鳥を呼ぶ庭で至福のひとときを…DIYで作る巣箱などのガーデンアイデア
天気のよい日は、庭のテラスで鳥のさえずりに耳を傾けてみませんか? ここでは、「鳥を呼ぶ庭」のガーデンアイデアをご提案します。巣箱の作り方などもイラスト入りで解説しますので、庭づくりの参考にしてくださいね。
目次
鳥が来やすい庭とは・・・
朝、小鳥たちの「ちゅんちゅん」という可愛らしい鳴き声で爽快に目覚め、窓を開けておいしい空気を吸い込めば、ヒーリング効果抜群ですね。実のなる木や草を植えて、季節の鳥が好む環境をつくると、少しずつですが鳥がやって来るようになります。冬場は、梅や一重咲きの椿の花の蜜を目当てにメジロが飛んできます。
鳥は赤い色を識別することができるため、赤い実のなる樹木に鳥たちが集まるのです。例えば、6月はジューンベリー、秋になれば紅葉するヤマボウシやマユミ、斑入りの葉のグミなど、いろいろな樹木があります。また、巣箱や水場も、鳥たちにとって嬉しい環境です。
鳥は警戒心が強いため、すぐには寄ってきませんが、気長に待つようにしましょう。
DIYで巣箱をつくろう
巣箱を作ってみましょう。できるだけ自然の板を使います。おすすめは杉板です。1.2cm以上の厚みのもので、合板は使わないようにしましょう。箱の中は暗くなるようにして、小鳥が穴から入り、下に降りるように作ります。
巣箱の大きさは、スズメやシジュウカラで、縦・横は各々15cm、高さは20cm、出入りする穴の大きさは直径3cm程度です。ムクドリは、縦・横は18cm、高さは30cm、穴の大きさは4~5cm程度です。
それでは作り方を説明します。
1. 図1のように杉板を鉛筆で割り付けします。
2. A、B、B’、C、Dと底板はノコギリでカットします。
3. BとB’の間は斜めにカットして、Dが斜めに取り付けられるようにします。
4. Cは前述のように、呼ぶ鳥に合わせて鳥が出入りできるように穴をあけます。
5. 巣箱の底板は雨水がたまらないように、ドリルで5ヵ所程度の穴をあけます。
6. 各部材は、図2のような形になるよう、クギを金づちで打ち付けて組み立てます。
7. AとDは蝶番を付けて開け閉めができるようにします。巣箱の掃除をする際に役立ちます。
8. Aはドリルで穴を2ヵ所あけ、針金かシュロ縄を通して樹木に取り付けられるようにします。完成したら、バーナーで少し表面を焦がしておくと、木が腐るのを防ぐことができます。
鳥のエサ台も作ってみよう!
冬場はエサを見つけにくい自然環境になるため、エサ台を設置して鳥を呼びます。
シジュウカラは、ひまわりの種や殻付きピーナッツが大好物。ピーナッツは殻の両端を切っておくと食べやすくなります。メジロやウグイス、ヒヨドリは柿やリンゴ、みかんを切って置いておくと寄ってきます。
図のように、20×30cm程度の板材の四方に、適度な長さの木の枝を接着剤で貼りつけます。それを、支柱に少し斜めに取りつけて、足元を土に埋めれば出来上がり。斜めに取りつけるのは、エサ台に水がたまらないようにするためです。土に埋まる部分は、あらかじめ支柱の直角方向に十字にした角材を、互い違いにクギで打ち付けておくと、地面に安定して立てられます。
ところで、私が経験した面白い話があります。朝の犬の散歩のときに、自宅近所の庭でエサ台を見かけたのですが、それ以外に、エサの入った皿を置いた鳥カゴを見つけました。そこに住む奥さんに聞いてみたら、「鳥カゴのエサは小鳥用なのよ。大きな鳥がエサ台のエサを食べてしまうと小鳥が食べるエサがなくなってしまうから」と言っていました。
なるほど! 小鳥思いの優しい奥さんですね。
簡単に作れるバードバスも置いてみよう!
