家の周辺を「エクステリア」と呼びますが、このエクステリアはガーデニングと密接な関係があります。本記事ではエクステリアとは、具体的にどのようなものかといった基本的なことから、ガーデニングに関わるエクステリアの例までご紹介します。庭づくりに興味がある、または、エクステリアの施工を考えている方は必見です。参考にしてくださいね。

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エクステリアの定義と外構の違い

エクステリアの定義と外構の違い

エクステリアと外構は、一見、同じように思いますが、違いはどこでしょうか?

外構とは、住宅などの外側を構成する構造物そのものを指します。例えば、門扉(もんぴ)、カーポート、塀、フェンスなどが、これに該当します。一方で、エクステリアは構造物のみでなく、庭とそこに設置されているウッドデッキ、トレリス、パーゴラなどの工作物や植栽、その他の設備なども含むので、エクステリアは外構にあるものも含んだ総称だと覚えておくとよいでしょう。エクステリアの重要なところは、構造物や工作物のみならず、住宅周りの環境や外部空間全体を指しているところです。

エクステリアとは、もともと外部、外観という意味の英語で、家の中のテーブルやソファといった、インテリアの対義語に当たります。インテリアは、装飾性や機能性、娯楽性などについても重要視されていますが、エクステリアもインテリア同様に、この要素も含んでいます。

ちなみに、エクステリアという用語は、約30年前から使われ始めました。ブロック塀や車庫などの外構工事だけのことでなく、デザインのクオリティや生活環境を高めることを願って使われ始められたのではないでしょうか。

ガーデニングとエクステリア

ガーデニングとエクステリア

エクステリアは前述のように、門扉や塀、フェンスなどの外構を含めた住宅周り全体の外部空間をさしますが、その他にも「前庭(ぜんてい)」や「主庭(しゅてい)」、「側庭(そくてい)」など、庭の各役割ごとに分けた庭のエリアを示し、それぞれエリアの庭に合ったガーデニング(園芸)の手法があります。

前庭とは、建物のファサードに面する庭のことで、門まわりや塀、アプローチ、駐車場、駐輪場などの、機能性を重視した外構部分を景観構成するスペースになります。前庭では住宅の顔として素敵に見えるガーデニングが必要です。

主庭は一般に、リビングダイニングに面した庭のことです。くつろいだり、趣味を楽しんだりするなど、庭での暮らしを存分に発揮できるスペースになります。主庭のガーデニングは、庭の眺めをよくする効果を発揮します。

側庭は、前庭や主庭と裏庭をつなぐ母屋の側面にある左右の通り道のスペースです。例えば、前庭や主庭が南側、裏庭が北側に配置されている場合に、両者をつなぐ東側や西側のスペースになります。一般に住宅の間取り具合から、幅が狭い通路の場合は、日当たりが悪いことも多く、植物が育ちにくいスペースです。

その他には、住宅の壁に囲われた内側に配置された「中庭」や、お風呂場や和室の窓越しに見える「坪庭」などもあります。いずれも、鑑賞することも意識するため、景観を整えたり、演出するために行うガーデニングは重要になります。

主庭においては、タイルテラス、ウッドデッキ、パーゴラ、テラス屋根、オーニング、ガーデンルームなどのエクステリアを導入した場合、その周囲を素敵に飾るためのガーデニングは、なくてはならないものになります。

エクステリアとガーデニングは上手にデザインすることで、庭をより美しく、魅力的に見せることができます。

主なエクステリアとガーデニング

エクステリアは、門周りであれば、門柱や門扉があります。敷地の囲いは、塀やフェンスなど一口に言っても、素材やスタイルには、さまざまなものがあります。ここでは、そのエクステリアの中でも特に、ガーデニングが関係する主なものをご紹介します。

主なエクステリアその1:フェンス 

フェンス2種類
photo:タカショー

フェンスとは敷地を囲う柵や囲いのことです。一般には、外部から家の中が見えないように、目隠しの役割を果たします。

素材はアルミ製や木製、または、木樹脂やポリスチレン製などの木製に見立てた人工木などもあります。その他、ブロック塀や土壁、植栽を刈り込んだ生け垣などもあります。

フェンスの種類によっては、バラやクレマチスなど、つる性植物を絡ませやすい形状のものもあり、工夫次第でさまざまな演出ができます。完全な目隠しフェンスは、公道の歩行者などの視線をカットすることはできますが、侵入者が敷地内に入ってしまえば、外部から見えなくなってしまうため、敷地内が見えやすくするフェンスを選んで、ガーデニングで素敵に飾り、見栄えをよくすることも一つの方法です。

主なエクステリアその2:アプローチ

主なエクステリアその2.アプローチアプローチは、門柱や門扉から玄関までの通路になります。床材の素材は、コンクリートやインターロッキング、タイル、レンガなどがあります。

