Vol.1では、アウトドアライフに必要なガーデンファニチャーの目的や、ストレスのない心身の健康に必要な、自然環境共生の解説をしました。Vol.2では、ガーデンファニチャーの種類や選び方、ガーデンデザインにフィットするコーディネート例をあげて、わかりやすくご紹介します。参考にしてください。
目次
ガーデンファニチャーの種類と特徴
ガーデンファニチャーの素材はさまざまです。主に、天然木、アルミ、プラスチック、アイアン、スチール、ラタン、ロープなどがあります。その種類と特徴を解説します。
天然木
自然素材の木目や質感を生かした風合いのある素材です。こげ茶色から薄い生地(きじ)色までの、さまざまな色があります。経年劣化や色落ちなどがあるので、数年ごとに、塗装などのメンテナンスが必要です。天然木でも経年劣化しにくい工夫として、テーブルやイスの脚部分だけがアルミ製でになっているものもあります。
アルミ
アルミ製は軽いので移動がしやすく、さびにくいことからメンテナンスの必要が、ほとんどありません。座や背が網目のものやポリエステル製のクロスなどさまざまなデザインがあります。写真のように、多少は重くなりますが、鋳物(いもの)でできたものもあります。曲線豊かな南欧風のファニチャーです。詳細はアイアンを参照してください。
スチール
一般的にあるスチール(鉄)製です。錆びが発生する場合があるので、小さなキズでも早めの補修をしてください。シンプルなデザインで丈夫です。
プラスチック
軽量なため扱いが簡単です。スタッキング(積み重ね)ができるので、保管場所が狭くても大丈夫です。シンプルなものからオシャレなデザイン性が高いものまであります。
ラタン(人工ラタン)
籐(とう)で編んだファニチャーです。天然ラタンは変色や腐食などがあるため、経年劣化がしにくい人工ラタンがオススメです。高い耐候性をもっており、ほどよい弾力性で座り心地がよいことから定評もあります。黄土色からこげ茶色までのアースカラーがそろっているので、お好みに合わせて選ぶことができます。マットやクッションを敷くことで、座り心地がよくなります。落ちにくい汚れやほこりが付着した場合は、中性洗剤を布につけて拭き取りましょう。
ロープ
プラスチック素材をロープ状にしたものを編んだファニチャーがあります。この素材は、高い耐久性、耐摩耗性、弾力性があり、水に強く、濡れても乾きやすいのが特徴。屋外で使用するガーデンファニチャーには好都合な素材です。シンプルなものから、凝ったものまで、いろいろなデザインがあります。
ガーデンファニチャーのプラスチック素材は、ポリプロピレンやポリエステルなどがあります。ポリプロピレンは、繊維形態として扱われ、使い捨てオムツ、カーペットやロープ、下着や靴下などの製品があります。耐摩耗性や耐熱性が極めて高いのが特徴です。ポリエステルは、ロープやケーブルなどの繊維素材や、ペットボトルなどの成形品として扱われています。
余談ですが、皆さんが、よく飲まれている、お茶やジュースなどのペットボトルの「ペット」は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)をPETと呼ばれるところが由来になっています。
アイアン
鋳物といって、金属を溶かして鋳型(いがた)に流し込んで作ったものと、ロートアイアンといって鉄を火で熱して曲げたり、ハンマーなどでたたいて作った材料を溶接して組み立てるものがあります。曲線を生かしたデザインが特徴です。
写真はロートアイアン製のファニチャーです。
ガーデンファニチャーを大切にするポイント
ガーデンファニチャーは、プラスチック製などの耐熱性、耐久性に強い製品なのですが、屋外に置くため、暑い直射日光や、風雨、ほこりなどにさらされることになります。長期間使わない場合は、ファニチャーにはカバーをかけることをオススメします。また、エアコンの室外機のそばは、熱風が出ているので、避けるように心がけましょう。扱い方やお手入れを適切にすることが、長持ちの秘訣です。
庭に合わせてガーデンファニチャーを選ぶ
どんなガーデンファニチャーを、どんな庭に置いたらステキなアウトドアライフを楽しむことができるのでしょうか? デッキやテラスとガーデンファニチャーの素材や色を合わせるだけで、オシャレにまとまります。
