「うちの庭は狭いから、存分にガーデニングなんてできない」と思われている方に、ここでは、狭い場所や小さな庭でも楽しめるガーデニングのノウハウをご紹介します。ぜひご覧いただき、参考にしてください。

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広くなくてもできるガーデニングとは

狭小敷地では高さを活かすのがポイントです。庭は狭くても高さを上手に工夫すれば、いろいろなガーデンデザインができるものです。その例を解説します。

高いところをガーデニング ~パーゴラ~

高いところをガーデニング ~パーゴラ~
画像:タカショー

上部空間を活かしてガーデニングをする代表的な例にはパーゴラ(pergola)があります。パーゴラとは、イタリア語のぶどう棚が語源で、テラスの上部に作られる棚を意味するようになりました。

一般的なものは、4本の支柱の上に、間口と奥行き方向の各々に2本ずつ梁を掛け、その上に垂木を等間隔に並べたものや、ドーム状のものなどがあります。ここに、つる植物を絡ませます。藤棚、つるバラなどのように花やゴーヤ、キウイ、ブドウなどのように実のなる植物にもつる性の植物はたくさんあります。夏場は葉が繁り、強い日差しを遮り、冬場は葉が枯れて日差しを通すので、シェードの役割も果たします。実のなるものであれば、収穫して味わうのも季節の楽しみの一つに加わります。

壁を使ってガーデニング ~ウォールガーデンとニッチ~ 

フレーム壁掛けタイプ
フレーム壁掛けタイプ 
画像:タカショー
ニッチ
ニッチ
nadtochiy/Shutterstock.com

塀や住宅の外壁に植物を飾るガーデニングの手法をウォールガーデン(壁面緑化)といいます。ここでも活躍するのは「つる植物」です。グリッド状のフェンスやパネルを設置して、つるが絡みやすくなるようにします。その他の方法では、コケ類やシダ類などを組合せたフレーム壁掛けタイプがあります。このような商品は通販やホームセンター、ガーデンセンターなどで見つけることができます。

また、壁に凹部分を作り、飾り棚とするニッチという手法もあります。ニッチは英語(niche)で、「隙間」や「適所」のことをいいます。もともとはフランス語のniche(ニーシュ)からきており、古巣や避難所といった意味です。西洋建築の部屋の飾り棚の一種で、花瓶や聖像を置いたり、照明で照らしたりします。ガーデニングでは、塀などに凹部をつくり、そこに植物を飾ったり、照明などを飾ります。

ウォールガーデンやニッチも省スペースでできる小さな庭におすすめのガーデニングアイデアです。

フェンスや手すりを利用してガーデニング ~トレリスとハンギングバスケット~

ハンギングバスケットが飾れるラチスタイプとグリッド格子タイプ
ハンギングバスケットが飾れるラチスタイプ(左)とグリッド格子タイプ(右)
画像:タカショー

トレリス(trellis)の原語は格子や格子状のことをいい、つる植物を絡ませて飾る格子状やルーバー状に組んだフェンスのことをいいます。ラチスフェンスともいわれ、いずれも同じ用途で使います。前述したパーゴラの支柱の間に取り付けたものや塀際やフェンスに取り付けると、お隣からの視線カットになる目隠し効果もあります。

トレリスにはハンギングバスケットを掛けて花々を楽しむこともできます。ハンギングバスケットとは、上部からつるしたり、壁やフェンスに掛ける植木鉢のことをいいます。植木鉢を入れられる籠(かご)などの鉢カバータイプのものもあります。ハンギングは高さがあるため、置き型の鉢植えと比較し風通しがよく、水はけもよいので、毎日の水やりを怠ると、枯れやすくなるので注意が必要です。

足元もガーデニング ~2段植栽~

塀際やフェンスなどの足元を工夫したガーデニングの手法をご紹介します。

塀際やフェンスの足元は基礎の立ち上がりやブロック積みが見えてしまって、見栄えがあまりよくないことが多いようです。こんなところは、花壇を2段にして植物や低木を植えると狭い空間が広がって見えます。下段は立ち上がりのない花壇でグラウンドカバー(20~30cm程度の高さの植物)を。上段は、20~30cm程度の立ち上がりのある花壇で、もう少し高めの植栽を植えます。敷地の地盤と塀の立ち上がりの接地部分が植栽で隠れるので、狭い敷地が広く感じられます。

このように狭い庭でも、塀よりも高い空間にはパーゴラを、塀際ではトレリスやニッチなどで、おしゃれにガーデニングを楽しみましょう。

機能美を求めて工夫するのも省スペースにつながります

ベンチもガーデニング用具入れ

ベンチもガーデニング用具入れ

例えばベンチは座るだけでは、もったいない。イラストのベンチは、座を開けると、そのなかはガーデン用具などの収納庫になっています。市販の長いすの座の下でも、キャスター付きの箱を作って入れれば、立派な収納庫になります。

マンホールや雨水桝はオリジナルアートな鉢物コースター

駐車場の床にある雨水桝。桝に絵を描いて鉢物コースターに
駐車場の床にある雨水桝(左)。桝に絵を描いて鉢物コースターに(右)

