家のアウトドアスペースとして人気のウッドデッキ。みなさまの中には、すでに取り入れている方や、現在ウッドデッキづくりを検討中の方も多いのではないでしょうか。ウッドデッキがあると、庭での過ごし方が変わり、暮らしの質が高まります。また庭の使い方の幅が広がります。しかし、風雨に晒されるウッドデッキは、適切なメンテナンスをしないと、思った以上に早く劣化が進むことも。そこで本記事では、ウッドデッキの種類などの基礎知識と、設置後の適切なメンテナンス方法、ウッドデッキの塗装について詳しく解説したいと思います。
目次
ウッドデッキは厳しい環境に晒されている! 放っておくと?
通常屋外にあるウッドデッキは、常に紫外線や風雨を浴び、また温度や湿度が変化する過酷な環境に晒されています。天然木の場合、雨が降れば水分を含んで膨張し、強い日差しや乾燥によって収縮します。地域によっては夏と冬で気温差は30℃以上にもなるでしょう。そのような環境で日々伸縮を繰り返すと、表面の塗膜剤が劣化し、ひび割れたり剥がれたりします。そのままにしておくと、降雨の際は水分がウッドデッキの木材内部にまで浸潤し、さらに放置することで腐食が発生してしまうことも。長期間利用するためにも、ウッドデッキの定期的なメンテナンスは必要不可欠です。
ウッドデッキの種類をチェック! 特徴と日頃のメンテナンス方法
ウッドデッキには、天然素材を使ったものと人工素材を使ったものがあり、それぞれ特徴やメンテナンス方法が異なります。ここでは、それぞれの種類ごとに解説します。
広葉樹を使ったハードウッド(天然木)のウッドデッキ
主に広葉樹から作られる硬質の木材をハードウッドといいます。ウッドデッキでは、南米原産の「イペ」や東南アジア原産の「ウリン」などがよく用いられます。シロアリなどの害虫に強く、腐食しにくいため、耐久性に優れた木材です。日常的なメンテナンスはあまり必要としません。砂埃を取り、汚れたり苔が生えたときは雑巾がけやデッキブラシでこそぎ落とすようにしましょう。経年により、ささくれやトゲが発生することがありますが、その際はサンドペーパーをかけて取り除きましょう。
針葉樹を使ったソフトウッド(天然木)のウッドデッキ
針葉樹を用いた柔らかめの木材をソフトウッドといいます。スギやヒノキのほか、アメリカ西海岸原産のレッドシダー、ヨーロッパやロシアに分布するホワイトウッドなどが用いられています。ハードウッドと比べると価格が安く、加工もしやすいというメリットがある反面、耐久性はやや低いです。また砂埃や汚れの清掃、ささくれやトゲの対処など日常的なメンテナンスはハードウッドと変わらないものの、床材の張り替え周期はハードウッドよりも短くなります。
最も手入れが簡単なのは人工木のウッドデッキ
人工木とは、木材の粉とプラスチックなどの樹脂を混ぜて作った合成素材のこと。天然木と比べると水分が浸透しにくいため、腐食やシロアリの被害なども少ない素材です。ささくれやトゲが発生することもないため、メンテナンスの手間が少なく、砂埃や汚れをデッキブラシなどで掃除する程度の手入れで済みます。木材に比べると、ややなめらかな質感で、近年は直射日光に当たり続けても蓄熱しない製品も開発されています。
日頃の手入れで落とせない汚れは年に数回本格的にメンテナンスを
埃取りや雑巾がけなど日頃の手入れのほかに、季節ごと、あるいは年に2回程度は本格的なメンテナンスをするとよいでしょう。油汚れや飲み物の汚れなどは、台所用の中性洗剤を使い、固く絞った雑巾などで拭き取ります。強酸性や強アルカリ性、有機溶剤、石油系洗剤などはウッドデッキの劣化を招くので使わないようにしましょう。またカビなどが発生してしまったときは、次亜塩素酸系の漂白剤を使うときれいになりますが、高濃度では材を傷める場合があるので注意が必要です。また周辺の植物などへの影響も考慮したうえで使用しましょう。汚れ具合によっては、デッキブラシで念入りにこすったり、高圧洗浄機を使ってきれいにすることもできます。床材の洗浄が終わったら、塗料の塗り直しをしましょう。
天然木のウッドデッキの劣化を防ぐためには定期的な塗装が必要
天然木は材がむき出しの状態では劣化が早まるため、表面に劣化防止用の塗装をする必要があります。その塗装も経年劣化するため、ウッドデッキをきれいに保つには、定期的な塗り直しが不可欠です。気候や環境にもよりますが、ソフトウッドでは1~2年に1回を目安に塗り直し、あるいは保護塗装をするとよいでしょう。ハードウッドの場合はソフトウッドより耐久性があり、基本的には塗装の必要はないとされていますが、無塗装だと紫外線などの影響で材が白銀化することがあります。変色させたくない場合は、数年に1回のペースで保護塗装をすることが望ましいでしょう。
塗装の種類は複数! ウッドデッキのメンテナンスに適した塗装は?
