目にも涼しいインテリアアイテムの苔玉。みずみずしい姿と小さなスペースにも置ける可愛らしいサイズ感で根強い人気があります。今回の記事では、観葉植物を使った苔玉の作り方を、ガーデンプロデューサーの遠藤昭さんがご紹介。小さな苔玉1つで、お部屋がフレッシュな緑の潤い空間に変身します。
目次
初心者向け! 観葉植物で苔玉を作ってみよう
外出はちょっと避けたいこの時期は、涼しい部屋でフレッシュな緑を楽しめる苔玉作りにチャレンジしてみませんか? 手のひらに乗るくらいの可愛いサイズ感なので、場所を選ばないのも魅力です。
苔玉の作り方はいろいろありますが、今回は初心者向けに、室内のテーブルでもできる方法をご紹介します。苔玉に使うのは、2種の観葉植物。観葉植物は室内でも育てやすく入手もしやすいので、苔玉作りにおすすめです。上の写真はこの方法で実際に作った苔玉で、製作から約2カ月経ったもの。
観葉植物で作る苔玉の材料
【材 料】
苔玉
- 小ぶりの観葉植物の苗(今回はネフロレピスとシマトネリコ)
- ハイゴケ 1シート
- ケト土
- 赤玉土
- マグァンプK
- ハイゴケ
- 苔玉用糸(今回は「華の糸」)
- 皿
- 水
使用する道具
- ハサミ
- ビニール袋
- 使い捨てビニール手袋
- 45ℓのゴミ袋
- 粘着テープ
写真左がネフロレピス、右がシマトネリコ。ネフロレピスとシマトネリコは、どちらもホームセンターや園芸店の「ミニ観葉」のコーナーなどで販売されています。ハイゴケもホームセンターなどで入手できます。
ケト土(けとつち)とは、湿地や沼地に生えるマコモやヨシなどの水辺植物が水底に堆積し、分解してできる黒色の土です。繊維分を多く含み、粘着性が強く保水性にも優れています。苔玉や盆栽、ビオトープに向いている土です。苔玉や石付盆栽などの接着剤としても使用されます。大袋のほか、苔玉用として小袋に分けた製品もネットで見かけます。
苔玉をのせる皿は、家にある不要のモノでOK! なんでもよいのですが、グリーン系の皿のほうが調和しやすく落ち着きます。ハサミはクラフトバサミなどお手持ちのもので。苔玉を形作るために使用する糸は、黒い木綿糸を使う場合もありますが、私のおすすめは「華の糸」というグリーンの針金です。手芸店で入手できます。
テーブルの上が汚れないよう、45ℓのゴミ袋を敷いて四方をテープで留めておくと、ストレスなく作業できます。
苔玉の作り方
ケト土の準備
1.ケト土と赤玉土を7:3で混ぜ、マグァンプKも少量加えます。
ケト土と赤玉土、マグァンプKをビニール袋に入れ、水を少しずつ加えながらよく混ぜ、丸くした状態。混ざったら、さらによく捏ねて粘り気を出します。
水を加える量は、耳たぶぐらいの柔らかさが目安です。
2.ビニール袋の上に1の土を置き、ボール状にした後に、直径20cm程度まで薄く広げます。
観葉植物を包む
3.シマトネリコとネフロレピスをポットから出し、根鉢はそのままに周囲の余分な土を取り除いて形を丸く整えたら、2の土の上にのせます。
4.ビニール袋ごと根鉢を包んで握り、団子状にします。崩れないようにしっかり握りましょう。
ハイゴケで包むときのポイント
ここからの作業は、ハイゴケを崩さずに、上手に苔玉を包むためのステップです。作業するときは、おにぎりをラップで包んで握るように、ハイゴケをビニール袋ごと包む状態のほうがやりやすいので、その準備をします。
5.ハイゴケを裏返しにします。裏返し方は、まずハイゴケの表面にビニール袋を被せ、ビニール袋の上に崩れ防止の新聞紙をのせ、ひっくり返します。
こうすることで、ハイゴケの形を崩さずに裏返して、ビニール袋の上にのせることができます。
ハイゴケで包む
6.裏返したハイゴケに観葉植物をのせます。
ハイゴケの台紙として敷かれていた紙をはがし、4の観葉植物を置きます。
7.最初はビニール袋ごと苔玉をくるみ、しっかり握り固めて苔と土を密着させます。その後、ある程度形が整ったらビニール袋を剥がし、手に持って直接苔玉を握り、形を整えます。
糸をかけて完成
8.最後に、華の糸で苔を固定させます。
糸が見えにくいので、端にテープを貼って目印を作っておきましょう。テープがついたスタートの糸端を上にして、苔玉全体にグルグルと均等に巻き(垂直や放射状など球になるのをイメージして)、最後にテープを貼った糸端を一緒にねじって留めます。
9.皿の上に苔玉をのせて、飛び出した苔を切り落として整え、完成です。
苔玉の管理方法
完成した苔玉は、直射日光の当たらない明るい室内に置き、苔が乾いたら霧吹きで湿らせます。霧吹きに加え、数日に1回程度、苔玉部分をバケツの水に浸け、湿らせるとよいでしょう。緩効性肥料を土に混ぜてあるので、半年程度は施肥の必要はありません。その後は、2週間に1回程度を目安に液肥を与えます。
苔玉をのせる皿によって、ずいぶん雰囲気が変わります。いろいろ試して気分を変えるのも楽しいですね。
シマトネリコとネフロレピスの育て方
今回寄せ植えに選んだシマトネリコは、亜熱帯から熱帯に育つモクセイ科の半常緑樹です。明るい屋内でも、半日陰の屋外でも育てられる丈夫な樹木で、近年、日本でもシンボルツリーや観葉植物として人気です。
5~6月に花が咲くので、花後に剪定しましょう。
ネフロレピスはシダの仲間なので耐陰性が強く、直射日光の当たらない明るい場所で育てます。耐寒性が弱いので冬は屋内に入れ、レースのカーテン越しに日が当たるような場所で育てます。乾燥を嫌うので、こまめに霧吹きをすると綺麗に育ちます。
あなたのお部屋にも外の緑に負けない、爽やかなグリーンの苔玉を作って飾ってみませんか?
以前、クリスマスローズの苔玉作りもご紹介したことがありますので、ぜひこちらにも挑戦を。いろいろな植物で、苔玉作りをお楽しみください。
Credit
写真&文 / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -
えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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