子どもの成長や、生活環境の変化など、時が経つにつれライフスタイルは変わっていきます。それに伴い、最近は庭のリフォームを希望する方が増えています。今回は、庭のリフォーム事例をご紹介します。
目次
庭が子どものサッカー練習場に変身(千葉県印西市)
多棟住宅分譲地の一画にある施工例です。道路側から見た感じではオープンでシンプルな庭ですが、中はどうなっているか、のぞいてみましょう!
ウッドデッキを撤去して人工芝に
リフォーム前は庭にウッドデッキがありましたが、子どもが小学生になりサッカーを始めたので、自宅でもサッカーの練習ができるようにしたいという希望が生まれました。そこで、人工芝を敷き、ミニサッカーゴールを置き、シュートの練習ができるようにしました。ゴール手前にも長めのスペースをとり、ドリブルの練習もできるように。
花壇や植栽スペースも
全部が人工芝では寂しいので、テラスの脇にはレンガで囲った花壇を。メンテナンスの楽な植物を選んで和らいだ雰囲気にしています。住宅の基礎の立ち上がりは目立ちやすいので、低いプランターを設置して植栽を施せばナチュラルにまとまります。
植栽はそれぞれ葉の色や形に特徴のあるものを。左からゴールデンモップ、ニューサイラン、ウェストリンギア、クリスマスローズ、セダム類などが並んでいます。
セダム類は、自然の雨水程度で十分育つ、メンテが楽なグラウンドカバーです。
道路側にも縦格子と植栽で
道路側に面した部分も植栽を施し、木目調の角材を縦格子状に並べてフェンス代わりにしています。この縦格子は、ブラックとブラウンを交互に並べて単調さをなくしています。とってもオシャレですね。
このプランターの植栽はテラス脇と同様ですが、高木はヤマボウシを植えています。ヤマボウシは5~6月に白花を咲かせますが、じつは白花のように見える部分は総苞片(そうほうへん)と呼ばれ、花のつけ根の葉に当たります。果実は8~9月に紅橙色に熟し、甘酸っぱく生食でき、果実酒にもできます。秋には紅葉するので、季節を通して楽しめる植栽です。プランターの縁に使ったレンガの黄土色と、人工芝の緑の対比がキレイですね。
ちなみに、この現場の設計者はフットサルを趣味にしているので、お客様のご要望に応えられました。お客様も、さぞ満足されたことでしょう!
ウリン材の多目的ベンチにリフォーム(千葉県八千代市)
もう1軒も多棟住宅分譲地にある事例です。手入れが大変な植物を何とかしたい、とのことから、ローメンテナンスで済むガーデンリフォームを提案しました。
エントランス前は多機能ベンチに
エントランス前は木質の縦格子角材を並べ、足元には木製ベンチを設置しました。縦格子は玄関ドアが開いたときの目隠しのため密に並べ、木製ベンチは細い横格子状にビス止めしたデザインでオシャレです。
以前はコニファー類が並んだスペースでしたが、成長が早いコニファー類はマメに剪定する必要がありお手入れが大変なので、このようなデザインに変更。ナチュラルモダンなイメージになりましたね。
このベンチは奥様の朝の井戸端会議ならぬウェルカムベンチとして活躍! ここには植木鉢を飾ることもできますし、玄関の手前はハンギングで植物を楽しめます。
回廊のような縁側に
リビング前はエントランス同様に縦格子で目隠しを、駐車スペースに面したところは、回廊のような縁側を設置。この縁側は、夏の夜に花火も楽しめるスペースになりそうですね。この縦格子から縁側の足元は砂利敷きにして、雨水の浸透するスペースをつくっておくことも大切です。
植木鉢やプランターで緑を飾る
植栽スペースはなくなりましたが、エントランス前や駐車スペースの住宅側には中・高木の植木鉢を置いたり、エントランス前のベンチにも植木鉢やハンギングで緑や花を飾ると、一層うるおいのある雰囲気にすることができます。立ち上がりのあるベンチの角にツル植物を置くと、角が植物で隠れソフトな雰囲気になります。
まとめ
庭スペースは植物を楽しむだけでなく、子どものサッカーやお父さんのゴルフ練習場にもなります。ベンチや縁側をつくっておけば、家族や近所の方とのコミュニケーションの場にもなります。植物の手入れに時間をかける余裕がないときは、こんな風に植栽スペースを小さくして庭を楽しむのも一つの方法です。
その時々の年齢に合ったライフスタイルに、庭のスタイルも合わせて変化させれば、より快適な暮らしが楽しめるはずです。
次回は狭小のお庭やウッドデッキのアイデアをご紹介します。
設計施工:株式会社Green-Land/Land-Garden 鈴木伸幸
Credit
写真&文&イラスト / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -
まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
記事をシェアする
新着記事
-
ガーデン&ショップ
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」1年の取り組み
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテスト「東京パークガーデンアワード」。第2回のコンテストは、都立神代植物公園(調布市深大寺)が舞台となり、2023年12月からコンテストガーデンが一般公開され、日…
-
園芸用品
【冬のうちに庭の悩みを一挙解決】生育、花つき、実つきを変える土壌資材とは⁈PR
庭づくりで最も多い「花が咲かない」、「実がつかない」といった生育不良。花であふれる景色や収穫を夢見て、時間をかけ、愛情もかけて手入れをしているのに、それが叶わないときは本当にガッカリするもの。でも大…
-
植物の効能
冬はこれでポカポカ! 自家製チリオイルで食べる、生姜たっぷり餃子
冬の到来と共に身体をあたためてくれる物が食べたくなりますね。温まる食材の代名詞と言えば「唐辛子」と「生姜」。香りが良く薬味としても大活躍で、薬効もある身体に嬉しいスパイスです。今回は採りたてのフレッ…