ここ数年、ガーデンスタイルの多様化が進み、庭づくりに用いるアイテムの選択の幅が、ぐんと広がってきました。今回は庭づくりのいろいろなシーンで活躍する「ガビオン」について施工例を交えながら詳しくご紹介します。石塀や門柱、オーナメントにと、フレキシブルに使えるアイテムです。
ガビオンって何?
「ガビオン」という名称を聞いてピンとくる方は、かなりのガーデニング通ですね。ガビオンとはメッシュ状のパネルのことで、主に立方体に組んで石を詰めて使います。もともとは、土留めや河川の護岸や斜面の補強などに使用される、竹材や鉄線で編んだ砕石詰め込んだ造園資材「蛇篭(じゃかご)」のこと。この蛇篭はドイツ、イギリスをはじめとしたヨーロッパではかなり前から応用され、建築やエクステリアなどに利用されてきました。最近は、日本でもおしゃれな庭づくりをするガーデナーたちが注目しています。

ガビオンはいくつかのメーカーが取り扱っていますが、今回ご紹介するのは、主に自然石を輸入販売する「おしゃ楽」(愛知県安城市)の「おしゃガビオン」。仕入れの際にイギリス人に紹介され、一般家庭のガーデンになじみやすい仕様にアレンジしたものを20年前から販売しています。
変幻自在
使い方いろいろなガビオン
石や木材、植物との相性がよく、装飾性が高いのが特長のおしゃガビオン。線が細く控えめなので、主役となる構造物を引き立ててくれます。ガビオンは石を詰めて置くだけでなく、石の内側に不織布を敷いてから土を入れれば、植え桝としても使用が可能です。また、玄関の門袖や門柱で使えば、道行く人に好印象を与えるに違いありません。

ガビオンは線径4mmのアルミ・亜鉛合金メッキされたスチール製のメッシュパネル。中に入れる石の選び方次第で印象が変化し、空間のデザインをフレキシブルに変えることができます。


ガビオンはさまざまな大きさや造作にアレンジできるので、異なる材の造作物と組み合わせて使うこともできます。シーンに変化が生まれ、おもしろみのある風景が作れます。


造形もいろいろ
空間にアクセントをプラス
ここまで直線のスクエア形ガビオンをご紹介してきましたが、組み方次第で三角柱形にも作ることができます。円柱形や球形のものもあるので、その造形的なフォルムを生かしてオーナメントのように配していけば、インパクトのあるシーンが生まれます。


ガーデンの一角に植栽と併せて配置しても。大きさや形、石の量などに違いを持たせて複数個用いると、軽重のバランスが取れたおもしろみのある風景を作ることができます。


インテリアアイテムとして、またショップなどで什器としてもおすすめです。自然素材の石はどんな空間でも馴染みやすいのも魅力。


ショップやショーでのデコレーションにもおすすめのガビオンは、草花やドライフラワーと合わせても素敵に決まります。メッシュ材で主張しすぎないので、落ち着いた雰囲気になります。

よく吟味して。
ガビオンの表情が左右する石
ガビオンの中に入れるのに適した石材は、軽くて使いやすいタイプや、ごつさや色むらがあるワイルドなものもおすすめです。よく使われるのが、チャート石や揖斐黒石、軽石類。石の見せる表情を活用して、飽きのこないシーンをつくりましょう。おしゃ楽で扱うニュージェットストーンなどを使うのもおもしろいでしょう。設置する場所や用途に合わせてセレクトして。

おしゃ楽の扱うガビオンは、線径4mmでマスのピッチは芯々で75mm。このマス目に対し石の大きさは100mm程度がベスト。基本的には石の面を表にして詰めると、美しく見えます。大きくて重いものを用いると、石に押されたガビオンが膨らんでしまうので施工の際に膨らみ防止の「引っ張り」を入れる考慮が必要です。
ガビオンに必要なパネルの
基本サイズと加工について
ガビオンに使うパネルは、基本で1950×1950(mm)、1950×900(mm)の2サイズ。ここからオーダーによりいろいろなサイズにパネルをカットして加工します。マス目が75mmピッチのため、仕上がりサイズは75の倍数での注文になります。石の詰めやすさを考慮すると奥行きは3~4マスがベター。また、転倒防止の安全面から高さは900mm以下がおすすめです。


手軽でさまざまなスタイルにフィットするガビオン。オリジナリティの高い庭づくりにも役立つアイテムです。施工例は以下でもご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
Information
■おしゃ楽本社
住所:愛知県安城市朝日町13-5
TEL :0566-73-6881
写真*
■世田谷ガーデン俱楽部
住所:東京都世田谷区用賀1丁目26-16
TEL :03-6805-7334
https://setagaya-gardenclub.com/
写真**
■青桃社 鯉江
住所:愛知県常滑市鯉江本町4丁目65
TEL:0569-89-8665 ※営業日のみ(木・金・土)
写真***
写真協力/おしゃ楽、世田谷ガーデン俱楽部
Credit
写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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