DIYでオシャレな庭づくりをしてみたい。庭づくりはしたいが、はじめてなので、何から手をつけてよいかわからない。そんな方のために、ここでは庭をDIY でつくる方法をご紹介します。写真やイラスト付きで解説しますので、参考にしてください。
目次
庭の目的をハッキリさせてイメージを決めよう!
まずは、どんなふうに庭を使いたいのか? 目的を決めましょう。例えば、草花や紅葉などの‘色’を楽しみたい方は、「眺める」のが庭の目的になりますね。また、ペットと「遊ぶ」、家庭菜園で「育てる」「食べる」など、庭の目的は人それぞれ異なり、目的によって必要なアイテムも異なりますし、イメージも絞られてきます。
このように、目的をハッキリさせるとイメージもまとまりやすくなります。それでは、いくつかの庭のイメージをご紹介しましょう。
1. 和風
海外でも人気のある和風のイメージです。本来は奥の深い世界ですが、初心者には難しいと、あきらめることはありません。砂や砂利、水など、日本庭園の定番のアイテムを用い、適所へ配置することで眺める、聴くなどの楽しみがある、落ち着いた趣(おもむき)の和風の庭が叶います。いくつか取り上げますので参考にしてください。
通路として使われる「飛び石」や、庭の眺めに必要な「景石(けいせき)」があります。
石は、けっこう重量があり、移動が大変です。専門業者に依頼すると高額になってしまうので、飛び石は平板(へいばん)やタイルを並べてみましょう。景石はFRP製の人工石があり、軽くて安価。移動や設置も楽で便利です。また、苔(こけ)も和風感満載になるアイテムですが、メンテナンスが大変なので、芝生で代用してはいかがでしょうか? 生長の遅い芝生や、最近では天然芝よりも高価ですが、自然に馴染む色の人工芝で代用するのも一つの方法ですね。
和風庭園では代表的なグッズとして「鹿威し」や「蹲」があります。
鹿威しは、音を鳴らして鹿などの野生動物を驚かせ、人間の生活場所から追い払うために考えられた装置です。この鹿威しの仕組みは、竹筒の中央部を支点とし、片側の先端を斜めに切った竹筒に水が流れ落ちるようにしたもの。水が満杯になると、その重みで竹筒が頭を下げ、水が蹲に流れ落ちます。軽くなった竹筒が元に戻ったときに、下にある石に当たって、音が鳴り響くというわけです。
観光案内の日本庭園の情報誌などで見かけたことがある読者の方もいらっしゃることと思います。鹿威しのセットは、エクステリアメーカーのカタログにいくつか種類があります。また、ホームセンターでも手に入れることができ、バラ売りのものもあるので研究してみましょう。
中低木の足元に砂利を敷くと和風イメージになります。白、黒色の玉砂利を使えばシックモダンなイメージになりますし、黄土色のような錆色(さびいろ)の砂利を使えば自然なイメージにまとまります。また、黒と白の平板の組み合わせでモノトーンのコントラストを生かせば、和モダンのイメージになります。
2. 西欧田園風
ハーブ系の植物や、つるバラやクレマチスのアーチを設えると、西欧田園風、コテージガーデン風の庭ができます。柔らかい雰囲気で、季節の花々で潤うイメージですね。
アーチは木製やアイアン製があります。木製アーチは塗装の色使いで、庭の雰囲気を変えてくれます。例えば、ホワイトで塗装すると、清潔感のあるクリアなイメージ、オリーブグリーンや経年変化した木製などは最初から植栽になじんで、落ち着いたイメージになります。
茶色系の色むらのあるレンガを使った花壇もステキです。ランダムな、目地幅で積み上げると、自然で田舎風イメージになります。レンガは色も形も多様にあるので、ホームセンターに出向いて探してみましょう。また、枕木や木製フェンスも自然になじむアイテムです。
枕木を立ててデザインウォールを作ったり、木製フェンスの足元に中低木を植えたりして、雰囲気を出しましょう。
西欧田園風のイメージは、頭で想像するのは難しいので、旅行雑誌やネットから自分好みの写真を探してイメージをまとめてみましょう。
3. ビーチスタイル
ビーチスタイルは、夏の爽やかリゾート風を演出するイメージですね。DIY向きのアイテムは「貨物用パレット」。上の写真のように、貨物用パレットは、船便や空輸便などで、荷物をコンテナに積み上げる時に使う大きなスノコです。この貨物用パレットを加工して、テーブルやイスを作ります。