水場は単に水飲み場だけでなく、水浴びをするところでもあるのです。鳥は羽の中の虫やゴミを水浴びして洗い落とします。滑らないように浅くして、水は毎日替えて、きれいにしておきましょう。参考までに、誰でも簡単にできるバードバスの作り方をご紹介します。
自分の気に入ったお皿に小石を敷き詰めます。これは、鳥が滑らないようにするためです。次に、1cm程度の深さまで水を入れます。出来上がったら、自宅の庭の花台や景石などに置いてみましょう。
スズメはもちろんのこと、シジュウカラもやってくるかも…。気長に待ちましょう!!
余裕があればメダカや金魚も育ててみよう
自宅の庭にちょっとした池を作り、情緒を味わってみる贅沢もいいのではないでしょうか? 池の一部に浅い水場を作り、小鳥たちの水浴び場を作ることもできます。
池の作り方は、コンクリートやFRPなどの容器を使ったり、防水シートを敷く方法などがあります。コンクリートは、池を自由な形にできるメリットがありますが、天災などでヒビが入りやすいデメリットも。容器を使う場合は、池づくりが容易なメリットがありますが、池の形が決まってしまうデメリットもあります。一方、防水シートは手軽にでき、砂利や石でシート面を隠して自然な雰囲気に仕上げることができます。ここではDIY初心者の方に、「防水シート」で池を作る方法を解説します。
最初に穴を掘り、次に防水シートを敷きます。次に、シートの端が隠れるよう、また自然に見えるように石を周りに並べます。池の底には砂利やきれいな小石を入れて見栄えをよくすれば出来上がりです。池にはメダカや金魚を入れて育てましょう。メダカは蚊の幼虫を退治し、水に流れを作り出すので、悪い成分がたまのを防いでくれます。
池の水は天気により蒸発するので、湿気対策として、家から1m以上は離すようにしましょう。また、こまめに水を補給しましょう。できれば、水があふれないように水抜きパイプをつけましょう。水抜きパイプの設置をする場合は、防水シートの一部に穴をあけ、水抜きパイプを通します。シートとパイプの周りを防水用パテで埋めておくと水が漏れにくくなります。
また、水田用の土を入れるとよいという話をよく聞きますが、はじめはキレイな水でも、時がたつと濁ったり、藻が大繁殖して汚れてしまいます。水田用の土は肥料の窒素やリンを含んでいて水質を悪化させるため、あまりおすすめできません。
本格的に鯉やフナなどを育てる場合は、毎年の成長を考えると、大きく自由な形が可能な、コンクリートで作ることをおすすめします。排水パイプを設置したり、排水溝につなげる工夫もしましょう。また、水をきれいに保つためにろ過フィルターを設置したり、水替えや水を循環させるための電気や水道の設備も考慮する必要があります。
以上のアイデアをまとめた庭のイラストを描きました。下をご覧ください!
バードバスもあるカスケードと雑木風の庭
3段の流れをつくったオブジェにもなるカスケードは、家庭用ろ過ポンプで水を循環させ、きれいな水質を保ちます。カスケードの2段目にはバードバスになる浅いくぼみを作って小鳥を呼びます。
6月は実のなるジューンベリー、5~6月は花を咲かせ8月には実のなるヤマボウシ、その他はモチノキ科の樹木などで鳥を誘います。風がそよいで葉のすれ合う音が美しいソヨゴは、築山に配植してシンボルツリーにします。池の水草や、その脇の6月頃に咲くジャーマンアイリス、7月頃から開花する蓮などで落ちついた水辺を演出します。水草を植える場合はガーデンセンターに、また金魚やメダカとの相性もあるので、ペットショップの専門家にも相談しましょう。
庭に鳥を呼ぶには、赤い実のなる木や草を植えて、鳥が来やすい環境をつくりましょう。鳥かごやバードバスを設置すれば、大喜びしてくれますよ! 冬場はエサ台を置いてスズメやシジュウカラを呼びましょう。鳥たちのさえずりも気持ちのよいものですが、いろんな仕草を眺めるのも楽しいひとときになります。でも、それ以外の季節にエサをあげるのはNGです。鳥を甘やかし、自分でエサを探さなくなってしまうので、冬だけにしましょう。
Credit
文&イラスト / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -
まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
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