室内からの眺めにこだわった夜の庭づくり・ライトアップのコツ

庭は屋外にあるものですが、意外と外にいて眺める時間は少ないものです。ですから、窓からの眺めも考慮して庭づくりをすることをオススメしますが、その際、ポイントになるのが「時間」。日中、仕事や学校などで家を留守にする家庭も少なくありませんが、そんなときはライトアップを前提とした庭づくりをしましょう。夕食の時間、ライトアップされた庭が窓の眺めにあれば、家にいながら旅館のような贅沢な癒しの時が過ごせますよ。ここでは施工事例を交え、室内から夜の眺めを美しく見せるポイントを解説します。
魅せる夜の庭のご紹介
室内からの眺めにこだわってライトアップすると、美観はもちろんのこと、室内と庭が繋がったように感じ、空間を広く感じさせることができます。
その他にも、自然を借景として取り入れることができ、日々の安らぎの場ともなります。
まずは、そんな室内からの眺めをより美しく見せている施工事例を場所別にご紹介いたします。それぞれの効果とポイントは、その次にご紹介します。
リビングからの眺め

こちらは、庭とリビングを繋いだライトアップにです。
デッキを明るく照らすことで室内空間がより広く感じられます。視線の突き当りのウォーターライティングも美しいですね。

境界壁面、突き当りに光を取り入れ、庭に奥行きを与えます。室内からの眺めにこだわった光の演出ですね。
廊下からの眺め

ミラー現象(後述)をうまく防いでいる施工事例です。

写真のような坪庭を照らすにも、ミラー現象を防ぐライトアップや、境界壁面を明るくするライトアップがよく取り入れられます。庭を間近で楽しめます。

この庭も視線の突き当りを照らすことで奥行きを出し、空間を広く見せています。趣ある、落ち着く空間になっています。
浴室からの眺め

浴室からの眺めにもこだわってみませんか?
電気を消しても楽しめるこの空間。一日の終わりに、ほっとするひと時が過ごせますね。
待合室からの眺め

住宅だけでなく、夜の庭のライトアップはさまざまな場面で有効です。
こちらは、病院の待合室からの眺めです。大きな窓から眺められる、緑とウォーターフォールが瑞々しい自然を感じさせてくれます。患者さんが見て癒されること間違いなし!
室内からの眺めを美しく見せるポイント
室内からの眺めを美しく見せるには、室内と庭の光のバランスが重要です。一般的には、光のバランスは、「室内:庭空間:境界壁面=4:1:2」の明るさ比率で照らすのがよいとされます(下記図を参考)。

目線の突き当り(境界壁面)を室内の半分くらいの明るさで照らすことで、室内から夜の庭を見せることができるようになります。
また、人の視線は床面を20%~30%程しか見ていませんので、間にある庭空間は、突き当りの光ほど明るくする必要はなく、さらにその半分の明るさでOK。よって、「室内:庭空間:境界壁面=4:1:2」の比率が成り立ちます。
これらの理由により、夜景を室内から楽しみたい場合には、まず室内の明るさを確認しましょう。
《室内の光》

上の写真のように、室内が明るすぎると室内空間が窓に反射する現象を「ミラー現象」といいます。ミラー現象が発生すると、庭の景観が見えなくなってしまいます。
このミラー現象を防ぐには、室内の明るさを100として考えた際、庭の明るさはその20%は確保してください。
ここで考えるのは、視線の突き当りである「境界壁面」に光を当てることに加え、「室内の光をあえて抑えること」です。
室内の明るさを抑える場合は、眩しさを抑えてくれるグレアレスダウンライト(鏡面反射)を使用すると、室内の明るさを抑えられると共に、窓への映り込みも少なくなります。
この他にも、ペンダントライトなどもオススメです。
ペンダントライトにもたくさん種類があり、ランプシェードが不透過の素材やダーク色のものを選ぶと、光を抑えつつ、ビジュアルも優れているものが多いためインテリアの調和として使用することができます。
●室内に光を入れる際

《庭空間の光》

室内の光や、突き当り(境界壁面)の光に比べると、明るさはそれほど必要ないので、用途や好みに応じた照明器具で演出できます。
ただ、より一層美しく見せたい場合は、「窓の近く」が一番明るくなるようにライトアップしましょう。窓際の光を明るくすることで室内の明るさと、庭の明るさを近づけます。そうすることで、屋内と屋外の連続性が生まれ、一体感が出ます。
デッキやテラスなどがある場合は、室内と連続して繋がる空間に見え、より効果的です。この他にも、《室内の光》で話したミラー現象を抑える役目もあります。
●庭空間に光を入れる際

《境界壁面の光》

境界壁面を照らす際は、室内の約半分程度の明るさになるよう、明るめの器具で奥にある対象物を照らします。壁面の場合はウォールライトや、ウォールスポットライトなどを使用し、明暗を付けながらライトアップすると美しい演出ができます。
また、アップライトで樹木などを照らしても美しく夜を演出することができます。
このように光を高い位置まで届けると、庭を広く見せることができ、奥行きも演出することができます。

●境界壁面に光を入れる際–樹木

●境界壁面に光を入れる際–壁面

いかがでしたか?
ライトアップを取り入れると、庭が広く見えたり、ドラマチックに見えたり、さまざまな効果が得られます。
光を上手に使って、夜の庭を美しく演出すれば、自宅のくつろぎ度が格段にあがりますよ。
Credit

LEDIUS Lighting Lab.
『LEDIUS Lighting Lab.』は、庭に快適な光を計画・提案する〝ライティングデザインチーム〟、庭に新たな光を考え、創造する〝商品企画チーム〟、庭に最適な照明器具を形にする〝開発チーム〟、庭の光の価値を伝える〝セールスプランチーム〟からなる屋外照明のプロフェッショナル集団。
エクステリア、ガーデン、商業施設などあらゆる空間に合った照明器具デザイン、空間デザインを通して光の価値、重要性を考え、新しさ、ワクワクする光の提案を行っていきます。