木製なので電動丸のこでカットできます。好みの大きさにカットしたパレット3〜4枚を重ねて台にし、その上に屋外用クッションを置けば、ステキなソファになります。ソファテーブルも同様に適当なサイズにカットし、2〜3枚程度を積み上げて、簡単に作ることができます。
また、花鉢の台座のように、好きな色で塗装すれば、オリジナルガーデンファニチャーになります。
この貨物用パレットは、中古販売をしている業者や、ネット通販で取り扱っているところもあります。
失敗しないためのポイント
初めての庭づくりをするときに、失敗しないためのポイントとして、「計測すること」と「方角を考えること」が大切です。この2つのポイントを生かすことによって、植物にもやさしい、きちんとまとまった庭が出来上がります。
ちゃんと計測する
まず、庭づくりをする際に、庭の形やサイズを把握しておかなければなりません。そうでないと、せっかくDIYでガーデンファニチャーを作っても、サイズが合わなければ、設置する場所に入らなかったり、植えたいところに植栽ができなくなってしまうからです。また、庭の形は花壇の配置具合によって、長方形、正方形、L字形、コの字形などがあります。庭を計測して、レンガ敷きやレンガ花壇、植栽などをどこに配置するのかを決めて、平面図のイメージスケッチを作成し、だいたいの寸法を入れておくと、庭づくりの作業がしやすくなります。
上のイラストは、庭のコーナーのガーデニング計画例です。
プランターはレンガ積み花壇、通路はタイルと枕木、花壇の中央はつるバラのオベリスク、その手前はチューリップとパンジー、バックには格子のトレリスを設置しました。
形がしっかりした直方体のレンガは、横目地の幅や縦目地の並びが揃っていないとキレイに見えませんが、アンティークレンガは色むらがあり、形も不整形なので、目地が揃わなくても気にならず、初心者DIY向けです。自然な感じで雰囲気も抜群です。
また、中央の通路は、正方形のタイルとレンガ花壇の隙間に、タマリュウなどのグラウンドカバーを植えることでクリアランスが取れ、見栄えよく仕上がります。
参考までに、「オベリスク」とは、パイプや竹などを組み、タワー状にしたもので、つる植物を絡ませて、植物の生長を楽しむアイテムです。イメージスケッチのように高さがあるので、狭い花壇でも、たくさんの花をシンボリックに見せることができます。
方角を考える
次に方角を把握し、平面図に方位を書き込みます。方角によって、日当たりが異なり、植栽の育ち具合が悪かったり、枯れてしまうことがあるからです。また、塀や物置小屋などの工作物の配置具合によっても、陰になってしまう部分が生まれ、花壇の植物の生育に影響するので、日当たり具合の確認は、かなり大事なプロセスです。植栽や植物の配置は、種類によっても変わってきます。例えば、東側は午前中は日が当たりますが、午後からは日陰になるので半日陰向きの植物を選びます。
西側は、夏場の西日が強いので、落葉樹を植えて日差しを調節するのも一つの方法です。落葉樹は、夏には繁った葉がウッドデッキやテラスに日陰をつくり、室内への日差しをカットします。冬は枝だけになって、日差しを通し、テラスや室内を暖めてくれます。
南側は日当たりがよいので、植栽の生長が早く、剪定の回数が多くなります。北側は日当たりが悪いので、日陰に強い植物を選ぶ必要があります。
初心者にオススメのDIY
自分の好きなように庭を作ることができたら楽しいですよね。自分のアイデアが生かされたオリジナルの庭であれば、愛着もあり、毎日のお手入れも苦にならないものです。
それでは、庭に取り入れることができるアイテムをご紹介していきましょう。
1. ウッドデッキ
ウッドデッキは、木材を床板として敷き詰めた空間です。天然木のほかに、樹脂系や再生材など、人工木材を使ったものもあります。室内のリビングの延長上にウッドデッキを設ければ、ホームパーティーやディナーなどが日常的に楽しめる、アウトドアリビングになります。日本家屋なら縁側にしても情緒があってよいのではないでしょうか。
2. フェンスなどの目隠し
フェンスは敷地の回りを囲うためのものですが、外部からの視線を遮るための目隠しの役目も果たします。また、フェンスは、格子や曲線を生かした、いろいろなデザインがあり、印象的に見せるオシャレなアイテムとして使用することもできます。目隠しフェンスを塀の代わりに設置することで、ストレスフリーのプライベートな空間を演出することもできます。
