高齢者も安心して楽しめる夜の庭づくり〜照明計画のポイント
Grisha Bruev/Shutterstock.com
家庭菜園やガーデニング、盆栽など植物に関する趣味はシニア世代に大人気。せっかくガーデニングをするなら、昼だけでなく夜も楽しめる庭づくりをしませんか? シニアも時間を選ばず庭で安心して暮らせるよう、庭づくりの注意点や、適切な器具、プランニングをご提案します。
目次
暗順応への配慮はできていますか?
「暗順応」という言葉をご存じですか? 明るい所から暗い所へ行くと、少しの間、目の前がぼやけたり、見えづらくなったりする現象のことです。この暗順応は時間がたてば回復するのですが、年齢とともに回復スピードが遅くなり、転倒の原因になることもあります。そんな暗順応による事故を防ぐためにも、庭のライトアップは欠かせないのです。
庭がある程度明るければ、暗順応が起こるリスクを抑えることができます。
そこで、庭全体が明るくなるようなライトアップ方法をご紹介します。

まず、庭全体を明るくするためには、写真のように光を分散させることが大切です。1カ所だけをライトアップするのではなく、樹木をライトアップするのであれば地面も、地面をライトアップするなら壁面もと、セットでライトアップすることで、全体を明るく見せることができます。

また、上の図のように、エントランスにかけて徐々に光が弱くなるようライトを配置すると目が暗闇に慣れやすくなります。
不快グレア防止はできていますか?

グレアとは、不快感や物の見えにくさを伴う眩しさを指す言葉で、日本語では「眩輝(げんき)」「眩惑(げんわく)」と呼ばれています。これによって、目の障害が起こったり、状況把握能力の低下につながったりすることがあります。
そんな不快グレアを防止する方法として、光が直接目に入らないよう間接光を活かしたライトアップをしたり、照明器具にフード(光源が直接目に見えるのをカットするもの)が付いている商品を選んだりする必要があります。また、光源の色温度が低いほう(赤っぽい光)が不快と感じにくい傾向があります。そこで、不快グレアを軽減するための商品をご紹介します。
1. 間接光を活かした器具の選び方

目線と同じ高さでライトを使用する場合は、写真のような壁面に光を反射させる器具がおすすめです。エントランスを照らす際の、ちょっとした光の演出にチョイスしてみてはどうでしょうか。

歩いていても光が直接目に入らないように、写真のような光源部分に笠が付いている器具を選ぶと眩しくなく、笠の部分に光が反射し足元を照らしてくれます。玄関までの道のりなどの動線となる場所を照らす際に利用してみるのはいかがでしょうか。

段差などでの踏み外し事故を減らしたいとき、頭上から全体的に照らすのも一案ですが、上からだと必ず影ができてしまいます。写真のように段差に光を入れると影もできず、段差にすぐ気付けます。また、安全対策はもちろんのこと、美観にも優れているのでおすすめです。
2. フード付き商品(カバー付き商品)で目に飛び込む光をカット!

写真のように、光源部分にフードが付いている器具は、照らしたいところ以外に光が漏れるのを防ぐことができます。目的物だけを照らすので光が直接目に入る恐れがなく、通路に近い樹木のライトアップにおすすめです。
操作・メンテナンスは簡単ですか?

きれいなライトアップができるライトでも、手の届きにくい場所に設置すると、メンテナンスがしにくいもの。また、寿命が短い商品を選んだりすると、何度も取り替えないといけなくなり不便です。そこで、メンテナンス性向上のために取り組むべきことと、寿命が長い電球をご紹介します。
まず、メンテナンス性についてですが、ライトは日常生活で触れやすい位置に設置する必要があります。滅多に行かない場所に設置すると足元が緩んでいたり、不安定になっていたりし、転倒の恐れがあり危険です。また、高い位置から照らす場合は、人が通ると自動点灯してくれる人感センサーや、日が暮れるとともに自動点灯してくれる照度センサーが装備されているものを選ぶことをおすすめします。
次に、寿命の長い電球についてお話しします。
LEDは長寿命なのはもちろん、省エネ、虫が寄り付きにくいなど、従来の電球に比べてメリットが大きいです。そんなLEDにもさまざまな種類があります。
一般的な照明器具に使用されているLED電球や、白熱電球のようなあたたかく輝度の高い光を再現したLEDクリア電球、電球交換を非常に楽に済ませることができるLEDモジュールがあります。どの電球も最低でも約40,000時間が寿命とされていて、以前までの白熱球より約40倍長く使用できます。
※約40,000時間とは1日6時間使用したとしても、18年間は使用できる長さです。
明るさの確保はできていますか?

庭づくりをするにあたって明るさの確保は非常に重要なことです。
十分な明るさが確保できていないと転倒などの事故につながったり、不安を感じたりすることがあります。また、視力や焦点調節力など、視覚特性の低下は20代後半から始まり、歳を重ねるごとに低下していきます。シニアに配慮した夜の庭づくりの明るさの考え方は「眺めるための庭づくり」「食事をするための庭づくり」「足元を照らす庭づくり」に分けることができます。眺める庭は通常の明るさの2倍、庭で食事をする際は3倍、足元を照らす際は5倍もの光が必要とされています。

ですが、専門家でない限り、照度を考えながらライトアップするのは非常に難しいことです。ですので、より明るい器具でライティングするのが安心。
一般的には、白熱電球20~40W相当の光や、LEDであれば5W未満のものが多く使用されていますが、上の表でも示したように、それでは高齢者には暗く感じられます。ですので、白熱電球60~100W相当の照明器具を選んだり、LEDであれば6~10Wの照明器具を選んだりすると簡単に理想の照度基準を満たすことができます。
高齢者の「不慮の事故」のうち、「転倒・転落」による「死亡者数」、「救急搬送者数」は毎年継続的に発生しています。少しでもそのような事故が減るよう、ぜひこの4つの注意事項を参考にし、安全な夜の庭づくりをしてくださいね。
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