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ガーデンセラピーが体験できる施設「花音の森」ができてからVol.2 日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らすための対策を大公開!

ガーデンセラピーが体験できる施設「花音の森」ができてからVol.2 日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らすための対策を大公開!

私の活動拠点「花音の森」は、2019年12月、埼玉県熊谷市にオープンしました。ここで、植物のある暮らしで健康寿命を延ばす自然療法“ガーデンセラピー”をコンセプトに、植物の楽しみ方があれこれ学べるレッスンを行っています。
加えてもう一つ、大きな野望があります。それは、『日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らす』こと。家の性能と植物をうまく活用することで、夏は冷房なしでも過ごせ、冬は薪ストーブで暖かく暮らせる環境を考えて作った住まいです。今回初めての夏を迎えて、内心ドキドキの毎日ですが、どんな様子か? レポートしていきます。

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日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らす

日本一暑い街・熊谷で生まれ育った私。夏はとにかく暑く、エアコンを使うことが当たり前で、これまで『エアコンなしで、暮らせるわけがない』と思って歳を重ねてきました。しかし、年齢とともに、一日中冷房の効いた部屋にいると、体の芯が冷えきってしまったり、かといって、エアコンを消すと暑い…という、いかんともしがたいストレスを感じるようになりました。エアコンはスイッチ一つで室温をコントロールできて便利ですが、一方で地球温暖化など環境への負荷や、冷房病(クーラー病)にもなったりと、いい面ばかりではありません。

そこで、花音の森を作る時に、『日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らす』という野望を掲げました。家の設計や素材選びことに加え、植物の持っている力を上手に利用することで、快適に暮らせるかもしれないと思ったからです。

室内が30℃でも涼しく感じる理由は『風』

熊谷市の今年5月の最高気温は、31.9℃。平均気温は25.4℃と、比較的過ごしやすい日々でしたが、6月梅雨入り頃になると気温も上がり、6月11日の最高気温は34.9℃に。この日の「花音の森」の最高気温は、外が35.1℃/室内が31℃でした。そして、その日は一日レッスンがありましたが、生徒さんからは、「快適」「エアコンなしでも問題がない」「気持ちがいい」というお言葉を頂いています。

気温だけを見ると、室内が31℃…通常ならエアコンをつけると思いますが、快適に感じられる秘訣は、ずばり『風』です。

ポイントは3つ。

1つ目は、植物を通過してくる風は冷たい

「花音の森」は、建物の周りをぐるりと囲むように木を植えているおかげで、室内に入ってくる風が冷たくなります。

花音の森

森の中や公園など、植物がたくさん生えている場所を散歩すると、涼しいと感じた経験がありますよね? あれは、木は根から吸い上げた水分を、葉から大気中に蒸発させているから。蒸散と呼ばれるこの作用のおかげで、緑に囲まれたところは涼しく感じるのです。

コナラは現在7mほどですが、年数を重ね、木々が茂って建物の壁や屋根を隠すほどに成長すれば、室温の上昇自体も抑えられるのではないか? と思っています。

2つ目は、風が通り抜ける経路がある

窓を開けると、さーっと風が通り抜けていくのを感じます。それは、窓のサイズや開き方、設置場所を考慮して、風が抜ける経路(動線)をしっかり考えているから。南側の大きい窓から風を取り込み、外に逃がすために、北側に小さめの窓を設けています。

窓

夏だけのことを考えるなら、北側の窓も大きいほうがいいのですが、冬には北風が入ってきて寒くなるので、最低限の窓サイズになっています。

3つ目は、シーリングファン

シーリングファン

熱い空気は上に上にと持ち上げられます。そのままにしておくと室内が温められてしまうので、空気を動かすこと(外に排出すること)が大切です。天窓があればよかったのですが、費用の関係で断念したので、我が家には2つのシーリングファンがあります。半時計回りにファンが回転すると、空気が下方向に送られ、室内の空気をゆっくりと循環させることができます。設計段階では「そんなに違うかな?」と半信半疑でしたが、これがあるのとないのとでは大違い! 一瞬にして涼しく感じさせてくれる優秀アイテムでした。

ウッドデッキに蚊帳を取り付けました

デッキ空間も部屋の一つとして捉える「5th room」という考え方を取り入れて暮らしてみたら、本当に素晴らしい空間になりました。その時期によって悩みはあるものですが、それも楽しんで、日々工夫をしながら、過ごしています。

3月は寒い日もあったものの、日差しがある日はとても心地よい空間でしたが、4月になると、日差しが強烈になっていくのを感じました。春の紫外線は真夏に匹敵するほど強いので、シェードを取り付けました。

シェードの記事はこちら

ウッドデッキ

シェードのおかげで過ごしやすくなったのもつかの間、5月になると、憎い蚊たちが発生…。蚊のせいでデッキに出られないのはもったいないと思ったので、デッキ全体に蚊帳を設置することに。

インターネットで探した蚊帳を作ってくれる会社に相談しながら、オーダーメイドで作ってもらいました。

オーダーメイドの蚊帳

蚊帳の色やサイズ、ハトメの位置や個数も、対応してくれました。

蚊帳は取り付けて大正解!

ウッドデッキの蚊帳

蚊を心配することなく、外に出られますし、これからの季節は、デッキで夕涼みも気持ちがいいと思います。また、我が家には犬がいるのですが、蚊が媒介するフィラリアという病気にかからないための予防にもなり、一安心です。

そして何より、解放感が違います。

ウッドデッキ

蚊帳があると網戸も開けたままにできるのですが、たった一枚の網戸ですら、開けっ放しにするとここまで違うのか?! と感動するほどくらいの開放感です。蚊に刺されるストレスも激減しましたね。

家庭用ミストを取り付けました

前述したように、家の周りをぐるりと囲うようにコナラを植えたものの、まだ小さいうちは、やっぱり暑いかもしれないと不安が残り、もう少し対策をしたいと思っていた時、ミストはどうかとアドバイスをもらいました。じつは熊谷市は暑さ対策として、駅にミストを設置しているのです。昔から、気温を下げるために打ち水をしてきましたし、水は上手に使いたいですよね。ですが、高機能のものは値段も高くなるだろうし、そもそも、施工って誰に頼むの? と思っていたら、ホームセンターに家庭用ミストが売っていました。

家庭用ミスト

これなら自分で設置もでき、価格は約4,000円。水道代も1時間5.5円ほどとのことで、即購入! 取り付けも1時間ほどで完了しました。

家庭用ミスト

まだ数回しか出番がありませんが、これから迎える夏本番では、活躍してくれることでしょう。

いかがでしょうか? 大きな野望を胸に、エアコンなしで暮らす初めての夏ですが、このような工夫のおかげか、今のところは順調です! とはいえ、熊谷の夏の暑さは、まだまだこれから。引き続き、レポートさせていただきますね。

Credit

写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)

花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。

生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/

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