3. レンガやタイルでつくる小道
庭づくりで比較的手軽にできるDIYは、庭の小道です。レンガやタイルで小道を作ってみましょう。レンガやタイルは地面に置くだけなので、思ったより上手に作ることができます。小道の脇の足元には植物を、その後ろには中低木を植えると、庭を歩きながら眺めを楽しむことができます。レンガもタイルも、赤茶色、茶色、橙色、黄土色系などさまざまな色があるので、イメージに合うものを選びましょう。
4. 通路としての飛び石
飛び石とは、日本庭園に見られる、飛び飛びに配置された石のことです。庭を渡り歩く足場となることから、通路の役割を持っています。飛び石の間隔は50〜55cmで、これは着物を着た人が歩きやすい間隔とされています。大きい石では立ち止まり、周囲の景観を眺められるように、石の大きさや打ち方(並べ方)を調整します。30cm角のタイルや平板を使えば、洋風の庭にも合わせることができます。
5. レンガや木で作る花壇
レンガや木材、枕木は、自然になじみやすい材料です。鉢植えは毎日のように水やりが必要ですが、花壇に地植えした植物は、しっかりと地中に根を張り、水を吸い上げるので、枯れにくく育てやすいという利点があります。自然素材の枕木は温かみがあり、芝生や植物の緑にフィットし、花々を引き立ててくれます。
6. 人工芝
人工芝は下地の布に、ナイロンやポリエチレンなどのパイル繊維を張り付けてシート状にしたものです。人工芝といっても種類が多く、形状もさまざまですが、毛足は20~35mm程度です。天然芝はおおむね2週間に1度は刈り込みが必要ですが、人工芝はその玉がなく、メンテナンスが楽というメリットがあります。一方、人工芝はつなぎ目や水抜きの穴の隙間から雑草が生えてくるというデメリットも。防草シートを敷いてから人工芝を敷くと、雑草はかなり生えにくくなります。
7. シェード
シェードとは、日除けのことです。ウッドデッキやタイルテラスは、夏場の日差しの照り返しで熱を持ち、高温になってしまうので、抑えるためにシェードを取り付けます。4本の支柱と梁で構成されたフレームにシェードを取り付ける製品や、住宅の外壁2カ所と地面2カ所で固定する製品などがあります。
置くだけで簡単にイメージチェンジができるアイテム
照明やガーデンファニチャーなど、庭に設置するだけでイメージチェンジできるガーデンアイテムがあります。ここでは、そんな手軽なアイテムの解説をしていきます。
1. ライトアップ
ライトアップをすれば、夜間も楽しめる庭になります。通路を照らして歩きやすくするだけでなく、微妙なライティング効果で、通路脇の植物もステキに見せることができます。
来客を招いたディナーでは、手づくり料理が並ぶ食卓に照明を当てることで、おいしさが倍増し、温もりを感じるひとときになります。また、高木の植栽に下から上に向けてスポットライトを当てれば、光のグラデーションで、神秘的な雰囲気を演出することもできます。
2. 椅子・ベンチ
庭に椅子やベンチを置くことで、くつろぎの空間をつくることができます。例えば、ゆったりとお昼寝をしたり、庭の景色を眺めながらコーヒーブレイクやランチを楽しんだり。また、のんびりと趣味の読書をするときにも、ベンチや椅子は欠かせません。
素材は、木材、ラタン、アイアンなど。市販の椅子ももちろんありますが、木材を使ってオリジナルチェアを作れば、愛着もいっそう増します。簡単に作れるテーブル、ベンチなどのキットもあるので、ホームセンターへ出向いて、探してみましょう。
3. 植物
植物は、ただ植えるだけでなく、植え方や飾り方によって雰囲気が一変するものです。例えば、花の寄せ植えでも、背丈の低いパンジーを手前に、高いチューリップをその後ろに植えると、立体感や奥行き感が出て、花も重ならずキレイに見えます。また、水やりの必要があまりない多肉植物の寄せ植えも、緑色だけでなく、赤やエンジ、薄いピンクなど、いろいろなカラーバリエーションで楽しめます。
このように、植物によって、水や日差しなどの好む量が違うので、植えたいものの特徴や、管理のできそうな種類を調べてから、ガーデニングを楽しみましょう。
4. 室外機カバー
エアコンの室外機は、意外とウッドデッキやテラスから見えるところにあり、庭の雰囲気が崩れてしまいますよね。そこで、室外機を隠すだけでなく、小物掛けとしても使えるオシャレなカバーを作ってみませんか?