タイルテラスや芝生の中途半端な位置に雨水桝(うすいます)を見かけませんか? その見栄えのよくないフタの上に、つる植物の鉢物を飾ってしまえば、桝のフタが見えず、おしゃれになります。アプローチの最終桝(マンホール)も目立つのでステキな鉢を飾ってみましょう。庭の雨水桝のフタは樹脂製で、歩行者が歩く程度の重量は容易に保てます。駐車場などにあるマンホールは、鉄製なので大変丈夫です。また、フタは通販などで購入することができるので、フタをペンキで塗って、アーティスティックに飾るのもステキです。イラストのように、ヒマワリの花を描いて鉢を置いてみルト華やかになります。

余談ですが、桝(ます)は雨水桝、汚水桝などの種類があり、半年に1回程度の定期的な掃除が必要です。沈殿物が跳ねるので汚れてもよい服装で行いましょう。専門業者に依頼すると、高圧洗浄機でキレイに掃除をしてくれます。

控え壁を利用して棚を作る

控え壁を利用して棚を作る

コンクリート塀の控え壁と控え壁の間に棚を取り付ければ、植物を飾る棚ができます。控え壁とは、地震などでブロック塀が倒れないように支える壁のことをいいます。L型の取り付け金具をコンクリート専用の釘で、コンクリートブロックに取り付けます。取り付け手順をご紹介します。

  1. ドリルドライバーでコンクリートブロックに穴あけする。
  2. カールプラグを差し込む。入りにくい場合は、ハンマーで軽くたたいて埋め込む。
  3. 錆びにくいコンクリート用のコンクリート釘でL型金物を止める。
  4. 木板とL型金物をステンレスビスで止めて棚が出来上がり。

木板(棚板)は、お好みでの色で塗装して乾いた後で、ビスで止めると簡単に仕上がります。

塀にも植物を飾ろう! ~プランターハンガー~

塀にも植物を飾ろう!~プランターハンガー~
Lapa Smile/Shutterstock.com

塀際の足元が狭くて置けないプランターは、塀やベランダのフェンスに掛けられる、便利なプランターハンガーがあります。10cmから最大22cmの幅のものまで取り付けられるハンガーもあります。通販やホームセンターなどで購入できます。

狭小敷地でできる多彩なガーデンデザイン

平面図
平面図

南南東から北北西向きの細長い庭のプランです。

幅1.8~2.5mの庭でも、植物がステキに飾れるガーデンデザインです。

ガーデンデザイン

テラス・ベンチ

中途半端に芝生などのスペースはつくらず、すべてをテラスにします。ガーデン用具を収納できるベンチは、動線の妨げにならないように壁際に設置し、お茶を飲むときは必要に応じて、折り畳み式のファニチャーを出して使います。

トレリス・ハンギングバスケット

塀際はトレリスを設置し、ハンギングバスケットで季節の花が咲く植物を飾ります。植物は、フレーム壁掛けタイプを取り付けてもオシャレです。

パーゴラ

リビング前のテラスにはパーゴラを設置します。パーゴラは、東南の角に高木を植えられるように、単純な四角いものにしないで変化のあるデザインにしました。パーゴラに鉢物をつるしてもオシャレになります。

段植栽・菜園

2段植栽の塀際は中低木を、手前はナスやトマトなどの菜園スペースにすると、幅が狭くても野菜のお手入れがしやすくなります。菜園の水やりや手洗いが必要になるため、立水栓を必ず設けましょう。

 立水栓

立水栓

立水栓(りっすいせん)とは、屋外に設置された柱状に蛇口がついた水栓設備のことをいいます。菜園や園芸だけでなく、子どもやペットが遊んだ後の手足の洗い場にもなり便利です。

キッチン窓の前のハーブプランター

キッチンの窓の前にハーブのプランターを設置しました。料理をする際、ハーブが必要なときは、外に出なくてもキッチンの窓を開ければ、簡単にハーブが手に届きます。

狭い庭でもくつろげるアウトドアリビング

狭い庭でもくつろげるアウトドアリビング
奥行きが狭くてもくつろげるウッドデッキ
平面図:ファニチャーのレイアウト
平面図:ファニチャーのレイアウト

狭小敷地では、テラスやデッキスペースが取りにくい場合もあります。こんなときは、図のように1間(約1.8m)×1.5間(約2.7m)のリビング前の狭いウッドデッキでも、上手にファニチャーを配置すれば、ステキにくつろげるアウトドアリビングのスペースに変身します。リビングの窓を開ければ、室内のリビングと庭のウッドデッキを一体にした空間となり、知人や親せきを招いて、お茶や食事を楽しむこともできます。

観葉植物やプランターハンガーを目隠しウォールに取り付ければ、簡単なガーデニングも楽しめます。

狭いスペースを有効に使っておしゃれ空間に

狭いスペースでは、塀はプランターハンガーを使ってステキな花を、住宅の壁、塀際は、トレリスなどにつる植物を飾り、ウォールガーデンを楽しみましょう。パーゴラを設置すれば、キウイやブドウなどの果樹も育てられます。芝生スペースは中途半端にとるよりは、すべてタイル張りなどの舗装を施し、必要な時に折り畳み式のファニチャーを置いて、くつろぎましょう。家庭菜園を行う場合は、立水栓を設けると、水やりや手洗いができて便利です。

狭い庭でもガーデニングの楽しみ方は、いろいろあります。

ぜひ、皆さんも自分に合ったガーデニングを研究して、オシャレに植物を飾ってみましょう!

Credit

文:松下高弘

文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、好評につき絶賛発売中!!

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