今回ご紹介する住宅実例は、カーブを描く傾斜地という難しい敷地条件で、玄関アプローチや庭など屋外スペースが十分とれないケースです。狭小変形地という悪条件ながら、機能的なアプローチとリラックスできる庭空間を見事に実現させた工夫を建築・エクステリアの専門家、松下高弘さんが現地を訪れ解説します。
目次
機能充実のエントランス

公道から住宅建物の距離が近く、アプローチに距離がないケースでは、塀や門扉がないオープンスタイルが一般的ですが、この実例はどちらも設けたクローズスタイル。明るいグレーとブラックの横ボーダータイル調サイディングの住宅外壁に合わせて、塀や門扉のエクステリアは濃いブラックの縦板張りが採用されています。建物を含めてトータルで見ると、エクステリアの濃いブラックがあることで安定感のあるカラーコーディネート。少し和風レトロなデザインで高級感も演出されています。


デッキ仕様のミニくつろぎスペース

門扉を開けた左手の床は明るいグレーのウッドデッキになっており、木製のデッキチェアが置いてありました。掃除の後や、買い物帰りなどに、ちょっと休憩できるスペースです。実際に座らなくても、このくつろいだ雰囲気がデザインのポイント。家に帰ってきた時に、ホッとさせてくれる演出でもあります。
自転車が出しやすいサイクルポート

エントランスの右手は自転車置き場になっています。スリムなスペースですが、ママチャリや子ども用自転車であれば、60~65cmの幅で止めて置くのは可能です。頭上には乳白色のポリカーボネートの屋根を設置。雨をしのぎながらも、光を透過して狭いスペースが明るくなるよう、採光の工夫がされています。また、玄関アプローチの床面はタイルですが、自転車置き場のほうは一段低くコンクリートになっており、空間が仕切られスッキリとした見た目になっています。


自転車置き場には扉がついており、防犯も万全。公道とほぼフラットな地面で、自転車も出し入れがしやすいです。
変形敷地のお庭でも

サイクルポートの右手には、3段の階段があります。その先の門扉を開けるとウッドデッキと芝生の庭が現れました。

フェンス際は斑入りのプリペットを植栽し、柔らかな目隠しに。ブラックの縦格子フェンスが、緑が映えるキャンバスとして活躍しています。

ウッドデッキは変形敷地に合わせて長方形と三角形を組み合わせた形状です。芝生部分もほぼ三角形的になっており、バランスよく変化のあるデザインになっています。
収納庫のある駐車スペース

敷地が傾斜している関係で、庭は公道より高い位置にあり、フェンスとプリペットの効果もあり通行人の視線が気になりません。日当たりがよく、眺めもよいリラックス空間です。
この縦格子フェンスは見る方向によって、格子先の背景の見え具合が変わって見え、それも面白い表情を醸し出します。

庭の隣には駐車スペースがあります。

駐車スペースの奥のかまぼこ状のテントは収納庫。スペースを有効活用しています。
まとめ

狭小敷地だからといって、オープンスタイルのエクステリアしかできないと思っている方も多いかもしれませんが、今回の事例のようにクローズスタイルのエクステリアを設計することで機能を充実させたり、リラックスした空間を作ることができます。
エクステリアデザインを工夫することで、ライフスタイルの充実度は大いに変わるものです。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -

まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
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