h例えば、イラストのように、正面はラティスを使い、スノコ板を置いて鉢植えの植物を並べましょう。その上の、ラティスには、木材を釘で打ち付け、フックを付ければ、小ぶりの熊手やシャベルなどのガーデニンググッズを、オシャレに収納できます。
室外機に、直射日光が当たると温度が上昇し、夏場は電力をより消費してしまいます。室外機カバーはこれを解消することで、省エネ効果があります。デザインによっては収納も兼ねるので、一石二鳥。注意したいところは、吹き出し部分。網や格子などで空気の通りをよくし、吹き出し部分は1m以上、後ろは10cm以上あけること。左右は開放しておくことも必要です。
5. レンガを使って小道や花壇を作る方法
レンガは、いろいろな種類があるので、ホームセンターなどへ出向き、検討して購入しましょう。DIYでレンガを敷く場合は、セメントは使わない方法が比較的作りやすいので、その方法を解説します。
①まず、レンガは一晩、水につけておきます。
②次に、地面を10cmほど掘り、路盤材(砕石:4cm以下の粒)を3cm程度敷いて突き固めます。突き固めるには「ガーデニングトントン」という商品がオススメです。
③その後、砂を3cm程度敷いてならします。そして、目地幅を5〜8mmあけてレンガを敷き、ゴムハンマーで軽くたたいて固定します。水平器で水平を確認しながら作業しましょう。また、レンガの厚みによって砂の厚みも調節しましょう。
④最後に目地砂をまきます。ホウキで掃きながら、目地に砂を入れてしまえば、これで完成です。
[レンガ花壇のつくり方]
次に、レンガ花壇のつくり方を解説します。初心者でもつくれる方法です。
①「小道つくり方」同様、レンガは一晩、水につけておきます。
②モルタルを作ります。セメント1、砂3の割合で混ぜ、水を足しながらショベルなどでよく混ぜ合わせ、耳たぶぐらいの硬さになったら出来上がりです。初心者向けのインスタントで作れるモルタルもあります。
③レンガを積む部分のみ、地面を固めます。
④レンガを積んでいきます。一番下にモルタルをたっぷり盛り、水平器で水平を確認し、レンガを積みます。2段目からは、15mmほどモルタルを盛ってレンガを積んでいきます。積み終わったら、レンガに付いたモルタルの汚れは、濡れたスポンジで拭き取りましょう。モルタルは、乾いてしまうと取れなくなってしまいます。目地の凹凸をキレイにする、レンガ用の目地コテもあります。
6. タイルの敷き方
タイルはステキなパターンのセラミック、シックで落ち着いた天然石、橙色から茶色などの色が豊富なテラコッタなど、さまざまな種類があります。
庭にタイルを敷く場合は、モルタルで下地を作って固める方法もありますが、地面に置くだけの方法なら、初心者でも手軽に敷くことができます。
それでは、敷き方の解説をします。
①タイルを敷く前に地面をならすため、砂利を5~10cmほど敷きます。
②①で敷いた砂利を隠す程度に砂をかけ、ジョウロなどで水をまいて湿らせます。
③下地ができたらタイルを置きます。目地幅を取る場合は、5mm程度あけましょう。
④レンガ同様に砂をまき、ホウキで掃いて完成です。
ここで、いくつか注意点をあげておきます。
雑草が生えてくるのが気になる方は、防草シートを地面に敷いてから作業をすると便利です。タイルには、小石やモザイクタイルが、決まったサイズに張ってあるカッティングタイプのものがあります。大きいカッターでカットできますが、ケガをしないように軍手をしてからカットしましょう。また、天然石の水磨きやツルツルのタイルは、雨などの水に濡れると滑ります。転ぶと危ないので、できるだけ広い面積では使わないようにしましょう。
まずは理想の庭をイメージして何をすべきか確認しよう!
庭づくりをする場合は、ただ、やみくもにレンガの花壇やタイルの小道をつくるのではなく、自分の理想に近い写真画像などを見つけ、庭のイメージを固めましょう。
その後、設計図を描いたり、イメージに合った素材をホームセンターなどで探して揃えれば、初心者でもステキな統一感のある庭をつくることができます。
モルタルやショベル、軍手などの道具もきちんと準備して挑戦してみましょう。きっと、自分流ガーデンが楽しくなりますよ!!
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Credit
文&イラスト / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -
まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
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