塗装し直す場合は、水性なら水性、油性なら油性というように、最初に塗ったものと同じタイプの塗装剤を使うのが基本です。塗装剤の種類には、①浸透タイプ、②造膜タイプ、③半造膜タイプの3つがあります。
① 浸透タイプ
木材の内部まで塗料が浸透し、塗膜を作らないので、材の風合いそのままに内部からの劣化を予防できます。塗りやすいため初心者にもおすすめです。代表的なものに「オイルステイン」があります。ただし、他のタイプと比べると効果持続期間が短く保護効果も弱いため、こまめな塗り直しが必要です。
②造膜タイプ
木材の表面に塗料の膜を作ります。防水効果が高く、耐久性が高いというメリットがありますが、表面に1層の膜を作るため、材の風合いや木目が生かせないというデメリットもあります。また表面は、ややツルツルとした感触になり、木の風合いは多少減ります。
③半造膜タイプ
①と②の両方の特徴を併せ持ったタイプです。しっかり塗膜を作り、防水効果を発揮しながらも木目や風合いを生かすことができます。古くなった木材にも使用できます。
天然木のウッドデッキを塗装するときの手順
塗装時はいくつかの工程があり、計画的に進めることで早く、きれいに仕上がります。ここでは、塗装するときの手順について解説します。
塗装に適した時期や天候を見極める
天然木を塗装する場合、下塗りと上塗りの2回の工程があります。塗った後はしばらく乾燥させる必要があるため、塗装当日を含め3~5日程度は晴れの日が続く時が望ましいです。塗装計画や作業は天気予報をチェックしながら進めましょう。
塗装する部分の下準備をする
塗装はウッドデッキの汚れやささくれなどがない状態で行うときれいに仕上がります。そのため、あらかじめサンドペーパーや電動サンダーを使って表面をなめらかにし、汚れやカビ、コケなどが付いている場合は、デッキブラシなどで取り除いておきましょう。また古い塗膜で表面がでこぼこしていると、新しい塗料がうまくのりません。その場合も、研磨して古い塗装を取り除いておきましょう。
塗料が付いたら困る場所を養生する
壁や窓、金具など塗料が付くと困る場所、また心配であれば周囲に生えている植物なども、塗料が付かないようカバーをかけるなど養生する必要があります。その際は手で切りやすく、後で剥がしやすい養生テープや養生ビニールなどを使用しましょう。シートの端にテープが付いているタイプの養生シートも便利でおすすめです。
1度目の塗装(下塗り)をする
上手に下塗りをするための方法です。まず塗る前に、塗料を容器の中でよく混ぜて均一にしましょう。塗るときは、表面やデッキとデッキの隙間、裏側もしっかりと塗り、塗り残しが無いように注意しましょう。また塗料に合った専用の刷毛などを使い、木目に沿ってムラにならないようまんべんなく広げながら塗ります。塗り終わったら半日から1日程度、完全に乾くまで乾燥させます。
下塗りが乾燥したら2度目の塗装(上塗り)をする
下塗りが完全に乾いたら上塗りです。下塗りの状態を確認し、毛羽立ちや凹凸などがあればサンドペーパーで軽く擦って、表面をなめらかにしましょう。その後、下塗りと同じように均一に塗って再び乾燥させます。
適切なメンテナンスで長く快適にウッドデッキを使おう
ここまでウッドデッキのメンテナンスについて解説してきました。ハードウッド、ソフトウッド、人工木それぞれのよさがあり、またそれぞれの特徴があります。
「メンテナンスが必要」ということだけを考えてしまうと多少の煩わしさを感じるかもしれません。しかし、ウッドデッキはそれを補って余りある魅力があります。こまめなメンテナンスをすることで、その分愛着がわき、長く快適に使うことができます。ウッドデッキがあるだけで外での楽しみが何倍にも広がることでしょう。みなさまも庭づくりの一つにウッドデッキを取り入れてみてはいかがでしょうか。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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