エクステリアとは家の外の庭や室外空間全体のこと。ここをどのように構成しデザインするかで、暮らしの楽しみは大きく左右されます。今回は、1人の時も大勢の時も最適な居場所が用意された選択肢豊富なエクステリアをご紹介します。車&バイク好きにはたまらない秘密基地のような大型車庫も必見!
ブラックコーデのスタイリッシュな外観

稲葉製作所:デザイナースガレージ
今回お邪魔したのは、千葉県で学習塾のFC展開をされているオーナー邸。到着するとまず、シルバーのガレージシャッターとブラックの住宅外観が目に入りました。ガレージは、ベースのシルバーと支柱の濃いグレーのコントラストがモダンなイメージです。

ファサードの門扉も門袖もブラック、住宅もブラック、車もブラックで統一され、ファサードの両サイドのガレージはシルバーというモノトーンなコーディネートがスタイリッシュでかっこいい印象です。


細部を見てみると、門袖のカメラ付きインターホンや門扉の取手はシルバーでシンプルモダンに、宅配ボックスはオレンジ色でアクセントが効いています。ブラックベースの中にも変化があり、おしゃれ。縦格子フェンスの間にはライン状のLEDライトが装備され、夜景の雰囲気もきっと素敵なはず。夜景や車庫の中は後のお楽しみとして、中へ進んでみましょう。
くつろぎスペースの選択肢が豊かな戸外空間設計
門扉を開けて入ると、解放的な広場が展開します。この住宅では戸外スペースが広くとられており、なおかつさまざまなテイストの「居場所」が用意されているのが特徴です。どんな戸外空間があるのか見ていきましょう。

緑に囲まれホッとできるプランターベンチ
広場中央には色ムラレンガを積んだおしゃれな円形のプランターが設けられ、オリーブの木がシンボルツリーとして植栽されていました。このプランターは一部がベンチになっており、ちょっと腰をかけて一息つくのにちょうどよさそうなスペースです。
オリーブの株元の植栽はヒューケラやアベリア、ノシランなど、常緑で丈夫な低木や宿根草が選ばれており、間近で一年中瑞々しい緑が楽しめます。
広場の角や駐車場の縦格子の前にも植栽スペースが設けられており、ベンチに座ると目線の先に自然に緑が目に入るように設計されています。



囲われた雰囲気が心地よいガビオンベンチのスペース

広場の右手には黒いフェンスに合わせて黒色の倉庫があり、中にはBBQの道具が収納されています。この倉庫は単に収納としての機能だけでなく、小さな空間づくりにも活躍しています。ちょうど倉庫を背もたれにするようにL字型のベンチが設置されており、ここは3方向を囲まれたくつろぎスペースになっています。ちょっと人の視線を避けられる囲まれた空間には落ち着いた雰囲気があり、1人で考え事をしたいときや少人数で会話をしたい時に選びたい居場所になっています。

このベンチは金網のようなメッシュ状の格子パネルを立方体に組み、その中に自然石を入れたガビオンと呼ばれるスタイル。別名「蛇篭・じゃかご」とも呼ばれています。自然石を積み上げて崩れないように固定するのは職人技が必要ですが、ガビオンなら石積みの技術がなくてもワイルドな雰囲気が簡単に作れるとあり、近年人気のスタイルです。ここにもベンチに座ると緑が目に入るように植栽スペースが設けられています。

フェンスに囲われた植栽スペースは影ができやすいため、半日陰を好むクリスマスローズなどが選ばれています。植栽の背景となるフェンスは緑や花がよく映えるように白色をチョイスし、空間の明るさも確保しています。植栽帯内には自動潅水システムが設置されており、うっかり水やり忘れも心配ありません。
大勢でBBQパーティーが楽しめるアウトドアリビング

白い縦格子のスリットフェンスの向こう側は、大人数で楽しめるアウトドアスペースです。ここは塾の生徒や卒業生、講師陣などを招き、BBQをしながら楽しいひと時を過ごすことを目的につくられました。
屋外では強すぎる日差しがネックになることがありますが、ここでは電動可動ルーバー式の屋根がついたポーチスカイルーフII(タカショー)を設置し、太陽の光と風の流れをコントロールすることができるので、快適に過ごせます。しかも、遮光スクリーン設置で横からの日差しも和らげます。
屋根付きのフレーム型のポーチには、この事例のように建物の躯体から独立して建てられるものもあるため、建物の構造の制限を受けずに好きなところにアウトドアリビングをつくることができるのが魅力です。



生活機能面も美しいデザインで充実

屋外空間にはゴミ置き場など人にはあまり見せたくないけれど、必ず必要な空間もあります。このお宅では曲線でデザインされたオシャレなゴミストッカーが設置されており、狭いスペースにぴったりと収まっていました。開口部が広いため、ゴミの出し入れがとてもしやすく機能的です。
また、壁際には立水栓が設置されています。水鉢や水栓は住宅と同じブラック色で統一され、和モダンな印象です。

夜景がスタイリッシュなガレージ

玄関アプローチを挟んで両サイドが電動可動シャッターのガレージになっています。左右対象のデザインは、フォーマルな印象を与えファサードに品格を演出します。


夕方になったので、いよいよ夜景の拝見。門袖の表札を照らすライトや縦格子のLED ライト、木質系の天井のダウンライトが黒い壁に反射して、飛行場のようなドラマティックな風景が展開しました。ファサードは夜の見え方も考慮してデザインすると、我が家に特別感を演出することができます。
今回はブラックモダンなファサードデザインと、いくつもの居場所があるアウトドアリビングの事例をご紹介しました。生活様式に大きな変化が生まれた昨今、住まいの戸外空間の価値が再認識されています。リラックスできるプライベート空間でありながら、自然を感じる開放感を得られる戸外空間は、現代の家により欠かせないものとなっています。この事例のように、そのときどきの人の気持ちに寄り添うことができる、豊かな空間の選択肢があることこそ、本当の上質な暮らしといえるかもしれません。
記事協力
取材先:学習塾のランフロム株式会社 代表取締役社長CEO 島田 稔 コミュニケーションプレイス
設計施工:株式会社Green-Land/Land-Garden 鈴木伸幸
Credit
写真&文 / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -

まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
全国の花ファン・ガーデニング
ファンが集う会員制度です。
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