少ししおれたように波打っているのが、水やりが必要なサインです。このサインを確認したら、たっぷりと水をやりましょう。
やや水切れが進んでいるサイン
さらに水切れが進むと、新芽の先がうなだれるようにしおれてきます。先ほどの状態よりも水が不足しているので、できればこの状態になる前に水やりを。新芽の先がしおれているのを発見したら、すぐにたっぷりと水を与えましょう。
大至急水やりが必要! のサイン
この写真のように、枝先がクッタリとしおれているようなら、大至急水やりが必要です。鉢を持ってみると、土に水分がないため軽くなっているのが分かるはず。ここまで水切れが進んでしまうと、生育への影響は避けられません。こまめにバラの状態を確認し、水切れを防ぎましょう。
上記のような水切れのサインが出ているのに、土の表面を触ると湿っている場合は、水切れではなく火照った状態の可能性があります。植え替えの際に、土と根の間に隙間があると火照りやすくなります。「水切れかな?」と思ってすぐに水を与えてしまいがちですが、土は水分を持っているのに、さらに水やりを続けることになるので、根腐れを起こしてしまいます。株が火照っている時は、株元に水を与えるのではなく、葉水(葉にシャワーの水をかける)をすることで株がしゃっきりします。
このように、初夏は真夏に比べても水切れを起こしやすい季節です。水不足を引き起こさないよう、鉢植えで育てているバラの状態をこまめに確認しましょう。大きく成長した株に対して、鉢が小さすぎる場合も水切れしやすい原因になります。店頭に並んでいる鉢植えのバラは、持ち帰りを考えて小さな鉢に植えられていることが多いので、バラの苗を購入した時は、植え付けを忘れずに行ってください。
水切れしてしまった時のために、『夏の庭でありがちなガーデニングの失敗「水切れ」応急処置法』の記事もご参考にご覧ください。
Credit
写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
新着記事
-
ガーデン&ショップ
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」1年の取り組み
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテスト「東京パークガーデンアワード」。第2回のコンテストは、都立神代植物公園(調布市深大寺)が舞台となり、2023年12月からコンテストガーデンが一般公開され、日…
-
園芸用品
【冬のうちに庭の悩みを一挙解決】生育、花つき、実つきを変える土壌資材とは⁈PR
庭づくりで最も多い「花が咲かない」、「実がつかない」といった生育不良。花であふれる景色や収穫を夢見て、時間をかけ、愛情もかけて手入れをしているのに、それが叶わないときは本当にガッカリするもの。でも大…
-
植物の効能
冬はこれでポカポカ! 自家製チリオイルで食べる、生姜たっぷり餃子
冬の到来と共に身体をあたためてくれる物が食べたくなりますね。温まる食材の代名詞と言えば「唐辛子」と「生姜」。香りが良く薬味としても大活躍で、薬効もある身体に嬉しいスパイスです。今回は採りたてのフレッ…