アプローチは家族だけでなく、公道を歩く人などにも目に留まる場所です。例えば、アプローチ周りに花壇など植物を植えるスペースをつくって、四季ごとに花々を咲かせるなどの演出で、眺めをよくすることもできます。

また、大切なのは門扉と玄関を対面させないように通路を曲げるようにカーブさせ、門扉から玄関までの距離を長くすることです。それによって、アプローチ周りの花壇が広くとれ、来訪者は左右を眺めながら歩くことができ、楽しさや期待感が生まれます。

主なエクステリアその3:デッキ・テラス

主なエクステリアその3:デッキ・テラス
https://pic.takasho.jp/portfolio/5184
https://pic.takasho.jp/portfolio/3821

1階のリビングの掃き出し窓の外に設けることが多いのがデッキやテラスです。デッキやテラスは庭などの地面よりも高い位置に床面がきます。一般的には、庭につくるのが基本ですが、フラットな屋上スペースにルーフテラスとして設置することもできます。

材質には天然木や人工木があります。前述のフェンスでもご紹介しましたが、木粉と樹脂を組み合わせた木樹脂と呼ばれる人工木もあります。木樹脂は質感がリアルで天然木より経年変化がしにくいことが特徴です。その他は、レンガやタイル、天然石などがあります。

最近のウッドデッキは、リビングとデッキの床面をフラットにし、リビングの延長上のスペースとして、BBQを楽しんだり、ティータイムで、くつろぐなど第2のリビング空間として使われるようになってきました。足が不自由な車イスを利用する方でもリビングからウッドデッキへの移動がスムーズです。

主なエクステリアその4:植栽

落葉樹や常緑樹と針葉樹のある住宅のアプローチ
落葉樹や常緑樹と針葉樹のある住宅のアプローチ
https://pic.takasho.jp/portfolio/6793

植栽は庭やアプローチ沿いに植えられた樹木や草花のことをいいます。

例えば、刺身の盛り合わせをイメージしてください。お刺身を住宅に例えれば、大葉や大根、ワカメなどのお刺身のツマが植栽に当たります。

おいしく見えるお刺身(建物)は大葉や大根のツマ(植栽)で演出

植栽は住宅をより一層素敵に見せる最高の演出になり、ガーデニングに最も関わりのあるエクステリアになります。例えば、門柱や門袖の足元に中・低木や地被(20~30cm程度の草花など)を植え、その脇あたりにシンボルツリーとして大きな木を植えることで、家の顔として緑の演出ができます。

植栽には、葉が年中生えている常緑樹や針葉樹、秋には紅葉や黄葉し、葉が落ちる落葉樹などがあり、植える草木によって和風や洋風など、庭や外構の雰囲気を大きく変えることもできます。

主なエクステリアその5:照明

柔らかい光で素敵な夜を演出するアプローチ
柔らかい光で素敵な夜を演出するアプローチ
https://pic.takasho.jp/portfolio/12658

照明には、門柱の表札やシンボルツリーを照らすスポットライトなどがあり、ガーデンライトともいいます。照明の種類もさまざまで、電気配線が必要なものから、DIYで手軽に設置できる電池式や電気代がかからないソーラーライトなどがあります。

アプローチなど通路の脇の植栽の中に設置すると、柔らかい光で素敵な夜を演出でき、通路脇にポール照明や舗装面に地中埋込型照明を設置すると、暗い時間でも安心して通ることができます。

また、暗くなると点灯するものや、人を感知して点灯するものもあります。照明は、飾りや演出効果だけでなく、防犯効果もあるので、用途によって選びましょう。

エクステリアのスタイル

エクステリアのデザインスタイルは大きく分けて3つあります。ここでは、その3つのデザインスタイルのメリットとデメリットについてご紹介します。

●プライバシー重視の「クローズスタイル」

プライバシー重視の「クローズスタイル」

クローズスタイルは塀やフェンスで、すべての周囲を囲んだスタイルです。外部から敷地内が見えないためプライバシーが保たれ、安心感があることがメリットです。

塀などで囲っていることから、単調なデザインになりやすくなります。そこで、塀よりも門柱や門袖を高くしたり、門扉などでシンボリックにして門まわりを強調することで単調さを防ぎ、変化のあるデザインにすることができます。門扉や塀などの設置で、この後ご紹介するオープンスタイルに比べてコストがかかるというデメリットがあります。

また、侵入者が塀を飛び越えて敷地内に入ってしまえば、周囲に気づかれずに身を隠すことができてしまうので、人感センサーライトや警備会社と連動しているホームセキュリティの設置などをおすすめします。

●開放感重視の「オープンスタイル」

開放感重視の「オープンスタイル」

家を塀やフェンスなどで完全に囲わない開放感のあるスタイルです。表札、ポスト、インターホンなどの必要最低限の機能を持たせた門柱(機能門柱)を門まわりに設置します。最近では、宅配ボックス付きの機能門柱もあります。

