今回は、多目的なウッドデッキの考え方や、狭小の庭をステキに変身させるアイデアをご紹介します。庭のリフォームでは、よくある悩みを解消した内容です。ぜひご参考に。
目次
多目的ウッドデッキで快適な暮らしを
庭にいろいろな樹木や植物を植栽したものの、仕事などで忙しく、手入れができずに困っている方は意外と多いものです。そんなお悩みを解決した事例をご紹介します。
快適なウッドデッキにリフォームする3つのポイント
(1)できるだけ広くする



リフォーム前の庭は植栽が多く、手入れがマメにできずに困っていました。そこで、設計者が提案したのが、庭の「まるごとウッドデッキ」化です。
ウッドデッキは中途半端なサイズでは機能性が損なわれます。機能的に使うためには、敷地いっぱいに広げるのが理想的と考えました。そこで、リビング前の庭スペースをすべてウッドデッキに。リビングの前にあるので、室内から続くアウトドアリビングとして、ブランチやティータイム、BBQなど楽しい時間を過ごすスペースになりました。
この事例のように、広いウッドデッキであれば、いろいろな場面で活躍してくれます。
(2)ガーデンファニチャーを置く



ウッドデッキをより快適に使うには、ガーデンファニチャーが必要です。一人でくつろぐ、二人でランチやティータイムを楽しむ、ファミリーでグランピングなど、目的に合わせてガーデンファニチャーの数や種類を選びます。
ゆったりくつろぎたい場合は座高が低く、背もたれが斜めなもの。飲食を目的にした場合は、座高が40cm程度で背もたれが垂直に近いものがおすすめです。ウッドデッキで何をしたいのかを考え、それに合わせたガーデンファニチャーをセレクトしましょう。
(3)植栽やシェードで日陰をつくる

夏場の暑い日差しを考慮して、シェードやオーニングを設置したり、植栽でウッドデッキに日陰をつくることが必要です。5~6m程度の高木を植えれば木陰ができますが、コストがかかるので、予算に合わせて苗木から植栽し成長を楽しむのもよいでしょう。

この事例では、ウッドデッキの一部をくりぬいてプランターとし、秋の紅葉が美しいイロハモミジを植えています。株元のそしてグラウンドカバーには、自然の雨水のみでも育つセダム類を。プランター周りはガーデンフェンスでオシャレに飾ってもいいですね。夏場は朝晩の水やりで清涼感を味わうことができます。
シェードやオーニング、ガーデンフェンスは、通販やホームセンターなどでローコストなものを見つけることができます。
(4)目隠しフェンスを忘れずに

ウッドデッキで心地よく過ごしたいのに、お隣の窓からの視線が気になることもありますよね。そんなときはウッドデッキ周りに目隠しフェンスを設置しましょう。事例ではウリン材の横板張りフェンスを設置しています。風通しをよくするために、横板の間は隙間をつくるようにしましょう。
狭小スペースを充実させる
ある分譲住宅地のファサードとガーデンのリフォーム事例です。幅が狭い細長い庭なので、リフォーム前は住宅の壁際に鉢物やプランターを並べていました。
幅が狭い庭をステキに舗装する


この敷地は幅が1.2m程度の細長い庭で、壁際には植木鉢やプランターが並んでいました。芝生の手入れをマメにしていないと、壁際やフェンス際は伸び放題になってしまいます。
そこで、レンガやタイルで地面を舗装。単調にならないよう道路側の駐車場前は20cm角のレンガを互い違いに並べました。茶から赤茶系の色むらのあるレンガは、見栄えがよく上部。質感がザラザラした素材なので、すべりにくく、歩行も安心です。
リビング前のテラスは明るいベージュ色の30cm角タイルを張り、部分的に濃いタイルでアクセントをつけ、オシャレに演出。


オシャレな鉢で植物を飾る
庭の舗装の次は、植物。鉢やプランターで良い雰囲気にしたいのですが、デザインやカラーを使いすぎるとまとまりがなくなるので、メインになるプランターは濃いグレーでシンプルに。それ以外の鉢のデザインは数種類に絞りました。白ベースの鉢は花が引き立って見えます。
ファサード(門まわり)も植栽でキレイに!


表札やポストのある機能門柱の周りは、センリョウやアベリアなど低木が植栽されていましたが、リフォーム後は、の足元にヒューケラやタイム、ラムズイヤー、斑入りギボウシなどのグラウンドカバーを。その後ろにはウエストリンギアやオリーブを植栽し、緑の量感のある立派なファサードになりました。玄関ポーチや階段の側面が緑で隠れるので、柔らかい雰囲気になっていいですね。
まとめ
庭のリフォームはやり方次第で、住まう人の居心地やライフスタイルをより楽しく変えることができます。
植物の手入れが大変なときは、「まるごとウッドデッキ」のように大胆にリフォームして多目的に使えるようにしたり、狭小の庭もレンガやタイルの舗装でステキに変身できます。どちらも肝心なのは、少しでもいいので植栽を入れること。花や緑はうるおいをもたらし季節感を感じさせてくれます。シェードやオーニング、植栽で日陰をつくると、ウッドデッキやレンガ、タイルに熱がこもらず、過ごしやすくなります。
設計施工:株式会社Green-Land/Land-Garden 鈴木伸幸

Credit
写真&文 / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -

まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
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