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庭に井戸を掘りました! ガーデンセラピーが体験できる施設「花音の森」レポ Vol.6

庭に井戸を掘りました! ガーデンセラピーが体験できる施設「花音の森」レポ Vol.6

埼玉県熊谷市にある花音の森は、植物のある暮らしでストレスを減らすガーデンセラピーをコンセプトにして、庭作りやレッスンを行っています。170坪ほどの庭があり、2021年で2年目の春を迎えています。この度、ここに念願の井戸を掘りました。「え!? 今どき井戸!?」と驚かれることも多いのですが、井戸を掘ることになった経緯や施工の様子をご紹介します。

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植物を育てるには水が必要だけど、気になる水道代は?

植物を育てるには、当然ですが、水が不可欠です。土をむき出しにせず、落ち葉を敷いて土が乾かないように「マルチング」もしていますし、大きな木は育ってしまえば、水やりをすることもなくなってはきますが、一週間に一度くらいは庭にも水やりが必要です。埼玉県北部・熊谷市は、群馬県から通称・赤城おろしという強い北風が吹くので、特に冬は水やりが頻繁に必要になります。

花音の森

いざ、庭の植物に水やりをしてみると、この広さですから、半日もかかるのです。もちろん、それだけ水道代もかかるわけで。

水道代を気にしながら、植物に水やりをするのって嫌だなぁ…と思い、風呂水や雨水を再利用したりもしましたが、手間もかかるし、量も足りないので、結局、水道を使うことが多くなっていました。

とはいっても、1年目の水道代は、生活を含め2ヶ月平均15,000円。じつは、井戸を掘ることは、ここを作る時に検討したのですが、30m掘らないと水が出ないことが分かり、費用が高額すぎて断念したのでした。

でも、水道代を気にしながら水をまくことに、もやもやが残っていましたし、環境にも優しい方法で植物が育てられるならと、井戸という選択肢が再び私の中に挙がってきたのです。

井戸を掘ろうと思ったきっかけは?

井戸を現実化へと導いたきっかけは、高額な水道代です。水道代が1年目と同じように1万円台なら井戸を掘ろうとは思わなかったのですが、今年3月、2ヶ月分の水道代が3万円に! 市から電話がきて「水漏れはしていないと思いますが、水を大量に使っていますか?」と確認されたほどでした。

我が家は本下水になっているため、庭に水をまく分は下水料金に含まれ、コストがかかります。加えて、水道代は水道管の老朽化や人口減の理由から、全国的にも値上がりしていますが、熊谷市もしかり。今年から水道代が平均20%値上げになり、私は井戸を掘る決心をしました。

井戸を掘るってどのくらいの音がするの?

井戸を掘るってどのくらいの音がするの?

費用の問題もさることながら、敷地内には住宅があり樹木も植えられている状態なので、作業トラックが入って来られるか、作業ができるスペースがあるかも、確認してもらいます。

また、土の中を30m掘るとなると、音の問題も気になります。ここは住宅地なので、地響きや騒音があまりにも大きいと、施工が難しいかな? と思っていました。ですが、工法や立地環境を検討しても、振動や音が影響することは少ないだろうとのことで、施工をお願いすることにしました。

井戸掘り作業の工程

一部、井戸掘り作業の写真をご紹介しますね。

井戸掘り作業

施工方法は、パーカッション法というもの。土はほんの数メートルで、その先はずっと砂利。砂利を叩いて掘り取り、という作業の繰り返しです。

井戸というと、もっと大きな穴を想像していましたが、意外とスリムでびっくり。作業初日は大きい音がしましたが、掘り進めていけばいくほど、音や振動は気にならなくなりました。

井戸の管

この管が30m分、埋まっています。30mという深さは、その土地周辺一帯はおおよそこのくらい、というのが経験で分かるそうです。熊谷市は荒川・利根川という大きな川に囲まれた地形なので、川沿いの地域は10mくらいが目安など、地域によってだいぶ差があるそう。

また、掘る場所については、家の東側のほうがいいとか北がいいとかあるのかと思っていましたが、敷地内ならどこを掘っても一緒とのことでした。

管が入ったところ

5日間掘り進めて、30mに到達し、先ほどの管が入ったところ。掘った穴は粘土のようなものを入れて崩れてこないように固めているのだそう。

電動モーター

こちらが電動モーター。これでくみ上げて、右側に設置する水栓へ水を送ります。

水栓

最後に水栓が付いて、蛇口からは井戸水が出るようになりました。ホースがつなぎっぱなしにできるよう、2口用です。蛇口は一般的な銀色のものではなく、ホームセンターで私が見つけてきたものを設置してもらいました。この上にタイルを貼るので、レジコン製で費用を抑えています。

万が一の災害時に井戸があると安心

花音の森に井戸を掘ることで、万が一の災害時には近隣の方に水を使ってもらえることも想定しています。その場合、電気がこないことを想定して、電動ではなく手押しでないといけません。ですが、30mの深さで手押しとなると、穴を広く掘らなければならず、その分費用が倍増するとのことで、手押しは難しいことが分かりました。

そのことを近所の方にお話ししたら、「うちは発電機があるから、力を合わせれば大丈夫!」と力強いお返事をいただきました。ひとりではできないことも、ご近所や仲間と力を合わせれば可能になることを実感しました。日頃から災害時の相談ができる関係を育んでおくことも重要だと感じますね。

電動モーターのカバーと立水栓はDIYで

電動モーターのカバーと立水栓はDIYで

モーターには、メンテナンス時に取り外せるようなカバーを、また、立水栓にはタイルを貼ってみました。初めてのタイル貼りはアクシデント続きで、ガタガタ…やり直したいくらいですが、これもまた味ということで、良しとしましょう(笑)。

花音の森はエアコンがありませんので、水は「涼」を届けてくれる大切な資源。今年からは井戸水が使えると思うと、水浴びしてスイカを冷やして…と想像が膨らみ、今からわくわくしています。

自然環境を利用した庭づくりを実践しながら、大切に使いたいと思います。

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