狭くても開放的な印象になり、コストパフォーマンスがよいことがメリットです。

一方で、囲いがないため、外部から敷地内の見通しがよいことから、侵入者が入りやすいなどの防犯面やプライバシーがなくなりやすいデメリットがあります。そこで、和室やリビングの窓は、外部からの視線を遮る植栽をすることで対応するとよいでしょう。

アプローチなどの舗装のデザインや植栽の配置のセンスによっておしゃれになります。防犯は人感センサーライトなどのセキュリティ対策をしましょう。

●開放感とプライバシーを両立させた「セミクローズスタイル」

開放感とプライバシーを両立させた「セミクローズスタイル」

前述のオープンとクローズの良いところを両立させたスタイルです。塀や目隠しフェンスと植栽の位置や高さを調整することで、ウッドデッキやテラス前などの隠したい場所は隠し、門柱や道路に面したデザインウォールなどの、見せたい場所は見せるデザインになります。

クローズスタイルへのリフォームが容易なことがメリットです。

カーポートと門扉の関係から中途半端に見えてしまう場合もあるところがデメリットです。

門扉がない場合は門柱や門袖の設置をしておくと、将来の門扉設置のリフォームに便利です。

エクステリアの施工にはどのくらいのお金がかかる?

エクステリアの施工をしたいのですが、どのくらいのお金がかかるのか気になる方は、多いのではないのでしょうか?  エクステリアは施工する箇所や範囲によって金額は大きく変わります。ここでは施工実例を見ながら、どのくらいのお金がかかるのかをご紹介していきます。

実例その1:カーポートの設置をする場合の費用

カーポートには、さまざまなタイプとサイズがあります。選ぶ商品によって金額は異なりますが、相場は5~25万円程度です。カーポートの施工をする場合は本体価格に加えて、工事費用がかかります。設置費用や既存カーポートの撤去がある場合などで、費用が異なりますが、一般に、本体と施工費用を合わせ価格は片側指示タイプ1台の場合15~30万円程度です。

カーポートのタイプ

支柱の指示方法は、図のように、「片側指示タイプ」、「両側指示タイプ」、「積雪対応タイプ」の3種類があります。1台用の片側指示タイプが一番安価で、続いて2台用の両側指示タイプ、柱と梁を増やした積雪や耐風性に優れた積雪指示タイプの順に高くなります。

実例その2:アプローチに石を敷き詰めて石畳にする費用

タイルと石貼り

アプローチは、門周りから玄関までの通路にあたるため、タイルや天然石を敷き詰めると立派に見える効果があります。無彩色や茶系色の30cm角タイルや石貼りのスタイルにも整形や乱形があり、大きく印象を変えることができます。

また、アプローチの脇に中・低木の植栽や花壇をつくるなど、アイデアしだいで魅力的なアプローチづくりが可能になります。アプローチに石を敷き詰めて石畳にする場合には、施工する面積や石の素材によって大きく金額が異なりますが、施工費込みで1平方メートル当たり、相場は2.5~5万円程度です。

実例その3:ウッドデッキを施工する場合の費用

ウッドデッキを施工した場合の費用
https://pic.tahasho.jp/portfolio/9054

エクステリアのリフォームをするにあたって、人気が高いのがウッドデッキです。素材は、人工木と天然木があります。人工木は耐水、防汚性に優れているため、お掃除などのメンテナンスが容易で、経年劣化もしにくいことがあげられます。カラーも白、ベージュ、茶色など多彩にあります。天然木は、何といっても自然の風合いを楽しむことが最高の素材ですが、定期的に白アリの駆除や、1年ごとに防腐剤を塗りなおすなどのメンテナンスをしないと長持ちしません。そのため、どちらがよいのかを施工費用だけでなく設置後のメンテナンス費用も考慮して選びましょう。

ウッドデッキの一般的な相場は、工事費込みで1平方メートル当たり、3〜6万円程度です。4畳半程度は35~40万円程度でしょう。その他、設置地面がコンクリートなのか、土なのか素材によって、束石(つかいし・デッキを支える柱)の設置方法が変わるので、追加費用がかかる場合もあります。専門工事業者に確認することが必要です。

エクステリアで生活を豊かに快適にしよう!

ご紹介してきたように、エクステリアには門柱や門扉、塀、カーポートのほか、天然木や木樹脂、レンガやタイルなどの素材を使ったアプローチ、テラス、デッキなどがあります。また、フェンスやデザインウォール、四季を楽しめる植栽なども上手に配置して、おしゃれな外観を演出することができます。

家や庭の雰囲気を自分の好みのデザインにして、家族が豊かで快適で楽しく過ごせるような生活空間をつくりましょう。

Credit

文:松下高弘

文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、大手書店に続々登場!!

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