ステキな庭にするためのカラーコーディネートを考えるVol.5 ~メインガーデンのカジュアルなエクステリアデザイン~
Vol.4では「カジュアルなファサードのエクステリア」のご提案をしました。今回はカジュアルをテーマにメインガーデンのデザインを提案します。小さな子どものいるご家庭などにおすすめの楽しい庭です。
目次
「カジュアル」のイメージと素材
まずは前回までの記事のおさらいです。
カジュアルのイメージは「明るく楽しい軽快なイメージ」です。
「楽しい」「華やかな」「活動的な」「鮮やかな」「軽快な」「リズミカルな」「子どもっぽい」などがイメージする言葉です。
カジュアルカラーのイメージ
基本的なカラーの組み合わせは「3色の純色」といわれる黄、赤、青色ですが、3色を一つの素材に組み合わせると、ビビッドになりすぎてしまうので、白やアイボリーをベースにして、黄、赤、青色のどれかをワンポイントとして扱うのが無難でまとめやすいでしょう。
また、補色同士の組み合わせもカジュアルカラーになじみます。例えば、ベースカラーを薄い緑色、ワンポイントを赤色にする方法です。
メインガーデンのカジュアルなエクステリアデザイン
カジュアルな庭のデザインは、子どもが遊園地のように遊べる! ペットも一緒に喜ぶ! お父さんやお母さんが安心して見ていられる「遊べるガーデン」をコンセプトにしてみました。
庭に使える舗装は何があるの?
ペットが安心して飛び回れる舗装に「ゴムチップ」があります。
ゴムチップは弾力性があるため、子どもが走りやすく、ペットの肉球にも優しい舗装です。また、透水性があるので、水たまりができにくいというメリットもあり、子どもやペットの遊び場には最高です。
デメリットは施工がDIYでは難しい点です。コンクリートやモルタル、またはアスファルトの下地をつくり、その上に流して平らにする樹脂材なので、舗装面を平らに仕上げるのは専門業者に依頼したほうが無難です。子どもが大きくなり、将来的に芝に変えるなどのリフォームを行う場合は、下地をはがし処分するなどの手間や費用がかかります。
そこで、おすすめなのが「インターロッキング」というコンクリートブロック。下地に砕石を敷き、転圧した上にインターロッキングを敷きます。透水性があり、色の選び方によってはレンガのような仕上がりイメージにもなります。コンクリートの下地がないので、将来リフォームする際も容易です。子どもがケガをしないように、滑り台や鉄棒の足元などにゴムマットを敷くと安心して遊ぶことができます。
その他には、DIYででき、より安価なウッドチップという素材もあります。ウッドチップはスギやヒノキ、クスノキなどの木材を細かく粉砕して作った資材です。自然に優しい土に還る素材ですが、時がたつと雑草が生えやすくなるので、不織布の防草シートを敷いた上にウッドチップを敷き詰めるとよいでしょう。
また、土に近いイメージの「真砂土(まさど)」という素材もおすすめです。真砂土は花崗岩が風化してできたもので、土のように栄養分がないため、雑草が生えにくいという特徴があります。粘土質で水はけがよいことがメリットです。
舗装手順は、次の通り。
真砂土を敷き詰めて平坦にします。そのままにしておくと固まってきますが、凹凸ができてしまうので、小型ローラーやハンドダンパーで転圧作業が必要です。転圧機材はホームセンターでは1日2,000円程度で借りることができます。
丸や三角、四角のデザインウォールで楽しく
メインガーデンの眺めは、赤や黄色に塗った三角や四角いデザインウォールをつくって楽しいイメージにしました。四角い穴をあけたり、セルリアンブルーのアーチ状のウォールもつくりました。子どもたちが、かくれんぼなどをして遊べます。
すべり台や鉄棒の遊び場
通販やホームセンターで購入すれば、数万円で手に入るすべり台を設置します。高さが1m程度なので、幼い子どもたちも遊べます。
また、雲梯(うんてい)や鉄棒を設置しても楽しいですね。通販では、たくさんの種類があるので、好みに合ったものを選びましょう。
眺めのよい中高木とペットの居場所
デザインウォールの背景に中高木を植えると、眺めのよい庭になります。デザインウォールの穴の向こうに見える緑の植栽も、変化があって面白くなります。
また、屋外ラグを敷いて、ペットが落ち着ける居場所をつくりました。芝生スペースをつくれば、犬はもっと大喜びすることでしょう。
子どもが成長した後は・・・
子どもたちが小学校や中学校に行くようになると、だんだん「遊べるガーデン」も使われなくなってきます。そんなときは「ステキに楽しむ大人のガーデン」に変身させましょう。
地面はインターロッキングやレンガ貼りにして、落ち着いた大人の雰囲気のガーデンにします。すべり台を外した後は、ドラセナやソテツなどの植物の鉢植えを飾って、リゾート風な雰囲気にしてもよいでしょう。
デザインウォールの腰部分には自然石を貼ります。中央のアーチはベージュやアイボリーに塗り替えてハンギングを。右手のウォールの四角い穴には、ファサードにハンギングした額縁ガーデンを設置して季節の花を飾ります。三角のデザインウォールは無彩色の白にすると、オブジェとして庭デザインに一役かってくれるでしょう。鉄棒にはネットを張ってつる植物を絡ませてもいいでしょう。左手の花壇の前には、ペットの喜ぶ芝生スペースもつくりました。
このように少し手を加えれば、カジュアルガーデンを大人の落ち着いた雰囲気にイメージチェンジすることができます。
まとめ
カジュアルなメインガーデンには、四角や丸いデザインウォールを設置して、楽しい雰囲気をつくりました。赤や黄色、セルリアンブルーなどのカジュアルカラーを取り入れてたり滑り台や鉄棒を設置すれば、「遊べるガーデン」になります。その背景には中高木を植えて、変化のある眺めをつくります。
10年後は、つる植物や季節の花を飾って、「ステキに楽しむ大人のガーデン」に変身させるのも面白そうですね!
次回は「エレガントなファサードガーデン」のデザインとカラーコーディネートです。お楽しみに!!
Credit
文&イラスト / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -
まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
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