東京都内のマンションの一室にある編集部。地面の庭は持てませんが、4階の屋上を草花や野菜が育つ、豊かなガーデンにするのが夢です。編集作業の合間に少しずつ進む「屋上ガーデン計画」を皆様にご報告します。都会の庭づくりの参考になったら嬉しいです。まずは、草花の背景となる木製フェンスの作成をレポート。
木製フェンスを設ける理由
屋上ガーデンの全体監修を行なってくれるのは「かたくり工房」の大将こと井上和彦社長と造園家の阿部容子さん。最初にガーデン全体の雰囲気を左右するフェンスをつくることになりました。元々のフェンスは半透明のFRP(繊維強化プラスチック)の平板とアルミ製で、無機質な雰囲気です。これはこれで都会的でモダンな感じですが、もう少しナチュラルな空間にしたかったため、木製のフェンスを設けることにしました。木製のフェンスなら塗装で色を変えたり、棚をつくったり、物を掛けたり、植物を絡ませたり…、と限られたスペースで色々やりたい私たちにとっては自由度が広がりそうです。
木製フェンスに麻紐を張り、クレマチスを誘引した例。埼玉県・大河内邸
木製フェンスの間に飾り棚を設けた例。埼玉県・宮川邸
使った材料
- 2×4パイン材
パイン材は木材の中でも手に入りやすく、柔らかく加工しやすい材木です。重量も軽いので、屋上やベランダなどの耐荷重制限のある場所では負荷が軽く済みます。一方、経年変化しやすく腐食が早いので、塗装して保護します。
大将に聞く、木材の選び方ポイント3
大将:ホームセンターは返品きかないからね、よーく見比べて木材を選ばなきゃダメだよ。同じ2×4のパイン材でも、いいのと悪いのがあるからね。
編集部:えっ、そうなんですか。みんな同じに見えますけど、どうやっていいのと悪いのを見分けるんですか。
大将:節とか木目の筋を見て選ぶんだよ。あと、持ってみて重さを確かめるのも大事だね。水分を含んでいるのは重いんだよ。こういうのは後から寸法に狂いが出て使いにくいから選んじゃダメ。選び方は次の3つのポイントだな。
- 木目が縦にまっすぐのものを選びます。
理由:タワみや歪みが生じにくい。
- 節が少ないものを選びます。
理由:節から腐っていきます。
- 同じ材料の中でも、軽いものを選びます。
理由:重いものは水分を含んでいて、後々サイズに狂いが生じます。
作業手順1 木材を運ぶ
編集部があるマンションには、エレベーターがありません。そんなわけで階段を使っての搬入作業となります。なかなかの苦労でしたが、女性4人、男性1名によるリレー式の連携プレイで無事、木材を屋上まで運び入れることができました。
作業手順2 木部保護塗料を塗布する
屋外で風雨に晒される木材は、そのままではすぐに傷んでしまいます。そこで、割れたり腐ったりするのを防ぐために、ペンキを塗る前に「木部保護塗料」を塗ります。木部保護塗料にも色つきや透明タイプなどがあります。今回はシルバーグレー(左)を使いました。大将が塗料を染み込みやすくする塗り方を教えてくれました。
「まず、片方の手に刷毛を持って、もう一方の手に軍手をはめるんだよ。塗料を刷毛で塗りながら、もう一方の軍手のほうで塗布した部分をこすりながら塗り進めると、染み込みがいいんだ」。この塗り方は「ウッドデッキパネルを長持ちさせる塗装の方法」のページでさらに詳しくご紹介しています。
塗料は下に成分が溜まっていることがあるので、よくかき混ぜます。
ブルーシートを敷き、木材に塗布した塗料が下にベタッとつかないように、角材を下にかませ、地面から浮かせておきます。
それぞれ4面ずつ塗ります。「気をつけていても、どっかに塗料ってつくものだから、塗る時はそのつもりでペンキがついてもいい服を着てね!」(阿部さん)。
「翌日にペンキ塗り作業を持ち越すときは、刷毛を洗わなくてもビニールに包んで密封しておけば、またすぐ作業の続きができるよ」(大将)。
屋上ガーデンの全体監修を行なってくれる「かたくり工房」の大将こと井上和彦社長と造園家の阿部容子さん。公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。マスタープランナーとして岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を活かし、病院のガーデンも施工しています。
かたくり工房/岐阜県可児郡御嵩町伏見747 TEL:0574-67-6633
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