Vol.1では「色の知識とイメージキーワード」について、ご紹介しました。イメージキーワードにナチュラル、カジュアル、エレガント、シックモダン、和モダンなどをあげ解説をしましたが、ここからは各イメージキーワードのデザイン例の提案をします。今回取り上げるキーワードは「ナチュラル」と「ナチュラルモダン」。この2つのイメージの庭デザイン例を写真やイラストでご紹介します。

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「ナチュラル」のイメージと素材

ナチュラルのイメージは「自然素材を使った暖かみのある柔らかい雰囲気」です。

「なじみやすい」「暖かみのある」「くつろいだ」「柔らかい」などがイメージできるキーワードです。そこから想像する素材は、木、石、植物のように、自然になじむ素材。また、落葉樹の葉のそよぎ、水に映る日の光の輝きなどの雰囲気が思い浮かびます。自然を感じる生活は、仕事などのストレスを解消してくれます。そうしたくつろいだひとときを

ことができる場所が庭です。

ナチュラルカラーのイメージ

暖色系といわれるカラーを使うと、まとめやすく効果的です。特に

①黄グループ、②黄橙グループ、③橙グループ

の3種類のカラーです。

木やタイルなどの自然素材や吹付などに使いましょう。

⑫黄緑グループは、①黄グループや②黄橙グループと類似色同士で相性がよいので、落葉樹の葉の色と合わせると自然なイメージでまとまります。石はサビ御影が低木やグラウンドカバーの緑とフィットしなじみます。

ナチュラルなエクステリアデザイン

チュラルなイメージに合うプランをご提案します。今回は西入りセミオープンのファサードデザインです。

色相環
色相環
*詳細は「ステキなお庭にするためのカラーコーディネートを考えるVol.1~簡単な色の知識とイメージキーワード」を参照してください。

アプローチと駐車スペースを併用したプランです。来訪者を全面道路から回廊前の階段まで誘導できるように、アプローチのデザインをしました。図1は、来訪者は直接目の前に回廊の階段が見えてしまい情緒がありません。図2のように、左手や右手の樹木や下草の花々を眺めながら、階段右脇の門柱にたどり着くような趣(おもむき)をつくりました。

図1:階段に向かう単調な来訪者の動線
図1:階段に向かう単調な来訪者の動線。
図2:左右の植栽を眺めながら階段に向かう来訪者の動線
図2:左右の植栽を眺めながら階段に向かう来訪者の動線。

エントランス前からキッチン前を通る回廊は、南側のウッドデッキにつながる動線で構成されたデザインです。住宅外壁はベージュ系の珪藻土(けいそうど)をバックに、回廊の床や柱、手すりは木地色との柔らかいコントラストで、自然なイメージの色彩構成にしました。

玄関前は緑で目隠し

玄関前もシンボルツリーや中低木で道路の歩行者や来訪者の視線をカットしています。門柱は枕木を2本建てた間にポストや宅配ボックス、表札、インターホンやハンギングで季節の花を飾りました。

植栽は手前を低く奥は高くなるように、グラウンドカバー、低木、中高木の順に植えて自然なイメージにしました。

夏は涼しいくつろぎスペース

夏場の南側の庭は直射日光で暑いため、北側の玄関脇にガーデンファニチャーを置いて、読書やお茶を飲むなどの「くつろぎスペース」をつくりました。

ガーデンファニチャーは天然木が似合います。

天然木のガーデンファニチャー
天然木のガーデンファニチャー。

充実した家事作業ができるウッドデッキ

キッチンの勝手口前は、コンクリートの狭いポーチと階段のみという状態をよくみかけませんか? ここを段差のないウッドデッキにすることでゴミ出しが容易にできます。勝手口やゴミ置き場前は、緑で隠しているので、道路からの歩行者の視線も気になりません。

家事作業がしにくい勝手口前のポーチ
家事作業がしにくい勝手口前のポーチ

アプローチや駐車スペースは石貼りとグラウンドカバーで

駐車スペース床版はコンクリート洗い出しで、少しザラザラした仕上げです。グラウンドカバーをランダムなスリット状に配置しました。まとまった一部分は、セダム類やその他の多肉植物を植えます。自然の雨水程度で充分育つので手入れの手間がかかりません。アプローチ回りは乱形石貼りと草目地を入れて、できるだけ自然なイメージに仕上げました。

アプローチ床版の舗装:乱形石貼り参考写真
アプローチ床版の舗装:乱形石貼り参考写真

ナチュラルにモダンを+する

それでは前述のナチュラルなデザインにモダンを加えてみましょう。色使いはナチュラルなままですが、直線を生かしたシャープなイメージにします。縦格子や正方形のタイル貼りにして直線を強調しました。

ナチュラルにモダンを+する

縦格子で風通しのよい目隠しに

玄関前と勝手口前付近は木の縦格子を設置してシャープなイメージにしました。生地よりも少し濃くすることで、シャープさを強調できます。道路の歩行者からの目隠し効果や風通しもよいので、機能面も優れています。回廊の階段右手の門柱は、縦格子よりも濃い焦げ茶色の木目調角材にしてシャープさを出し、モダンな門まわりのシンボルになるようにしました。

アプローチと駐車スペースを区別する

全面道路から玄関前の回廊に向かうアプローチは30cm角のタイル貼りで、駐車スペースは一部濃いタイルを帯状に貼り、車の入庫のガイドになるようにしました。タイルをよけてランダムに配置したグラウンドカバーでナチュラルなイメージを演出。道路際部分も濃いタイルの帯にすることで、タイル貼り全体の統一感が生まれます。

濃い30cm角タイルで帯をつくる
濃い30cm角タイルで帯をつくる。

ガーデンファニチャーもオブジェに

回廊に設置した直線強調のガーデンファニチャーは、焦げ茶色のワンポイントにすることで、モダンなオブジェにもなります。

直線強調でシャープなガーデンファニチャー
直線強調でシャープなガーデンファニチャー。

まとめ

ナチュラルなカラーコーディネートは色相環の①黄から③橙グループの暖色系で、柔らかいデザインにすると上手にまとめることができます。ナチュラルなイメージに直線を多用すると、ナチュラルモダンなイメージになります。皆さんの好みに合わせて、デザインとカラーを決めるための参考にしてみてくださいね。

次回はナチュラルの庭イメージをご紹介します。お楽しみに!!

Credit

文:松下高弘

文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』、『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』など多数。また、『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン(グリーン情報)』を2022年3月出版予定。2007年版の改訂版で、7割以上がグリーン情報やガーデンストーリーの人気記事、企業セミナーテキストから抜粋と、新規書下ろし。ただ今執筆中!

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