天然木やラタン製のファニチャーは
天然木や木目調のファニチャーはウッドデッキが自然になじみます。明るい色調でまとめると柔和なイメージにまとまります。少し濃い目の色調は、ラタンのファニチャーで落ち着きが出ます。屋外用のラグを敷くと高級感がでます。
アルミやスチールのファニチャーは
軽いイメージのアルミやスチールのファニチャーは、御影石などの明るい色調のテラスと似合うでしょう。すっきりしたさわやかなカフェテラスのイメージですね。
ロートアイアンや鋳物のファニチャーは
ロートアイアン製の曲線がキレイなファニチャーは、乱形石貼りのテラスでプロバンス風にまとめるとオシャレです。また、オレンジ色系のテラコッタタイルもステキです。
プラスチックのファニチャーは
プラスチック製の直線的シンプルなファニチャーは正方形の無地のタイルが、合わせやすいでしょう。テーブルに4脚のチェアがある場合は、白いチェアの中に、1脚または互い違いの2脚を、青や黄色などでアクセントカラーにするとカジュアルにまとまります。
ロープのファニチャーは
ロープのファニチャーはデザインがシンプルなものから曲線がキレイなものまであるので、タイルやウッドデッキなど、いろいろな素材に合わせやすいでしょう。
ここでコーディネートのポイントをまとめておきます。
1. 同じ素材同士であわせる。
2. 色のコントラスト(明暗)を生かす。
3. 素材の質感が違うもの同士で合わせる。(例えば、ツルツルのファニチャーとザラザラの床面)
以上の内容を参考にしてコーディネートしてみましょう。
庭のデザインにフィットするガーデンファニチャーのコーディネート
庭にフィットするアウトドアリビングとガーデンファニチャーのコーディネートをご紹介します。5つのイメージキーワードをあげ、それぞれのデザインとガーデンファニチャーやカラーコーディネートの解説をします。
ナチュラル
明るい無塗装のウッドデッキに天然木のファニチャーを配置しました。植栽の緑と相性がよく、なじんでいます。ファニチャーとウッドデッキの木の色のコントラストを弱めにすることで、柔和なイメージになります。
カジュアル
明るいウッドデッキをベースにして、さまざまな形の異なったファニチャーを並べているところや、明るいグリーンパターンのラグやクッションで楽しさを演出しています。ラグを斜めに配置する遊び心も、カジュアルさを出すポイントです。
アーバンモダン
白い住宅外壁と屋根付きの黒いフレームのコントラストが効いた、モダンなイメージです。クールな白い色のソファや、黒いフレームのチェアとテーブルの素地と色が、対照的なデザインのバリエーションで、都会的なイメージを演出しています。
和モダン
明るい住宅外壁をバックに、濃いデッキやパーゴラのフレームが和の落ち着きを出しています。また、2本ごとに並んでいる細いパーゴラの垂木(たるき)も和のイメージを感じます。ラタンチェアの脚が、シルバーの細いフレームにしているところがモダンなイメージを強調しています。
リゾートモダン
ホワイトベースを基本にすることで、スッキリしたクリアなイメージの空間です。プラスチック製の白いデッキチェアや、軽やかなデザインのファニチャーで、リゾート感が出ています。ペパーミント系のグリーンのラグを敷いて、爽やかさを演出しています。
アウトドアライフを快適に
居心地のよさやくつろぎのひと時など、何でもない普通のことに、充実や幸福を感じることができる生活を送りたいものです。ガーデンデザイン次第で、みなさんのご自宅でもストレスをためず、心身の健康を保つアウトドアライフが叶います。
Credit
文/松下高弘(まつしたたかひろ)
長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。
著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、好評につき絶賛発売中!!
画像提供(記載外)/タカショー
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